可愛い子羊ちゃん

麻生空

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ポイっと、侍女さん達のあの勢いのまま私はベッドの上にポイ捨てされた。

「ご馳走さま。美味しかったですよ」
「坊っちゃまには勿体無いくらいでしたが、致し方ないです」
「またお風呂で遊びましょうね」

三人三様に捨て台詞を吐いて去って行く。

キリト先輩のお部屋。
部屋中がキリト先輩の匂いがして居たたまれない。

「ふぇ~」

薄い透け透けの服。

立ち上がれば膝上まであるものの

「なんて……寒い服なのかしら。色々な意味で……」

これじゃあ風邪を引いちゃう。

そう思いもう一度自身の体を見てしまう。

薄い透け透けの服から覗く凹凸の少ない体。

「こんなんじゃきっとキリト先輩欲情しないよ」

先程の侍女さん達を思い出し何処か遠い目になってしまう。

ブルンブルンと揺れるたわわな胸もなければ、キュッとしまったウエストもない。

下生えだってこんなに薄くって、まるでパイパン。

陰毛が柔らかい薄毛で色も白いのが敗因だと思う。

「はぁ~」

とため息を着いた時に扉が開きキリト先輩が戻って来た。

私を見たキリト先輩は渋い顔をすると眉間にシワを寄せて沈痛な面持ちになる。

『あっ、きっと私のこの姿に幻滅してしまったんだわ。いくら頭とあそこが大きいと侍女さん達に言われるキリト先輩だってきっと萎えちゃうんだ』

そう思うととても悲しくなってしまう。
きっと「やっぱり止めよう」なんて言ってくるんだわ。 
でも、先輩はそんな私に「味見をしたい」って言ってくれた。

『えっ。萎えちゃったから止めようじゃないの?勿論答えはイエスだよ』

キリト先輩の男が勃起しないなら、せめて私の血で機嫌を治して貰いたい。

洗い上げたばかりの天然パーマはまだ襟足の部分が乾いていない為に首に髪の毛が少しかかっている。

私は吸いやすいように髪の毛をどけると「どうぞ」と首を差し出した。

ギシリ

と音を立てて私に近寄ったキリト先輩。

キラリと見えるキリト先輩の犬歯に、私は目を瞑った。

カプリ

と刺さった犬歯は、でも痛みは全然感じさせない。

吸い付いた唇に、すっと血の気が引くのと同時に何とも言えない快感が全身を巡った。

バンパイアは吸血の際にその痛みとか不快感を出させない為に獲物へ催眠効果のあるエクスタシーを感じるエキスを出すのだとか。

キリト先輩に触れられた部分が熱を持つ。

お股の間が触れてもいないのにムズムズする。

失われた血液と同じ分……いや、それ以上に濃厚なナニかが私の全身を駆け巡る。

強い快楽の渦に

体がガクガクして来て……

『あぁ、目の前が白くなる。もうダメ。朦朧として来た』

あぁ……私……このまま……

そこで私の意識は暗転した。
 
次に目覚めた時には白銀の髪に真っ赤な瞳の麗人と合間見えるのだが、それは暫しの夢の後の話だ。
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