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同室
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し………心臓が止まるかと思いました。
バクバク言う心臓。
何時までも続く口付け(髪の毛に)。
そんな私達の凍った時間は、牧師様が来た事で終わりを迎えた。
「少々早いですが、油の消費を抑える為に早めに夕食にしていますので………」
確かに節約は大切だと思う。
けど、それはお客様にまで求めるのはどうかな?
前世で知人の家に行ったらトイレに張り紙がしてあり『大の時はトイレットペーパーは50センチまで、小の時は20センチまで』とか、紙に書いてあった所があったけど、それに近いと思うんだ。
挙げ句、あそこのトイレットペーパーシングルだったし。
どこか遠い目で昔を思い出す。
けど、感傷に浸っている訳にはいかない。
「いえ、牧師様。無駄な消費は確かに良くないですわね。普段から節約していらっしゃるなんて尊敬いたしますわ」
私の言葉に牧師様は「いえ」と申し訳なさそうに言う。
多分この牧師様は高位貴族の出だろう。
そんな貴族の坊っちゃんらしからぬ発言。
つまり、奥様の方針なのだろうと推察される。
つまりだ「旦那の舵取りは完璧よ」と言う所か……しかし、今のは相当な失態だと思う。
何が失敗か、それはつまり私がゲストだと言う事だ。
それもこれからここの出資者になるだろうスペシャルゲスト。
これは今後の為にも奥様とは良く話し合わねば。
そう思いふつふつと闘志を募らせた。
まぁ、今回の目的は違う事だからそれは追々と。
「では、ご案内致します」
そう思いながら私達は牧師様に促され、牧師様の後へと続いて歩き出した。
侍従や御者は街の宿へと泊まらせる手配をしたので、今回は私とアルだけが教会に泊まる事になっている。
食堂に案内された私達の前に既に食事が並んでいた。
夕食はそれは質素だった。
少し固めのパンにじゃが芋のスープ、それに野菜のサラダ(ポテトサラダらしき物)に芋の煮物。
そう、芋芋芋。
別に食事に期待していた訳ではないけど……この味付けはないと思う。
塩味が欲しい。
味が薄い。
それにつきた。
食事が終われば案の定直ぐに部屋へと案内される。
勿論手に持った蝋燭も少ない。
このまま着けていれば後1時間程で無くなってしまうだろう位に短い。
私達は牧師様に部屋まで案内される。
そう、一部屋だけに。
「では明朝、またお会い致しましょう」
そう言って私達を部屋へ押し込めると火をアルへ渡して牧師様は暗闇の中を走り去って行った。
「へ………って、私達同室?」
もちろん部屋を見ればシングルには少し小さめのベッドが二つある。
ダブルベッドでないだけましなのか………?
「大丈夫。私の婚約者に結婚前に不埒な真似はしないよ」
そう言ってアルは優しくエスコートする。
ギクシャクする私にアルは困ったように眉を下げた。
「ほら俺の呪い。覚えている?」
そう言われて思い出す。
「確か……特別な女性と気持ちの通ったキスを1万回………」
「うん。そうだね。その後覚えている?」
アルのねだるような声に気持ちがソワソワする。
「え……っ……と、確かそうすれば物理的に女性を愛せるとか何とかだったような………」
それって、つまりアレの事だよね。
「うん。そうだよ。俺はこの呪いが解けない限りジュリアとそういう事は出来ないんだ。………と、言うよりも、朝立さえもないんだよ」
それって………男性の生理現象がないと………。
「それは………御愁傷様と言うべきか………それとも………」
こういう時なんて言えば良いのか前世の記憶を総動員しても判らない。
「大丈夫。ジュリアのその気持ちだけで嬉しいから」
そう言ってアルは微笑んだ。
バクバク言う心臓。
何時までも続く口付け(髪の毛に)。
そんな私達の凍った時間は、牧師様が来た事で終わりを迎えた。
「少々早いですが、油の消費を抑える為に早めに夕食にしていますので………」
確かに節約は大切だと思う。
けど、それはお客様にまで求めるのはどうかな?
前世で知人の家に行ったらトイレに張り紙がしてあり『大の時はトイレットペーパーは50センチまで、小の時は20センチまで』とか、紙に書いてあった所があったけど、それに近いと思うんだ。
挙げ句、あそこのトイレットペーパーシングルだったし。
どこか遠い目で昔を思い出す。
けど、感傷に浸っている訳にはいかない。
「いえ、牧師様。無駄な消費は確かに良くないですわね。普段から節約していらっしゃるなんて尊敬いたしますわ」
私の言葉に牧師様は「いえ」と申し訳なさそうに言う。
多分この牧師様は高位貴族の出だろう。
そんな貴族の坊っちゃんらしからぬ発言。
つまり、奥様の方針なのだろうと推察される。
つまりだ「旦那の舵取りは完璧よ」と言う所か……しかし、今のは相当な失態だと思う。
何が失敗か、それはつまり私がゲストだと言う事だ。
それもこれからここの出資者になるだろうスペシャルゲスト。
これは今後の為にも奥様とは良く話し合わねば。
そう思いふつふつと闘志を募らせた。
まぁ、今回の目的は違う事だからそれは追々と。
「では、ご案内致します」
そう思いながら私達は牧師様に促され、牧師様の後へと続いて歩き出した。
侍従や御者は街の宿へと泊まらせる手配をしたので、今回は私とアルだけが教会に泊まる事になっている。
食堂に案内された私達の前に既に食事が並んでいた。
夕食はそれは質素だった。
少し固めのパンにじゃが芋のスープ、それに野菜のサラダ(ポテトサラダらしき物)に芋の煮物。
そう、芋芋芋。
別に食事に期待していた訳ではないけど……この味付けはないと思う。
塩味が欲しい。
味が薄い。
それにつきた。
食事が終われば案の定直ぐに部屋へと案内される。
勿論手に持った蝋燭も少ない。
このまま着けていれば後1時間程で無くなってしまうだろう位に短い。
私達は牧師様に部屋まで案内される。
そう、一部屋だけに。
「では明朝、またお会い致しましょう」
そう言って私達を部屋へ押し込めると火をアルへ渡して牧師様は暗闇の中を走り去って行った。
「へ………って、私達同室?」
もちろん部屋を見ればシングルには少し小さめのベッドが二つある。
ダブルベッドでないだけましなのか………?
「大丈夫。私の婚約者に結婚前に不埒な真似はしないよ」
そう言ってアルは優しくエスコートする。
ギクシャクする私にアルは困ったように眉を下げた。
「ほら俺の呪い。覚えている?」
そう言われて思い出す。
「確か……特別な女性と気持ちの通ったキスを1万回………」
「うん。そうだね。その後覚えている?」
アルのねだるような声に気持ちがソワソワする。
「え……っ……と、確かそうすれば物理的に女性を愛せるとか何とかだったような………」
それって、つまりアレの事だよね。
「うん。そうだよ。俺はこの呪いが解けない限りジュリアとそういう事は出来ないんだ。………と、言うよりも、朝立さえもないんだよ」
それって………男性の生理現象がないと………。
「それは………御愁傷様と言うべきか………それとも………」
こういう時なんて言えば良いのか前世の記憶を総動員しても判らない。
「大丈夫。ジュリアのその気持ちだけで嬉しいから」
そう言ってアルは微笑んだ。
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