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14筆頭執事で師匠のキルト

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「あ~もしもし、オレオレオレ」

ご機嫌良くバングルの魔石に魔力を込めて実家に連絡を入れた私。
まぁ、実家と言うか、実家の執事宛なんだけどね。
そんな私は相手の性格ま忘れてご機嫌に通話していた。
何せ、明日からの食事のうれいが無くなった現在、ちょっと気分がハイになってしまっていたのだ。

「我が家に『オレオレオレ』と言う方はいらっしゃいません。もし、オレオレ詐欺でしたら他所におかけ下さい。では」

何時もの如く感情の見えない声色で話す我が家の執事。

「きゃ~待ってキルト~私。私だからルクス。ル・ク・ス」

慌ててバングルに話し掛けた。

「……」

「ごめんキルト。ちょっと調子にのっちゃいました。ご免なさい」

自身の腕に対して平謝りをする私。

「念のためそちらの映像を頂いても宜しいでしょうか?」

大分ご立腹のキルトが自身の映像を私のバングルへと寄越す。

正直映像を出すのは面倒なんだけど、それも長距離となると魔力も結構使うから嫌なんだけどなぁ。

「本当にお嬢様で?」

再度確認して来るキルト。

私はため息をついて光魔法を発動させる。

「おやおや、その間抜けなお顔は間違いなくお嬢様ですね」

そう言って如何にも人をバカにした顔をするキルト。

一応家の筆頭執事で私の師匠。

年齢不詳の見た目20代の彼は、私が物心ついた頃から外見は一切変わりない。

黒い髪を撫で付けて綺麗に七三分けにしている美丈夫。
けぶるような長い睫毛に覗くのは紫の瞳。

その外見に惑わされたら、あら大変。

手酷い痛手を受けるだろう。

「何ですか?そのお部屋は」

すこぶる機嫌の悪い声が部屋に響き渡る。

「えっ、ちゃんと掃除したよ」

まぁ、浄化魔法でだけどね。

すると、私の返事に「はぁ~」とすこぶる機嫌の悪いため息。

『えっ、私何かやらかした?』

そう思っていると

「ウサギの小屋ですか?そこは」

「へっ?」

辺りを見回すと、普通の三畳程の部屋だ。
ベッドはロフトになっており、下の空いたスペースに机とクローゼットと水場、つまりトイレと浴室がある扉が設置してある。

お風呂はシャワーのみで、トイレはお風呂場に瀬戸物の椅子の下に坪式の物が置いてある。
本来は毎日汚物を捨てに行くのだろうが、そこは毎回浄化魔法で綺麗にしている。
正直な話家のトイレは廊下より綺麗だ。
そんな設備全て込みでの三畳だ。

まぁ、水魔法を使うのも浄化魔法を使うのも魔力量は同じだからシャワーは使う事はないだろうけどね。

だって、シャワー使ったら掃除にまた魔力使うじゃん。

そして、今バングルから現れたキルトの映像は私の部屋をグルリと確認し、視角的にも判る程黒いオーラを出していた。

『あれ~これって私詰んだ?』
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