妾はバイトすることにしました

麻生空

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18脳筋団長カイン・リトー

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「ルーク。アルフィー殿下と朝食を食べておいで、私達は執務があるから朝食は何時もここに運ばれて来る事になっているんだ」 

正直お腹が空いていた。
ジルベルトさんの気遣い屋さんに感謝だ。

「はい。では後程」
 そう言って一礼して私とアルフィー殿下は部屋を後にする。

「アルフ。迎えに来てくれてありがとう」

アルフィー殿下の隣まで来るとそうお礼を言う。

「別に、母上に頼まれたから……」

そう言って顔をそむけるとアルフィー殿下は先に歩き出す。

本当ツンデレなんだから。

思わず笑いが出てしまった。
 
「後、昨日みたいな事になると困るから、ルークは初めからご飯とおかずは大盛で頼んだ方が良いよ」

どうやら昨夜アルフィー殿下のおかずを取っちゃった事を言っているのだろう。
確かに取られた方としては困るよな。

「うん、そうするね。助言ありがとう」
 
そう言って他愛もない事を話ながら食堂へ向かう。
食堂に着くと既に他の騎士達は既に食事をしていた。

アルフィー殿下と一緒にトレーを取ると全て大盛で皿の上に乗せて行く。

手前に二人分の空きスペースがあったのでそこに腰掛けた。
「よう。新入りの坊主はえらく食べるんだなぁ」
と、体育会系のようなお兄さんに声を掛けられる。

「始めまして、ルーク・ゼファです」
 一応新入りから挨拶をする事にする。
縦社会のいろはだ。

「カイン・リトーだ」
体育会系お兄さんは堂々とした声で挨拶を返して来る。

ん?
まてよ……、
リトーってもしかして?

「近衛騎士団長の御子息で第三騎士団の団長ですよ」
間髪置かず、アルフィー殿下が補足してくれた。
「まぁ、そうだな」

そう言って可笑しそうに笑うカイン。

「しかし、お前も度胸あるよな。手前の席なんて団長クラスか王族しか座らないのに」

「えっ、そうなの?」

思わずアルフィー殿下を見たけど……そう言えばこいつは王族だったよ。

そして、立ち上がりグルリと辺りを見渡すと、皆さん何故か目を反らす。

「ルーク、座りなよ。君が他で食べるなら私もそちらに行くと言う事だよ。分かってる?何せ君の事はくれぐれもと母上から頼まれているんだから」

そうでした。

私が身分相応の所へ行こうとすれば、アルフィー殿下が身分不相応の所へ行く事になる。

「まぁ、諦める潔さも時には必要だ」

カイン団長はそう言ってまた可笑しそうに笑った。

ってか、ここには昨日会った近衛騎士団長も第一騎士団長もいないよね。
何でこの人ここで下っぱ騎士と一緒に食事してんだ?
もしかして、体育会系らしく頭も筋肉で出来ていて執務は部下に任せている。とか?

「ああ。今お前不遜な事を思っただろう」

カイン団長はそう言うとあからさまに機嫌悪そうな顔になる。

「いえ……別に」

脳筋なんて思ってないよ。

「言っておくが、騎士達の監督も業務の内だ。団長クラスは交代で食堂で食事を摂る事にしている。一応王子殿下や高位の貴族子息もここで食事を取っているから変な輩に絡まれないようにするのも大事な務めだ」

そう言って豪快に悪うカイン団長。

昨日見た近衛騎士団長とは随分タイプが違う人だな……と思ってしまった。
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