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26 軽くもんで差し上げますよ

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「ククククク。これが今の騎士団ですか?少々期待外れでしょうか?」

キルトはそう言いながら辺りを一望する。
そんなキルトの態度にザインが更に吠えた。

「ひょろひょろした優男が粋がるんじゃねぇよ」

ザインはそう言うとその勢いのまま剣を構えてキルトの方へと走り出した。

ザインは剣を大きく振りかぶるとキルト目掛けて振り下ろす。

その勢いや頭をかち割る勢いだ。

「何考えてんだ」
「馬鹿か」

ザインの意図が解った他の騎士達が各々罵声を投げる。

皆が皆同じ光景を想像する中、ザインの剣はキルトの頭に届く事はなかった。

すっと挙げられた二本の指でキルトはザインの剣を白刃取りしたのだ。

「剣は軽いしスピードも遅いですね。何のアレンジもないなんて、全くもってつまらない剣です」

そう感想を述べたキルトはそのままゆっくりとしたモーションで剣を取る手を振った。

一瞬にして剣ごと持ち上げられたザインはそのまま演習場を囲んでいた騎士達の元へと投げられる。

「「「うわぁぁぁぁぁ」」」

ザインを受けた騎士達はその身を避ける事も出来ずにザインの下敷きになった。

先程も言ったがザインは2メートルはあるかと言う位の身長に肉付きの良い巨体だ。

そんな大男が空から降ってきたら下敷きになった騎士達が無傷なはずがない。

数名の魔術師達が回復の為にとザインの下敷きになった騎士達の下へと駆け寄る。

「さてと、そちらのお二人は私と腕試しなど如何ですか?正直少々今のでは物足りなかったもので、軽くもんで差し上げますよ」

キルトはニヤリとしながらそんな事を言う。
挑発的なその言葉に団長は苦笑する。

「いえ、貴方の実力は十分に知っています。私ではウォーミングアップにさえならないでしょう」

団長の言葉にキルトは「やれやれ、今の若い者は冒険心が足りないようですね」と呆れたように言う。

まぁ、キルトが相手では騎士団総出で相手をしないと太刀打ち出来ないかもしれないしね。

何せ、S級魔獣でさえ秒殺なのだから。

故に、最近では白龍達の餌やり以外では滅多に魔の森へは入らないようにしている。

キルトいわく。

何事もパワーバランスが必要なのだそうだ。
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