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その日は本当に平和だった。
何時もと変わらず時間が過ぎていた。
丁度午後の瞑想の時間にそれは起きた。
「キャーーーっ、ヨキム」
厨房の方から悲鳴が聞こえ、胸騒ぎを感じながら私は走った。
私の部屋から厨房まで2分。
服に火が着いた状態のヨキムさんが床にのたうち回っていた。
ヨキムさんの奥さんのハンナが水瓶のみずを掛けて火を消している。
私がヨキムさんの所へ着いた時には火は殆ど消えていた。
全身の皮膚は爛れており、呼吸もおかしい。
『これ、ヤバいヤツだ』
「ヨキムさん」
抱き付くハンナの横から私もヨキムさんにすがりつく。
何時も私に優しいヨキムさん。
一緒に調理して、一緒にご飯をたべて、私に寝床を準備してくれたヨキムさん。
『いやだ、ヨキムさん死んじゃいやだ』
涙が出た瞬間何時も瞑想の時に感じていたあの生暖かい力が私からヨキムさんへと包み込む。
ゴッソリと力が抜けいく感覚に私の意識はそこでダウンしてしまった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
目を開けたら朝だった。
既に厨房から美味しそうな匂いが漂って来ている。
「変な夢を見たから寝過ごしてしまったみたい」
妙にリアルな夢だったけど、夢なら良かった。
私は急いで起き上がると身支度を整える。
と、言っても髪を義理の妹が使っていて侍女達に捨てられた櫛で、赤ちゃんようの櫛の毛が柔らかいものでとかすだけだけど。
身なりを整えるると私は急いで厨房へと走った。
「ごめんなさい。寝坊しちゃった」
2歳児なんだから寝坊位は許して欲しい。
「ユイナお嬢様。お加減は大丈夫ですか?」
料理を盛り付けていたハンナが私の所へ走り寄り両手で私の身体を確認するように触って来る。
「ちょっと寝坊しただけで大袈裟だよ」
私が困ったように言う、ハンナはヨキムさんの方を見て苦笑いする。
「そうですね。たまには朝寝坊も良いのですよ。ルミナ様なんて早くて10時に起きるのですから」
ルミナとは私の義理の妹の事だ。
もう直ぐ2歳になる妹。
少しの間だけ同じ2歳児。
私はもう直ぐ3歳になるから。
好きな物を好きなだけ食べている妹は一歳下だけど、今は私より服のサイズが大きい。
どうせ捨てるのであれば、私が貰っても良いよね。
と、真剣に模索している今日この頃。
「丁度朝食の準備が出来ましたので、ユイナお嬢様召し上がって下さい」
ハンナはそう言うと私の椅子を引く。
グゥ~と言う音がなり、私は笑いながらハンナの申し出を受けた。
「ありがとう。何か凄くお腹が減ちゃっていたみたい」
何時もは具の入っていないスープだったが、今日はお野菜がコロコロと入っていた。
「こんなに豪華なスープ良いの?」
私は心配になりハンナにそう聞くと
「今朝はいっぱい野菜が取れましたので大丈夫ですよ。たまには具のあるスープも食べませんとね」
生まれてからもう直ぐ3年。
具のあるスープなんて生まれて初めてだった。
何時もと変わらず時間が過ぎていた。
丁度午後の瞑想の時間にそれは起きた。
「キャーーーっ、ヨキム」
厨房の方から悲鳴が聞こえ、胸騒ぎを感じながら私は走った。
私の部屋から厨房まで2分。
服に火が着いた状態のヨキムさんが床にのたうち回っていた。
ヨキムさんの奥さんのハンナが水瓶のみずを掛けて火を消している。
私がヨキムさんの所へ着いた時には火は殆ど消えていた。
全身の皮膚は爛れており、呼吸もおかしい。
『これ、ヤバいヤツだ』
「ヨキムさん」
抱き付くハンナの横から私もヨキムさんにすがりつく。
何時も私に優しいヨキムさん。
一緒に調理して、一緒にご飯をたべて、私に寝床を準備してくれたヨキムさん。
『いやだ、ヨキムさん死んじゃいやだ』
涙が出た瞬間何時も瞑想の時に感じていたあの生暖かい力が私からヨキムさんへと包み込む。
ゴッソリと力が抜けいく感覚に私の意識はそこでダウンしてしまった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
目を開けたら朝だった。
既に厨房から美味しそうな匂いが漂って来ている。
「変な夢を見たから寝過ごしてしまったみたい」
妙にリアルな夢だったけど、夢なら良かった。
私は急いで起き上がると身支度を整える。
と、言っても髪を義理の妹が使っていて侍女達に捨てられた櫛で、赤ちゃんようの櫛の毛が柔らかいものでとかすだけだけど。
身なりを整えるると私は急いで厨房へと走った。
「ごめんなさい。寝坊しちゃった」
2歳児なんだから寝坊位は許して欲しい。
「ユイナお嬢様。お加減は大丈夫ですか?」
料理を盛り付けていたハンナが私の所へ走り寄り両手で私の身体を確認するように触って来る。
「ちょっと寝坊しただけで大袈裟だよ」
私が困ったように言う、ハンナはヨキムさんの方を見て苦笑いする。
「そうですね。たまには朝寝坊も良いのですよ。ルミナ様なんて早くて10時に起きるのですから」
ルミナとは私の義理の妹の事だ。
もう直ぐ2歳になる妹。
少しの間だけ同じ2歳児。
私はもう直ぐ3歳になるから。
好きな物を好きなだけ食べている妹は一歳下だけど、今は私より服のサイズが大きい。
どうせ捨てるのであれば、私が貰っても良いよね。
と、真剣に模索している今日この頃。
「丁度朝食の準備が出来ましたので、ユイナお嬢様召し上がって下さい」
ハンナはそう言うと私の椅子を引く。
グゥ~と言う音がなり、私は笑いながらハンナの申し出を受けた。
「ありがとう。何か凄くお腹が減ちゃっていたみたい」
何時もは具の入っていないスープだったが、今日はお野菜がコロコロと入っていた。
「こんなに豪華なスープ良いの?」
私は心配になりハンナにそう聞くと
「今朝はいっぱい野菜が取れましたので大丈夫ですよ。たまには具のあるスープも食べませんとね」
生まれてからもう直ぐ3年。
具のあるスープなんて生まれて初めてだった。
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