90 / 97
67
しおりを挟む
公爵領と言われる領地は王都を中心に八つに分かれている。
基本的に代々公爵位を拝する五大公爵家と、王族が一代限り賜る大公家(王族は三名だけが大公として領地を賜れる)。
現在大公家は先代の王弟殿下一名と現在の王弟殿下二名がその任に就いている。
どの時代もそうだが、大公の爵位を持つ王族が亡くなると一代限りの爵位の為に、その家族はその領土を王家に還さなくてはならない。
そして、新たな王族が大公になるが、いない場合は王家直轄地として管理される。
また、王都周辺と国境側に王家の直轄領もある。
故に、王太子以外の男子は将来的に大公となるが、領地に関しては空きがなければ賜る事も出来ず、その場合は年金と言うお金が入る事になる。
領地の管理能力がない王族なら正直年金を貰って暮らす方が責任も少ないし楽なのだが、かと言って領地の空きがあるのに「私は年金で良いです」何て言う馬鹿は今までいなかった。
それに、管理を全て部下に任せて何もしなかった王族は事実何名かいるが、社交だけは欠かさず行っていた。
勿論、年金を貰う方は公務にも出なければならないので、まるっきり何もしないのではないのだ。
つまり、何が言いたいかと言うと、ただで飲み食い出来る訳ではないと言う事だ。
「あのボンクラ伯爵め~」
色々考えれば考える程無能な伯爵に頭に来る。
諸々の鬱憤のまま馬を走らせる。
話は戻るが、王都を中心に公爵領はドーナッツを輪切りしたように分布されている。
そして、王都からその公爵領までは大きな整地された道が通っている為に馬車でも結構な速度が出せるのだ。
変な言い方だが、王都に行くよりラクト伯爵の領地の方が近いのに、道の整備がなっていない為にやたらと時間を食うのだ。
故に、ルトラー家からラクト伯爵家まで馬で一時間位の距離になってしまう。
公爵領から各領地に伸びる一応主流とされている荒れた道をひたすら馬を走らせる。
馬車がやっと通る位の道だが、本当ならもう少し大きく整地して凹凸を減らして流通を良くしたかったのだ。
せめて馬車がすれ違える位には。
ラクト伯爵の領地は確かに税収が良い。
けど、それに特化している為にその他の農業、つまり、食料は自領で賄えないのだ。
その為に他の地域から食料を調達している。
食料はやはり鮮度も大切な為にその運搬の為の手段として陸路と航路が考えられた。
けど、川の水は何時もあるとは限らない。
5年前の水不足の時には船を通せない程水位が下がったのだ。
それ故に三年前から商業用の大きな道を作る話が上がったのだが。
何を考えているのか、今ではそんな声すらない。
本来ならラクト伯爵家の方こそ上にお願いする立場の癖に、話が本決まりのなる
前に何も言って来なくなったらしい。
まぁ、その頃に世代交代があったのだから、あのボンクラ息子がサボっているとしか思えない。
悪態つきつき一直線とは言えない道のりを大分蛇行しながら馬を走らせる。
これがもし直線の道なら30分位でラクト伯爵の家に到着したであろう。
故に、私はショートカットをする。
つまり、道がない所でも多少のショートカットで走る。
馬車だったらこうは行かない。
何のための馬だ。
但し、これはこの本筋の道のみ。
後は途中から伯爵家へ北上する道に入るのだ。
そこからは道なりに走る事にしている。
何せラクト伯爵の家には行った事がないからだ。
ただ、知識として地図では場所を確認している。
その程度だ。
そろそろ北上する道が見えてくる頃だと前方を確認すれば、一頭の馬が道端の草を食べていて、その脇の茂みの中に人が横たわっているのが見えた。
道路にちょっとだけ足が出ていて普通に考えて昼寝をしているようには見えない。
『もしや落馬?』
そんな予感がして私は自身の乗っていた馬を静止させた。
「そこの御仁如何されましたか?」
馬から降りながら声を掛けると呻き声が帰って来た。
やはり、落馬したのか?
人命救助は何よりも優先される。
私は倒れた人を助けようと茂みの中へと入って行った。
「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」
声を掛けつつ茂みを割って入ると突然倒れていた人物が私の腕を引いた。
『しまった。罠か?』
基本的に代々公爵位を拝する五大公爵家と、王族が一代限り賜る大公家(王族は三名だけが大公として領地を賜れる)。
現在大公家は先代の王弟殿下一名と現在の王弟殿下二名がその任に就いている。
どの時代もそうだが、大公の爵位を持つ王族が亡くなると一代限りの爵位の為に、その家族はその領土を王家に還さなくてはならない。
そして、新たな王族が大公になるが、いない場合は王家直轄地として管理される。
また、王都周辺と国境側に王家の直轄領もある。
故に、王太子以外の男子は将来的に大公となるが、領地に関しては空きがなければ賜る事も出来ず、その場合は年金と言うお金が入る事になる。
領地の管理能力がない王族なら正直年金を貰って暮らす方が責任も少ないし楽なのだが、かと言って領地の空きがあるのに「私は年金で良いです」何て言う馬鹿は今までいなかった。
それに、管理を全て部下に任せて何もしなかった王族は事実何名かいるが、社交だけは欠かさず行っていた。
勿論、年金を貰う方は公務にも出なければならないので、まるっきり何もしないのではないのだ。
つまり、何が言いたいかと言うと、ただで飲み食い出来る訳ではないと言う事だ。
「あのボンクラ伯爵め~」
色々考えれば考える程無能な伯爵に頭に来る。
諸々の鬱憤のまま馬を走らせる。
話は戻るが、王都を中心に公爵領はドーナッツを輪切りしたように分布されている。
そして、王都からその公爵領までは大きな整地された道が通っている為に馬車でも結構な速度が出せるのだ。
変な言い方だが、王都に行くよりラクト伯爵の領地の方が近いのに、道の整備がなっていない為にやたらと時間を食うのだ。
故に、ルトラー家からラクト伯爵家まで馬で一時間位の距離になってしまう。
公爵領から各領地に伸びる一応主流とされている荒れた道をひたすら馬を走らせる。
馬車がやっと通る位の道だが、本当ならもう少し大きく整地して凹凸を減らして流通を良くしたかったのだ。
せめて馬車がすれ違える位には。
ラクト伯爵の領地は確かに税収が良い。
けど、それに特化している為にその他の農業、つまり、食料は自領で賄えないのだ。
その為に他の地域から食料を調達している。
食料はやはり鮮度も大切な為にその運搬の為の手段として陸路と航路が考えられた。
けど、川の水は何時もあるとは限らない。
5年前の水不足の時には船を通せない程水位が下がったのだ。
それ故に三年前から商業用の大きな道を作る話が上がったのだが。
何を考えているのか、今ではそんな声すらない。
本来ならラクト伯爵家の方こそ上にお願いする立場の癖に、話が本決まりのなる
前に何も言って来なくなったらしい。
まぁ、その頃に世代交代があったのだから、あのボンクラ息子がサボっているとしか思えない。
悪態つきつき一直線とは言えない道のりを大分蛇行しながら馬を走らせる。
これがもし直線の道なら30分位でラクト伯爵の家に到着したであろう。
故に、私はショートカットをする。
つまり、道がない所でも多少のショートカットで走る。
馬車だったらこうは行かない。
何のための馬だ。
但し、これはこの本筋の道のみ。
後は途中から伯爵家へ北上する道に入るのだ。
そこからは道なりに走る事にしている。
何せラクト伯爵の家には行った事がないからだ。
ただ、知識として地図では場所を確認している。
その程度だ。
そろそろ北上する道が見えてくる頃だと前方を確認すれば、一頭の馬が道端の草を食べていて、その脇の茂みの中に人が横たわっているのが見えた。
道路にちょっとだけ足が出ていて普通に考えて昼寝をしているようには見えない。
『もしや落馬?』
そんな予感がして私は自身の乗っていた馬を静止させた。
「そこの御仁如何されましたか?」
馬から降りながら声を掛けると呻き声が帰って来た。
やはり、落馬したのか?
人命救助は何よりも優先される。
私は倒れた人を助けようと茂みの中へと入って行った。
「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」
声を掛けつつ茂みを割って入ると突然倒れていた人物が私の腕を引いた。
『しまった。罠か?』
0
お気に入りに追加
169
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件
百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。
そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。
いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。)
それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる!
いいんだけど触りすぎ。
お母様も呆れからの憎しみも・・・
溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。
デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。
アリサはの気持ちは・・・。
「結婚しよう」
まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。
一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。
【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。
でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
悲恋 (一部BL要素含む)
樺純
恋愛
王が世を支配する時代。
トナとコハクは愛し合いながら穏やかな日々を過ごしていました。
そんな時、トナとコハクの住む町に王が現れます。
トナは王に身染められ、愛するコハクと別れ胸を痛めながら王宮に入る事になります。
王宮に入ったトナに次々と起こる試練。
トナを失い悲しみに暮れるコハク。
そんな二人に幸せな日々は訪れるのでしょうか…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる