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19合同訓練
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朝食後の行程は第一騎士団・第三騎士団合同訓練となっていた。
「第一と第三騎士団の合同訓練は基本的に魔術と剣での訓練になるんだ」
訓練場への移動中アルフィー殿下が簡単な説明をしてくれる。
「魔法を伴う戦いの為に普通の剣での訓練より怪我人が多いから、救護班として魔術師数名とその補助に『聖なる乙女集団』も来るんだけど……あまり怪我をするのはお勧めしないな」
表情の少ないアルフィー殿下にしては珍しく嫌な顔をする。
「えっ?何言っているの?ワザワザ怪我をする人なんていないよ。それに、怪我をしないようにするのが普通だろう?騎士なんだから」
怪我をしないように戦うのは当たり前なのに、アルフィー殿下は何バカな事を言っているのか?
正直疑問以外の何物でもない。
「救護班、特に『聖なる乙女集団』が付く時は何故か怪我人が異様に増える趣向がある。ルークはビジュアルも良いから新人恒例の洗礼を受ける可能性もある。だから一応忠告はしておく」
意味が分からない。
怪我をすると洗礼を受けるって、普通その前の模擬戦でやるんじゃないのか?
先輩の騎士が新人をイビるようにさぁ。
それが、何故怪我をした後の治療が洗礼なのか?
しかし、演習場に入り第一訓練場へ入るとアルフィー殿下の言っていた意味を理解した。
訓練場の東側に設置された救護テント。
しかし、その下には幾つものテーブルと椅子が設置されており、テーブルの上には何故かお菓子とお茶が並んでいた。
そこには、まるで結婚式のような白地のドレスを着た集団が椅子に座りながら扇で口元を隠しながら話をしていた。
尚且つ、何故か給仕をしている普通の侍女までいる始末。
「えっと……令嬢方の見学会?追っかけ?ファン倶楽部?」
驚きが隠せない。
こんなに堂々と訓練場に陣取ってお茶を飲みながら見学をするなんて。
「腕に白地に赤の腕章を着けているだろう。あれが騎士団公認の『聖なる乙女集団』だよ」
アルフィー殿下は感情のこもらない声で言う。
「あのボランティアで回復魔法を使うと言う令嬢集団?別名『令嬢方の婚活組織』の?」
思わずそう問い掛けていた。
「歯に衣を着せない物言いだね。まぁ、平たく言えばその通り」
アルフィー殿下はあからさまに嫌な顔をする。
きっと先程言った『洗礼』なるものを受けたのだろう。
「兎に角、皆集まっているようだから行こうか」
アルフィー殿下に促されながら前方へと足を進める。
訓練場に入ると第一騎士団と第三騎士団に別れており、白地に青の縁取りのある制服を着た人達が第一騎士団だ。
因みに白地に金の縁取りが近衛騎士団で、白地に赤の縁取りが第二騎士団。
第三騎士団は青にオレンジの縁取りなので、今は見分けが楽だ。
何でも、竜に乗った時に人の位置が分かるように白地の制服らしい。
「白龍もいるのに?」
の疑問には「白龍なんて従えられる人間そうそういないよ」と言われたのだ。
いつも見慣れていたから、その事実に驚きだ。
「アルフィー」
第一騎士団の先頭で私達を見つけた団長が私達に手招きしている。
滅茶苦茶目立っているんだけど、致し方ない。
今更だ。
「まずは最初に自己紹介だ」
団長の隣まで行くと他の騎士の方へと回れ右をされた。
トンと肩に手を乗せられ。
「ルーク・ゼファだ。今日から第一騎士団に入る。ジルベルトの弟だと言って特別扱いはしないように」
と自己紹介をしてくれる。
けど、殿下……サラッと特別扱いされるようなを言ったよね。
「ルーク・ゼファです。本日より第一騎士団所属となりました。若輩ものですが先輩方のご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します」
そう言って一礼する。
頭にチクチクと刺さる眼差しは決して友好的なものばかりではない。
「ルーク。制服の支給が出たからジルベルトと事務所まで取りに行ってくれ」
挨拶が終わると団長の言葉に頷く。
勿論アルフィー殿下は何も言わずに私から視線を反らした。
何せいくら王妃様からお目付け役
言い使ったからといってもジルベルト様は形式的には私の兄。
つまり、私の面倒は兄弟にまかせられたのだから。
「では行きましょうかルーク」
「はい。ジル兄上」
故に、涼しい顔でジルベルト様と連れ立って訓練場を後にする。
聖なる乙女集団からスゴイ目で見られているけど、理由は知りたくもない。
きっと、美形のジルベルト様が訓練場を去るのが許せないのだろう。
「第一と第三騎士団の合同訓練は基本的に魔術と剣での訓練になるんだ」
訓練場への移動中アルフィー殿下が簡単な説明をしてくれる。
「魔法を伴う戦いの為に普通の剣での訓練より怪我人が多いから、救護班として魔術師数名とその補助に『聖なる乙女集団』も来るんだけど……あまり怪我をするのはお勧めしないな」
表情の少ないアルフィー殿下にしては珍しく嫌な顔をする。
「えっ?何言っているの?ワザワザ怪我をする人なんていないよ。それに、怪我をしないようにするのが普通だろう?騎士なんだから」
怪我をしないように戦うのは当たり前なのに、アルフィー殿下は何バカな事を言っているのか?
正直疑問以外の何物でもない。
「救護班、特に『聖なる乙女集団』が付く時は何故か怪我人が異様に増える趣向がある。ルークはビジュアルも良いから新人恒例の洗礼を受ける可能性もある。だから一応忠告はしておく」
意味が分からない。
怪我をすると洗礼を受けるって、普通その前の模擬戦でやるんじゃないのか?
先輩の騎士が新人をイビるようにさぁ。
それが、何故怪我をした後の治療が洗礼なのか?
しかし、演習場に入り第一訓練場へ入るとアルフィー殿下の言っていた意味を理解した。
訓練場の東側に設置された救護テント。
しかし、その下には幾つものテーブルと椅子が設置されており、テーブルの上には何故かお菓子とお茶が並んでいた。
そこには、まるで結婚式のような白地のドレスを着た集団が椅子に座りながら扇で口元を隠しながら話をしていた。
尚且つ、何故か給仕をしている普通の侍女までいる始末。
「えっと……令嬢方の見学会?追っかけ?ファン倶楽部?」
驚きが隠せない。
こんなに堂々と訓練場に陣取ってお茶を飲みながら見学をするなんて。
「腕に白地に赤の腕章を着けているだろう。あれが騎士団公認の『聖なる乙女集団』だよ」
アルフィー殿下は感情のこもらない声で言う。
「あのボランティアで回復魔法を使うと言う令嬢集団?別名『令嬢方の婚活組織』の?」
思わずそう問い掛けていた。
「歯に衣を着せない物言いだね。まぁ、平たく言えばその通り」
アルフィー殿下はあからさまに嫌な顔をする。
きっと先程言った『洗礼』なるものを受けたのだろう。
「兎に角、皆集まっているようだから行こうか」
アルフィー殿下に促されながら前方へと足を進める。
訓練場に入ると第一騎士団と第三騎士団に別れており、白地に青の縁取りのある制服を着た人達が第一騎士団だ。
因みに白地に金の縁取りが近衛騎士団で、白地に赤の縁取りが第二騎士団。
第三騎士団は青にオレンジの縁取りなので、今は見分けが楽だ。
何でも、竜に乗った時に人の位置が分かるように白地の制服らしい。
「白龍もいるのに?」
の疑問には「白龍なんて従えられる人間そうそういないよ」と言われたのだ。
いつも見慣れていたから、その事実に驚きだ。
「アルフィー」
第一騎士団の先頭で私達を見つけた団長が私達に手招きしている。
滅茶苦茶目立っているんだけど、致し方ない。
今更だ。
「まずは最初に自己紹介だ」
団長の隣まで行くと他の騎士の方へと回れ右をされた。
トンと肩に手を乗せられ。
「ルーク・ゼファだ。今日から第一騎士団に入る。ジルベルトの弟だと言って特別扱いはしないように」
と自己紹介をしてくれる。
けど、殿下……サラッと特別扱いされるようなを言ったよね。
「ルーク・ゼファです。本日より第一騎士団所属となりました。若輩ものですが先輩方のご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します」
そう言って一礼する。
頭にチクチクと刺さる眼差しは決して友好的なものばかりではない。
「ルーク。制服の支給が出たからジルベルトと事務所まで取りに行ってくれ」
挨拶が終わると団長の言葉に頷く。
勿論アルフィー殿下は何も言わずに私から視線を反らした。
何せいくら王妃様からお目付け役
言い使ったからといってもジルベルト様は形式的には私の兄。
つまり、私の面倒は兄弟にまかせられたのだから。
「では行きましょうかルーク」
「はい。ジル兄上」
故に、涼しい顔でジルベルト様と連れ立って訓練場を後にする。
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きっと、美形のジルベルト様が訓練場を去るのが許せないのだろう。
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