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国王が身罷った事を国民が知る事になったのは、国王が亡くなってから7日が過ぎた頃だった。
時は3月。
「アレキサンダー王がお隠れになったとか……この国は大丈夫だろうか?」
大勢の貴族が王宮へと続く道に長蛇の列を作っていた。
既にアレキサンダー王の血縁者達は前日の内に登城している。
儀式は丁度正午から始まるらしい。
「どうにかなるだろう?今までも大丈夫だったのだから」
生真面目に話す同級生達にアナスタシオは深い溜め息を吐いた。
艶やかな紫の髪を襟元で切り揃えてあり、そんなアナスタシオの姿を見る度にジョナサンはため息を吐きたくなる。
「我々青二才がどうこう言ったって何も始まらないよ。それに、貴族ならまだしも、我々のような一般市民には雲の上の出来事さ。それより来週の卒業式の後の宴会の打ち合わせをしようよ」
朝からする話ではないが、何せ時間がない。
卒業生から選ばれた7人で宴会の準備をする事になっていたが、何せこの騒ぎだ。
貴族のボンボンの4人は数日前から家に帰っている。
「あいつらが当日来るとは限らないだろう?私達でやらなきゃならないんだ」
そう言ってアナスタシオは親友のジョナサンの背を叩いた。
丁度校門を通った所で女生徒からの黄色い悲鳴が飛び交う。
「お~。朝から人気あるなジョナサン。モテモテで羨ましいよ」
アナスタシオがまたもやジョナサンの背を叩き茶化す。
ジョナサンはゴホゴホと噎せながらアナスタシオを見た。
「ジョナサン。アナスタシオの鈍感振りは有名だから」
後ろから着いて来ていたテッドが呆れ顔でそう指摘して来た。
「テッド……こいつに少し自覚ってもんを教えてやっていれ」
ジョナサンのその言葉にテッドは鼻で息をする。
「無自覚だから平和なんだよ。ジョナサン」
テッドはそう言うと二人の腕を取り校内へと入って行った。
「ただでさえ中央通りは道路が混んでいるんだ。こんな所で渋滞を作っちゃいけないよ」
強引に連れ立たれた二人はお互いに不平不満をテッドに浴びせながら校内を闊歩する事になった。
相変わらず黄色い悲鳴は続いていた。
時は3月。
「アレキサンダー王がお隠れになったとか……この国は大丈夫だろうか?」
大勢の貴族が王宮へと続く道に長蛇の列を作っていた。
既にアレキサンダー王の血縁者達は前日の内に登城している。
儀式は丁度正午から始まるらしい。
「どうにかなるだろう?今までも大丈夫だったのだから」
生真面目に話す同級生達にアナスタシオは深い溜め息を吐いた。
艶やかな紫の髪を襟元で切り揃えてあり、そんなアナスタシオの姿を見る度にジョナサンはため息を吐きたくなる。
「我々青二才がどうこう言ったって何も始まらないよ。それに、貴族ならまだしも、我々のような一般市民には雲の上の出来事さ。それより来週の卒業式の後の宴会の打ち合わせをしようよ」
朝からする話ではないが、何せ時間がない。
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そう言ってアナスタシオは親友のジョナサンの背を叩いた。
丁度校門を通った所で女生徒からの黄色い悲鳴が飛び交う。
「お~。朝から人気あるなジョナサン。モテモテで羨ましいよ」
アナスタシオがまたもやジョナサンの背を叩き茶化す。
ジョナサンはゴホゴホと噎せながらアナスタシオを見た。
「ジョナサン。アナスタシオの鈍感振りは有名だから」
後ろから着いて来ていたテッドが呆れ顔でそう指摘して来た。
「テッド……こいつに少し自覚ってもんを教えてやっていれ」
ジョナサンのその言葉にテッドは鼻で息をする。
「無自覚だから平和なんだよ。ジョナサン」
テッドはそう言うと二人の腕を取り校内へと入って行った。
「ただでさえ中央通りは道路が混んでいるんだ。こんな所で渋滞を作っちゃいけないよ」
強引に連れ立たれた二人はお互いに不平不満をテッドに浴びせながら校内を闊歩する事になった。
相変わらず黄色い悲鳴は続いていた。
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