タラシの公爵家嫡男に見初められない方法

麻生空

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侍女メアリー視点3

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「そういう自分を安売りする女は趣味じゃない。俺をあまりがっかりさせないでくれ」
坊っちゃんの言葉にイザベラ嬢は『はっ』としたような顔になる。
「悪いが、このまま引き取ってくれないだろうか?それに、今後は貴女と情を交わす気は一切ない。今の貴女の言葉で貴女自身に対しての興味が失せた」
冷めた目をしながら坊っちゃんが一気にそう言うと、イザベラ嬢は泣きながら去って行った。

曲がりなりにも三度は抱いた女性に対してそれはないだろう。
と、思った。

「後で旦那様にご報告しておきます」

だから冷たく言ってやる。

「内緒には「出来ません」」
今朝の事もある。
もっとこっぴどく怒られると良いのだわ。
「身から出た錆びです」
そう言ってやった。
「自業自得か……」
坊っちゃんはそう言うと深いため息をつかれた。


☆☆☆☆☆☆☆



坊っちゃん達が皆で晩餐を摂っている間に私はメリッサ嬢の様子を見に行った。

ベッドはもぬけの殻で部屋の何処にもいない。
部屋の前に控えていた侍女からは「部屋からは誰も出ていません」との報告があった。

「どこに……」
そう思い部屋を探していた時、水音が浴室の方から聞こえて来た。

扉を開けるとメリッサ嬢が一人で泡だらけになり、泣きながら身体を洗っていた。

「お手伝い致します」

そう言って震えるメリッサ嬢の手からスポンジを貰うと、そのまま身体を洗い始めた。

そりゃそうだろう。
あのゲス坊っちゃんから無理矢理処女を奪われたのだ。
気の強そうな令嬢だけど、泣いて当たり前。
そう思うと同じ女として同情してしまう。

私はメリッサ嬢の体を丹念に洗った。
洗っていて気付いたのだか、なんてプロポーションしているのだろうか?
女の私でさえも惚れ惚れとしてしまう位のメリハリのあるプロポーション。
それに、体じゅうに赤い星が散りばめられていて、坊っちゃんの執着具合が見て取れた。


それに、昨日いらっしゃった時とは違い陶磁のようなシミ一つない肌に長い睫毛。
まさに美人である。
それにあのプロポーションなら大抵の男が一瞬で抱きたくなるだろう。
坊っちゃんもその例外ではなかったらしい。
体を洗い終わると薔薇の香油を垂らしメリッサ嬢は湯船に浸かる。
その間に私はリネンの交換と衣服の準備をした。

10分程してメリッサ嬢が湯船から上がるとフワフワのバスタオルで体をふく。

女の私でもびっくりする位胸が柔らかく弾力もある。
こんなの触ったら病み付きになってしまう。
そう思い私は何も考えず体をふいた。

「メリッサ様」
私が声をかけると
「もうあの下半身ユルユル男の事は忘れるわ。犬にでも噛まれたと思う事にする」
そう言い私の手から着替えを受け取ると無造作に下着に手を通す。
犬には大分大きいし、悪さの仕方が洒落にならない。
思わず嘆息たんそくしてしまう。
「既に夜ですので室内着をどうぞ」
気を取り直し更に私は白地にレースのあしらわれた室内着を手渡す。

「寝室の方に夕食の準備が出来ておりますので召し上がられますか?」
許可もなく準備していたが、今日は何も食べていないのだ。
この令嬢に食べないという選択肢はないと思った。

案の定「頂くわ」と二つ返事だった。
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