妾はバイトすることにしました

麻生空

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2割りの良いバイト

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夕食に運び込まれたのは
「ディナーSセット?」

「食事が終わりましたらご連絡下さい。最後のデザートをお持ちしますので」

そう言って去って行く侍女さん達。

「マジか~」

陛下との晩餐5万リンに比べたら安いけど、
「これ2万リンするやつじゃん」

私の部屋代2ヶ月分って……この食事この部屋に似つかわしくない。

「だったら家賃2ヶ月分払って貰ったほうがありがたかったよ」

大分罰当たりな事を言っているけど、切実にそう思う。

「取り敢えず……頂いたからには堪能しますか」

そう言って最初はスープをスプーンですくって飲む。

透明感のある黄金色のスープは見た目に反して滅茶苦茶濃厚。

「何、これ滅茶苦茶旨い」

スープでこれですかい?

「肉も」

そう言ってナイフを刺すと

「柔らか~い。旨~い。何この美味しさ。噛まなくても舌の上で溶けるし~」

流石2万リンする王宮の料理。

こんなの食べたら明日から普通の食事が出来ないじゃないかよぉ~。

「あぁ。本当に家賃の方にして貰いたかった~」

グズグズ文句を垂れながら食事を進める。

あまりにも美味しくって10分程で平らげてしまった。
だって、肉なんて噛まなくても食べれるし、パンも滅茶苦茶柔らかくってフワフワ。
スープなんてあまりにも美味しくって一気飲み出来ちゃう位だったよ。

バングルの魔石に魔力を込めて食事の終了を知らせると、5分程して先程の侍女がデザートの乗ったカートを押して部屋へと入って来る。

「デザートになります。それから、こちらがアルバイトの一覧表です。アルバイトが決まりましたら王妃様のご許可を頂いて下さい。一応後宮のルールになっておりますので」

まぁ、後宮を取り締まる責任者だからなぁ、許可は欲しいよね。

私はアルバイトの一覧表を貰うとデザートへと目を移した。

取り敢えず、さっさと食ってしまおう。
テーブルに置かれたのはどうやらミニパフェのようで、流石は王宮と思ってしまった。

「最近流行りの生クリームだなんて、滅茶苦茶贅沢」

思わず合掌してしまう。

「食べ終わりましたらまたお呼び下さい。失礼致します」

そうして再び侍女が消える。

バイトの一覧表は凄く分厚い。

「割りの良いバイトはないかなぁ?」

デザートを食べながら興味故かチラリとアルバイトの一覧表を見る。

単純な話が三食一番安い食事を頼んでも1日六千リンかかる。
当たり前に食べて寝るだけで大体20万リンかかると言うことだ。

食事付きとかないかな~。

ってか、割りの良い物より金額重視で。

高級侍女……月20万リン。
昼食付き。
週休二日制。
しかし、斜め斜線が入っており募集打ち切りとなっている。

マジかよ……。
更に紙をめくるめくる。 
どれもこれも禄が高くても17万リン。
まぁ、新人の募集だから仕方ないのだろうけどさぁ……。

そして、最後の一枚に

「おっ。月20万リン三食付きめっけ。なんだよ良いのあるじゃん」

内容は朝6時から夕方7時まで、朝昼晩の食事時間各々一時間。入寮の場合は寮費助成金有り負担金月2万リン。通いOK。週休二制。又、休日出勤時は食事有り。

すっげ~良いじゃん。

寮はどちらにしろ入らないからなぁ、だって男子寮だし。
それに、後宮のこっちの1万リンの方が安いし。

見習い期間は3ヶ月。
その間の禄は月15万リン。
……まぁ、三食付きだから大丈夫かな?

正規雇用の場合休日出勤と夜勤あり別途手当てが出る。

また、3年更新となる。

年齢は15歳から。

但し、問題が一つ。

「募集条件が男ってのがなぁ、まぁ、胸がそれほどないから大丈夫かな?それに、今年15歳だから年齢はまぁクリアーだろう」


そう思って申し込みするべく思考を巡らせた。
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