2 / 28
1バングル
しおりを挟む
さてさて、この後宮に着いて一番最初に選ばされた物がこれから住む部屋だった。
見取り図のような物を寄越されて、その見取り図の部屋には赤ですデカデカと『済み』の文字が書かれている所が多い。
「あまり数は残っていませんので」
と困ったように話した侍女。
妾ナンバーワンのグロリアと面会している間に部屋着を整えると話され選んだ部屋は、後宮の一番端っこの倉庫のような部屋だ。
何故なら
「まさか、部屋の賃貸も取られるとは思わなかったよ」
そう。
因みに、グロリア様が住んでいるあの部屋は一月20万リンだとか。
確かに見取り図で見ると一番大きなお部屋だ。
侍女は2名連れて来ているらしく、グロリア様の寝室の続き部屋に住んでいるらしい。
部屋はその後何段階かの段階があり、私が今から向かっているのは賃貸料一月1万リンの部屋だ。
例えば部屋の大きさや部屋数、使われている家具、お風呂の大きさ、トイレの様式。
それらで料金が異なる。
それに、部屋に設置させている照明器具や水道などは魔石に魔力を流す事によって作動するらしく、魔力のない人には魔力石を販売しているのだそうな。
まぁ、魔力は一応平凡程度にあるし、生活魔法なら基礎位は使えるので魔力石は必要ない。
それに、勿論侍女なんて連れて来ていないから私だけが住むのなら最低限の部屋で良いのだ。
因みに、後宮付きの侍女を一時的に雇う事が出来る事になっている。
勿論、後宮付きの侍女に手伝って貰う時は一時間5千リンの料金が掛かるのだと言う。
つまり、後宮専属侍女に2時間お願いしたら私の部屋の一月分の金額になってしまうのだ。
有り得ない。
しかし、私にはそんな事より大切な事がある。
それは『働かねば明日のまんまが食べれない』と言う事だ。
だって、このルームサービスがさぁ。
「モーニングセットが一番安くって2千リンって、ぼったくりも良い所だよね」
そうぼやくと前を歩いていた侍女さんが
「ルームサービスをご利用の際は呼び出しのこちらのチャンネルでお願いします」
と、無表情で話して手に持っていたメニュー表を渡して来た。
そのメニュー表の下の方に番号が書いてあった。
これは魔術の認識コードで、最大20桁の番号がある。
基本的に貴族に生まれた子供は王家から祝いの品としてこの番号を貰っている。
まぁ、個人個人の電話番号のような物だ。
それを、予め転送用の魔方陣が組まれた魔石の着いたバングルを腕に着けて、その魔石に魔力と必要な番号を入力する事により、魔石から送受信させて会話が出来ると言う優れもので、これで遠くにいる人とも話が出来るのだ。
因みに、魔石の質で入力保存出来る番号には限度があるし、込められる魔力にも制限がある。
故に、長距離の送受信には多くの魔力を必要とする為に、それに耐えられる魔石が必須となる。
魔石とはダンジョンとか魔獣を倒した時に手に入るものだ。
とても高価な物なのである。
故に、普通の一般市民には高嶺の華。
まぁ、有名な冒険者とか騎士になるとある程度のお金を払って使用許可が下り、自らその高い魔石とバングルを手にするのだが。
まぁ、それもこれも用心深い王様が貴族や力の強い人間の居場所を把握する為の物だったと言う事は私の師匠から聞いて知っているんだけどね。
「では、こちらのお部屋になります。仕事のリストは夕食時にお持ちします」
侍女さんはそう言うと部屋の入り口で深々とお辞儀をした。
「えっ?夕食要らないよお金ないし」
思わず即答していた。
それに対して侍女さんは
「王妃様からお引っ越しのお祝いです。明日の謁見の時にでもお礼の言葉をお願い致します」
そう言って一礼して去って行った。
まぁ、夕食位ならご馳走になるか……安易にそう思った。
見取り図のような物を寄越されて、その見取り図の部屋には赤ですデカデカと『済み』の文字が書かれている所が多い。
「あまり数は残っていませんので」
と困ったように話した侍女。
妾ナンバーワンのグロリアと面会している間に部屋着を整えると話され選んだ部屋は、後宮の一番端っこの倉庫のような部屋だ。
何故なら
「まさか、部屋の賃貸も取られるとは思わなかったよ」
そう。
因みに、グロリア様が住んでいるあの部屋は一月20万リンだとか。
確かに見取り図で見ると一番大きなお部屋だ。
侍女は2名連れて来ているらしく、グロリア様の寝室の続き部屋に住んでいるらしい。
部屋はその後何段階かの段階があり、私が今から向かっているのは賃貸料一月1万リンの部屋だ。
例えば部屋の大きさや部屋数、使われている家具、お風呂の大きさ、トイレの様式。
それらで料金が異なる。
それに、部屋に設置させている照明器具や水道などは魔石に魔力を流す事によって作動するらしく、魔力のない人には魔力石を販売しているのだそうな。
まぁ、魔力は一応平凡程度にあるし、生活魔法なら基礎位は使えるので魔力石は必要ない。
それに、勿論侍女なんて連れて来ていないから私だけが住むのなら最低限の部屋で良いのだ。
因みに、後宮付きの侍女を一時的に雇う事が出来る事になっている。
勿論、後宮付きの侍女に手伝って貰う時は一時間5千リンの料金が掛かるのだと言う。
つまり、後宮専属侍女に2時間お願いしたら私の部屋の一月分の金額になってしまうのだ。
有り得ない。
しかし、私にはそんな事より大切な事がある。
それは『働かねば明日のまんまが食べれない』と言う事だ。
だって、このルームサービスがさぁ。
「モーニングセットが一番安くって2千リンって、ぼったくりも良い所だよね」
そうぼやくと前を歩いていた侍女さんが
「ルームサービスをご利用の際は呼び出しのこちらのチャンネルでお願いします」
と、無表情で話して手に持っていたメニュー表を渡して来た。
そのメニュー表の下の方に番号が書いてあった。
これは魔術の認識コードで、最大20桁の番号がある。
基本的に貴族に生まれた子供は王家から祝いの品としてこの番号を貰っている。
まぁ、個人個人の電話番号のような物だ。
それを、予め転送用の魔方陣が組まれた魔石の着いたバングルを腕に着けて、その魔石に魔力と必要な番号を入力する事により、魔石から送受信させて会話が出来ると言う優れもので、これで遠くにいる人とも話が出来るのだ。
因みに、魔石の質で入力保存出来る番号には限度があるし、込められる魔力にも制限がある。
故に、長距離の送受信には多くの魔力を必要とする為に、それに耐えられる魔石が必須となる。
魔石とはダンジョンとか魔獣を倒した時に手に入るものだ。
とても高価な物なのである。
故に、普通の一般市民には高嶺の華。
まぁ、有名な冒険者とか騎士になるとある程度のお金を払って使用許可が下り、自らその高い魔石とバングルを手にするのだが。
まぁ、それもこれも用心深い王様が貴族や力の強い人間の居場所を把握する為の物だったと言う事は私の師匠から聞いて知っているんだけどね。
「では、こちらのお部屋になります。仕事のリストは夕食時にお持ちします」
侍女さんはそう言うと部屋の入り口で深々とお辞儀をした。
「えっ?夕食要らないよお金ないし」
思わず即答していた。
それに対して侍女さんは
「王妃様からお引っ越しのお祝いです。明日の謁見の時にでもお礼の言葉をお願い致します」
そう言って一礼して去って行った。
まぁ、夕食位ならご馳走になるか……安易にそう思った。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる