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間男
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俺の一族には昔からの『呪い』と『祝福』がある。
何でも遠い遠い1000年位前のご先祖様が女神様と賭けをしたのが発端らしい。
どういう経緯だったかまでは判らないが、我が一族の男性には呪いが掛けられている。
『呪い』……自身の特別な女性と気持ちの通ったキスを1万回しなければ、子孫を残せない。
『祝福』……更なる繁栄とギフトがあるらしい。まぁ、ギフトは呪いが解けたら貰えるらしいから、今の俺からすると何の役にも立たない。
そして、何故か女性にはその呪いがない代わりに、子供は女の子のみで多くても二人までしか生まれない。
そんな弊害があった。
更に言えば子供は男子は呪いを解いた者のみにしか授からないが、呪いを解いた者からは男女どちらも産まれる。
それに対して女性の子孫は全て女性しか産まない女系になってしまう弊害がある為に、跡取りの男子が生まれない家系になる。
ご先祖様よ。
一体どんな経緯でそうなったのだ。
お陰で我が一族は今ヤバい事になっているぞ。
そう思い、叔父との話が終わるとジュリアを探しに外へ出た。
あの呪いのネックレスはある意味呪われた首輪のような物だ。
俺からは相手の居場所が手に取るように判るが、逆はない。
それは今までのご先祖様が証明している。
だから、ジュリアからは俺の居場所は判らない。
案の定10分程も歩けば目的の人物を見つけた。
そっと気付かれないように近付き後ろから抱き締める。
「ジュリア」
声を掛けるとジュリアが俺の方へと身動ぎする。
「ん……ぎゃ……近い!!」
そう言って俺の体から離れようとする。
耳まで赤くしたジュリアはとても可愛い。
「近くて当たり前。キス出来ないだろう」
そう言って軽く触れるだけのキスをする。
ふと首元のネックレスに目が行くと……キスしたのにカウントしていない。
「アル、どうしたの?」
何も知らない風に尋ねて来るジュリアに
「何でもない」
とだけ言う。
何があった?
ここに来る前はちゃんとカウントしていただろう?
「そう言えばアル。私も呪いの事を神父様に詳しく聞こうと思って、今日はこちらに泊めてもらう事になったの。アルはどうする?もし戻るなら馬を調達するけど」
この状況でそのセリフ?
呪いのネックレスがカウントしない今?
まさか、好きな男が出来たとか?
だから俺が邪魔になったとか?
頭から冷水を浴びたように一瞬にして頭が冷える。
「私だけ帰ってどうするの?婚約者の私を除け者にしたいのなら別だけど」
そんな俺の言葉にジュリアがモゾモゾとする。
「そんな事ないわよ」
顔を赤らめて抗議するジュリア。
なんだ?
その態度は?
変な勘繰りをしてしまいそうになる。
「なら良いけどね。他に好きな男でも出来たのかと思ったよ」
まさかの間男かよ。
そう思っただけでイライラして来る。
「そんなのあるわけないわよ」
口調だけは強いが、何かが可笑しい。
俺はジュリアの瞳をじっくり見ながら威圧を掛ける。
徐々に赤くなるジュリアの顔。
こんなに赤くなる所など見たこともない。
って言うか俺の腕も真っ赤になっていた。
『あぁ。夕方だからか』
兎に角、今はまずい。
こんな逃げられる場所よりも、夜俺の傷の手当てをする時に捕まえて真意を聞き出せば良い。
俺は瞬時にそう頭を切り替えた。
「じゃあ。ジュリアはまだ私のものだと思っても大丈夫なんだよね」
俺はそう言うとジュリアの髪の毛に指を絡める。
絶対離さない……そう気持ちを込めて思わず髪を絡め取っていた。
「私のものも何も、私はアルの婚約者でしょう?アルが婚約破棄しない限り私はアルの婚約者だよ」
何時になく真剣なジュリア。
いや、彼女はいつも真剣だったと思う。
「だから、私からアルに婚約破棄する事なんてないからね」
真っ直ぐに見つめて来るジュリア。
俺が何者かも判らないくせに、それでも俺を選ぶのか?
本当に?
そう言っている脇で他の優良物件に目移りしているのでは?
スッと彼女の髪を口元まで近付けると、そっと口付ける。
間男。
望む所だ、返り討ちにしてやる。
君を決して逃がしはしないから………そう思いを込めて。
閉じた目を開きジュリアを見れば、真っ赤な顔をしたジュリアが右手で口元を隠しながら俺を凝視していた。
ネックレスのカウントは何故か有り得ない位の勢いで数字を刻む。
「ジュリア。君を信じるよ」
どうやら女神様からの呪いのカウントには、俺が知らない法則があるようだ。
そして、間男は俺の勘違いのようだ。
良かった。
何でも遠い遠い1000年位前のご先祖様が女神様と賭けをしたのが発端らしい。
どういう経緯だったかまでは判らないが、我が一族の男性には呪いが掛けられている。
『呪い』……自身の特別な女性と気持ちの通ったキスを1万回しなければ、子孫を残せない。
『祝福』……更なる繁栄とギフトがあるらしい。まぁ、ギフトは呪いが解けたら貰えるらしいから、今の俺からすると何の役にも立たない。
そして、何故か女性にはその呪いがない代わりに、子供は女の子のみで多くても二人までしか生まれない。
そんな弊害があった。
更に言えば子供は男子は呪いを解いた者のみにしか授からないが、呪いを解いた者からは男女どちらも産まれる。
それに対して女性の子孫は全て女性しか産まない女系になってしまう弊害がある為に、跡取りの男子が生まれない家系になる。
ご先祖様よ。
一体どんな経緯でそうなったのだ。
お陰で我が一族は今ヤバい事になっているぞ。
そう思い、叔父との話が終わるとジュリアを探しに外へ出た。
あの呪いのネックレスはある意味呪われた首輪のような物だ。
俺からは相手の居場所が手に取るように判るが、逆はない。
それは今までのご先祖様が証明している。
だから、ジュリアからは俺の居場所は判らない。
案の定10分程も歩けば目的の人物を見つけた。
そっと気付かれないように近付き後ろから抱き締める。
「ジュリア」
声を掛けるとジュリアが俺の方へと身動ぎする。
「ん……ぎゃ……近い!!」
そう言って俺の体から離れようとする。
耳まで赤くしたジュリアはとても可愛い。
「近くて当たり前。キス出来ないだろう」
そう言って軽く触れるだけのキスをする。
ふと首元のネックレスに目が行くと……キスしたのにカウントしていない。
「アル、どうしたの?」
何も知らない風に尋ねて来るジュリアに
「何でもない」
とだけ言う。
何があった?
ここに来る前はちゃんとカウントしていただろう?
「そう言えばアル。私も呪いの事を神父様に詳しく聞こうと思って、今日はこちらに泊めてもらう事になったの。アルはどうする?もし戻るなら馬を調達するけど」
この状況でそのセリフ?
呪いのネックレスがカウントしない今?
まさか、好きな男が出来たとか?
だから俺が邪魔になったとか?
頭から冷水を浴びたように一瞬にして頭が冷える。
「私だけ帰ってどうするの?婚約者の私を除け者にしたいのなら別だけど」
そんな俺の言葉にジュリアがモゾモゾとする。
「そんな事ないわよ」
顔を赤らめて抗議するジュリア。
なんだ?
その態度は?
変な勘繰りをしてしまいそうになる。
「なら良いけどね。他に好きな男でも出来たのかと思ったよ」
まさかの間男かよ。
そう思っただけでイライラして来る。
「そんなのあるわけないわよ」
口調だけは強いが、何かが可笑しい。
俺はジュリアの瞳をじっくり見ながら威圧を掛ける。
徐々に赤くなるジュリアの顔。
こんなに赤くなる所など見たこともない。
って言うか俺の腕も真っ赤になっていた。
『あぁ。夕方だからか』
兎に角、今はまずい。
こんな逃げられる場所よりも、夜俺の傷の手当てをする時に捕まえて真意を聞き出せば良い。
俺は瞬時にそう頭を切り替えた。
「じゃあ。ジュリアはまだ私のものだと思っても大丈夫なんだよね」
俺はそう言うとジュリアの髪の毛に指を絡める。
絶対離さない……そう気持ちを込めて思わず髪を絡め取っていた。
「私のものも何も、私はアルの婚約者でしょう?アルが婚約破棄しない限り私はアルの婚約者だよ」
何時になく真剣なジュリア。
いや、彼女はいつも真剣だったと思う。
「だから、私からアルに婚約破棄する事なんてないからね」
真っ直ぐに見つめて来るジュリア。
俺が何者かも判らないくせに、それでも俺を選ぶのか?
本当に?
そう言っている脇で他の優良物件に目移りしているのでは?
スッと彼女の髪を口元まで近付けると、そっと口付ける。
間男。
望む所だ、返り討ちにしてやる。
君を決して逃がしはしないから………そう思いを込めて。
閉じた目を開きジュリアを見れば、真っ赤な顔をしたジュリアが右手で口元を隠しながら俺を凝視していた。
ネックレスのカウントは何故か有り得ない位の勢いで数字を刻む。
「ジュリア。君を信じるよ」
どうやら女神様からの呪いのカウントには、俺が知らない法則があるようだ。
そして、間男は俺の勘違いのようだ。
良かった。
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