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ルドルフ視点12
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我等が主君のアレンデル殿下の16歳の誕生日を祝う夜会。
それは王族にとっては大切な節目の祝いでもあった。
「これで我等のアレンデル殿下も成人と見なされ晴れて大人の仲間入りだな」
隣に立つユリウスが嬉しそうにそう話す。
勿論僕も嬉しい。
今までは半人前扱いで大きな仕事も回って来なかったが、これからは違う。
成人した一人の王族として責任ある仕事を任されるのだ。
「これで殿下が結婚してくだされば未来にある憂いは何もかもなくなると言うのに……」
そうである。
殿下は本来婚約している姫君と16歳の誕生日を迎えた暁には直ぐにでも婚姻する予定だった。
が、三年前から巷で噂されているアレンデル殿下が男色家だと言う不名誉な噂のせいで、その縁談事態が今危ぶまれているのだ。
「そうだな。結婚して伴侶が要れば社交も広がるのに」
そうボヤけば隣に立つユリウスが不適に笑った。
「お前には政治の事は分からないようだからそれでも良いか。そう言えばルドルフの婚約者はなかなか可愛い方だったな。いつ頃式を挙げるつもりだ?」
ニタニタと笑いながら聞いて来るユリウス。
「僕は女など……」
そう、女などあさましい生き物と結婚など考えられなかった。この前までは……。
「ハハ。ルドルフの悪い癖が出たね。そんなんじゃ可愛い婚約者に愛想を尽かされてしまうぞ」
「冗談だろう女など掃いて捨てるだけいると言うのに?」
「………………。」
ーーー、
そう言って馬鹿な事を言った自分を今は罵りたい気分になっていた。
「どういう事ですか?」
日曜日の朝に、エドからアレンデル殿下の元に火曜日から仕事に行く事と、それに伴って領地の執務を終わらせなきゃならない事が書かれた手紙を読んだ僕は気分良く両親と三人の朝食を摂っていた。
そんな時に父からの爆弾発言。
僕の気分は天国から地獄まで真っ逆さまに堕ちてしまったのだ。
「初顔合わせの件は知っているが、その後に足しげく婚約者の元に通っていたので二人の仲は良好なものだと安心していたのだ。それを、お前は婚約者に会いに行っていたのではなく、別の人物に会いに行っていたと言うではないか」
確かに、初日は御者をしていたハンスが父に本当の事は報告したらしく次の日に父からこっぴどく叱られた。
だから、次からは馬に乗って一人で訪問していたのだ。
「僕はきちんと毎週ルトラー家に行っていましたが。誰からそのような話を聞かれたのですか?」
そう問い掛ければ
「ルトラー家に入っているカイザル殿下の密偵だ。因みにだが、カイザル殿下の密偵はどの家にも入っている。これは内緒で聞いた事だから我が家でも決して誰が密偵かなど探りを入れる事はするな。平穏な生活がしたいのであればな」
父はそれだけを言うと改めて僕の方を見た。
「兎に角、今回の婚約は白紙になった。お前とて今好きな相手を日陰の存在になどしたくはないだろう?正妻が日の当たる所ならそれ以外は人目を忍ぶ関係だ。お前の相手が誰かは分からないが、そんな日陰の生活を強いるのはお前とて嫌だろう?」
父にそう問われればその通りだ。
エドを日陰の存在にする事なんて出来ない。
けど、エリスの事も今は嫌いではないのだ。
しかし、エリスとエドならどちらが好きか?と聞かれたら間違いなくエドと言うだろう。
「少し考えさせて下さい」
僕はそう言って立ち上がった。
僕の後ろで父が
「考えるも何も決定事項だが、まぁ好きなだけ考えるがいいさ」
とボヤいていた。
それは王族にとっては大切な節目の祝いでもあった。
「これで我等のアレンデル殿下も成人と見なされ晴れて大人の仲間入りだな」
隣に立つユリウスが嬉しそうにそう話す。
勿論僕も嬉しい。
今までは半人前扱いで大きな仕事も回って来なかったが、これからは違う。
成人した一人の王族として責任ある仕事を任されるのだ。
「これで殿下が結婚してくだされば未来にある憂いは何もかもなくなると言うのに……」
そうである。
殿下は本来婚約している姫君と16歳の誕生日を迎えた暁には直ぐにでも婚姻する予定だった。
が、三年前から巷で噂されているアレンデル殿下が男色家だと言う不名誉な噂のせいで、その縁談事態が今危ぶまれているのだ。
「そうだな。結婚して伴侶が要れば社交も広がるのに」
そうボヤけば隣に立つユリウスが不適に笑った。
「お前には政治の事は分からないようだからそれでも良いか。そう言えばルドルフの婚約者はなかなか可愛い方だったな。いつ頃式を挙げるつもりだ?」
ニタニタと笑いながら聞いて来るユリウス。
「僕は女など……」
そう、女などあさましい生き物と結婚など考えられなかった。この前までは……。
「ハハ。ルドルフの悪い癖が出たね。そんなんじゃ可愛い婚約者に愛想を尽かされてしまうぞ」
「冗談だろう女など掃いて捨てるだけいると言うのに?」
「………………。」
ーーー、
そう言って馬鹿な事を言った自分を今は罵りたい気分になっていた。
「どういう事ですか?」
日曜日の朝に、エドからアレンデル殿下の元に火曜日から仕事に行く事と、それに伴って領地の執務を終わらせなきゃならない事が書かれた手紙を読んだ僕は気分良く両親と三人の朝食を摂っていた。
そんな時に父からの爆弾発言。
僕の気分は天国から地獄まで真っ逆さまに堕ちてしまったのだ。
「初顔合わせの件は知っているが、その後に足しげく婚約者の元に通っていたので二人の仲は良好なものだと安心していたのだ。それを、お前は婚約者に会いに行っていたのではなく、別の人物に会いに行っていたと言うではないか」
確かに、初日は御者をしていたハンスが父に本当の事は報告したらしく次の日に父からこっぴどく叱られた。
だから、次からは馬に乗って一人で訪問していたのだ。
「僕はきちんと毎週ルトラー家に行っていましたが。誰からそのような話を聞かれたのですか?」
そう問い掛ければ
「ルトラー家に入っているカイザル殿下の密偵だ。因みにだが、カイザル殿下の密偵はどの家にも入っている。これは内緒で聞いた事だから我が家でも決して誰が密偵かなど探りを入れる事はするな。平穏な生活がしたいのであればな」
父はそれだけを言うと改めて僕の方を見た。
「兎に角、今回の婚約は白紙になった。お前とて今好きな相手を日陰の存在になどしたくはないだろう?正妻が日の当たる所ならそれ以外は人目を忍ぶ関係だ。お前の相手が誰かは分からないが、そんな日陰の生活を強いるのはお前とて嫌だろう?」
父にそう問われればその通りだ。
エドを日陰の存在にする事なんて出来ない。
けど、エリスの事も今は嫌いではないのだ。
しかし、エリスとエドならどちらが好きか?と聞かれたら間違いなくエドと言うだろう。
「少し考えさせて下さい」
僕はそう言って立ち上がった。
僕の後ろで父が
「考えるも何も決定事項だが、まぁ好きなだけ考えるがいいさ」
とボヤいていた。
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