ある公爵令嬢のお見合い事情

麻生空

文字の大きさ
上 下
20 / 24

休憩室にて2

しおりを挟む
いそいそと休憩室へ入った俺たち。

今日はエレナの父君の根回しのお陰で一番良い休憩室が予約出来た。

部屋の鍵を開け、そして確実に施錠する。

何せ休憩室とは出来上がったヤル気満々の貴族が来る場所だ。

間違って違う部屋に入ってしまう事もある為に施錠は常識だ。

疲れたようにソファーに座ったエレナは直ぐにハイヒールを脱ぎ捨てた。

「ん~解放感が良いわね」

美味しそうな足がソファーの上に乗る。

俺はイブニングコートを椅子の背もたれに引っ掻けるように脱ぎ捨てるとタイを緩める。

「エレナ。喉がかわいた。君の蜜が飲みたい」

そう言ってエレナをソファーから抱き上げるといそいそとベッドへと向かう。

優しくベッドへエレナを置くと俺は何時ものように口づけようと顔を近づけた。


「は~い、ストップ」

何時も閨事の時にはチャチャを入れた事のないマーちゃんが俺たちの間に突如現れた。

思わず「チッ」と舌打ちしてしまう。

「ちょっと発表があります」

「それは今この行為を妨げなくてはいけない程重大な事か?」

勿論ヤル気満々の俺の猛った息子は待ったされて怒りで爆発寸前。
早くエレナにこの暴れん坊の息子を沈めたい。

イラっとする俺にマーちゃんは「勿論」と、得意気に話を始めた。

「なんと、今エレナのお腹に子が宿りました」

パンパカパーンとどこからともなく効果音が流れて来る。

「えっ。私とクロヴィス様のお子が」

エレナはそう言うとお腹を愛し気に撫でる。

「そうですよ。これはとてもめでたい事です」

確かにめでたい事だけどさぁ、子供が出来たらあまり母体には負担をかけれない。
つまり、これって一種のおあずけ状態?

俺の息子どうしたら良い?

出来れば一発抜いた後にして欲しかった。

けど、子供かぁ……

「そうだな、子供は大切だ。エレナはこれからは子供の事と自分の体に気をつけなきゃいけないな」

そしてそっと俺もお腹に手を添えるエレナの手の上からそっと撫でる。

「はい。ちょっと何か勘違いしていませんか?」

マーちゃんはそう言うと俺の目の前に割って入る。

「エレナと私の契約は一方的な搾取ではありません。ウインウインの関係です。以前も言ったようにエレナを通して頂いた精気を元に私はエレナに生気を分け与えています。つまり丈夫な体ですね。エレナは元々虚弱体質で病弱でした。それを精気と等価交換で私がエレナに生気を送っています」

そこまで真剣に話すマーちゃん。

「つまりですね。妊婦になったエレナは以前よりも生気が必要なんです。故に貴方には今まで以上に精気をエレナに送って欲しいんですよね」

いたって真面目に話すマーちゃん。

「つまり、今まで以上にエレナにエッチな事をしろと?」

俺も真面目に聞き返してしまった。

「勿論です。因みに虚弱体質は母親から子供に遺伝しやすいので、子供が産まれたらなおのこと精気を捻出して下さい。そうしないと子供も生気不足になって大変な事になってしまいますから」

怖い顔で進言して来るマーちゃん。

「それは、つまり、子供の為にも俺達に励めと」

「はい。もうこれは毎晩失神するまでいたしたほうが良いかと思いますね」

俺も思わず怖い顔になってその言葉を受け止める。

「失神する位いたすと、それも毎日」

「へっ?」

エレナの目が点になっている。

「分かりました。男クロヴィス、妻と子供の為に毎日いっぱいの精気をマーちゃんに贈ろう」


片膝を立ててガッツポーズを決める俺にエレナの顔がひきつる。

かチャリと音を立てて下ろしたズボンからは臨戦態勢の息子が誇らしげにその存在をアピールしていた。

「エレナ。駄犬は待ったなしだ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...