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カナリア殿下とのお食事4カナリア視点
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「エリス。ごめんなさい」
私はエリスを見ながら困ったように謝った。
「まさか、エリスがアレンと恋仲だなんて知らなかったから、ルドルフとの婚約を強要してしまったのね」
基本的に貴族の婚約は家同士の約束事。
恋愛感情なんてない。
今回のルドルフとエリスの婚約も私がゴリ押しした節もあり、本人達の意思は無視されていたのだ。
良かれと思ってやった事とはいえ、なんて事をしてしまったのか。
まさか、自分で変なフラグを立ててしまうだなんて……。
「ゲームでは本来ルドルフには婚約者は居なかったの。けど、姉としてあの子の将来を憂いてしまって今回の婚約も勝手に決めてしまったわ。ごめんなさいね」
食事の手を止めてエリスを見れば困ったように「気にしないで下さい」と慌てて手振り身振りで話す。
「ありがとう。それで、一応同じ転生者として聞くのだけど、ルドルフの事はどう思っているのかしら?好きとか嫌いとかでも良いんだけど」
ルドルフの姉としても念のために聞いて置かなければならない。
一瞬顔を強ばられたエリス。
「本当に気兼ねなく本音を言って欲しいのよ。このゲームは些細な事でも攻略対象がヤンデレ化する恐れのあるものだから。内容に寄っては力になれると思うの」
マジにヤンデレ化するからこのゲームはマジにヤバイんだって。
尚もゴリ押しでそう言うと、私の質問にエリスは深いため息を吐いた。
「ルドルフ様の事ですか……エリスとしては初めてお会いした日は紅茶一杯分位しかお話をしていませんけど、始終不機嫌なご様子で、その時に『これって乙女ゲーム』と思い至ったんです。それに、ルドルフ様からの嫌悪感も感じた事で私はもしかしたら自分は悪役令嬢なのではないか?と……」
申し訳ない様子です話すエリス。
「初顔合わせで紅茶一杯分?何馬鹿やってんのよ。あの子」
クワッと目を見開き思わず素で突っ込んでいた。
「それで、悪役令嬢として変なフラグが立たないように兄の許可を貰って、一ヶ月後の顔合わせからエドワードの振りをして会ったんですが……」
そこまで言うとエリスは歯切れ悪くなる。
ゴニョゴニョと良い辛そうに話すエリス。
「大丈夫です。同じ転生者なのですから共にこの腐ったゲームの破滅フラグを回避致しましょう」
ニコリと微笑んでそう言うと、エリスはホッとした表情になる。
けど、私は次の話を聞いてホッとはしていられなかった。
「やたらと身体に触れて来るようになって……それと、何故か愛称呼びにしようって……月一の顔合わせが、何故か毎週遊びに来るし、まるまる1日ベッタリだし、その間も婚約者のエリスに会いたいなんて話も一切ないし、最近ではルドルフ様って婚約者のエリスより兄のエドワードが好きなんじゃっないかって思うくらいです」
どうやらルドルフの男色家行きは防げていなかったようだ。
ゲームでは、攻略対象であるルドルフの姉の三姉妹による王太子争奪戦を目の前で生々しく見ていた為に女の浅ましさを見せつけられ、挙げ句、王太子の妃に選ばれなかった二人の姉妹から腹いせのように酷い、それも性的な意味での悪戯をされたルドルフは益々女性不信になってしまうのだ。
けど、今回は私が王太子妃に選ばれて直ぐに二人の姉妹に優良物件を放り投げた為にその矛先はルドルフには向かわなかった。
本来のゲームでは、そのせいで主人公がルドルフルートに入るとルドルフの事を思った主人公が姉達に復讐しようと密かに行動を起こすのだから。
けど、それもラストで語られた内容によると二人の仲を引き裂こうとする姉妹を邪魔に思った主人公の企みなんだけどね。
今の私は主人公と良好な関係を築いているから大丈夫だとは思うけど、万が一を考えてルドルフルートを消す為に婚約者を宛がったのだ。
ここに来てそれが全て裏目に出るだなんて……。
勿論、カナリアが夜会の最中にルドルフと主人公に罵声を浴びせた事が破滅へのフラグになるのだが、そうなるように精神的な攻撃と催眠術のような事を主人公がしたのだと今は確信出来る。
何故なら催眠術も子供達を寝せるのに使っていたし、話術も結構巧みだったので人をカモるのが上手かった。
だからこそゲームではBLハーレム状態を築き上げれたのだろう。
何せ、あのアレンすら陥落させるのだから。
但し、アレンルートの攻略は難易度が滅茶苦茶高かった。
逆に言えば、全キャラ攻略した後に出る隠しキャラルートのカイザルの方が攻略が楽だったんだからアレンと言うキャラの難しさが伺える。
故に、あんなに自分の物アピールしてくるアレンに慕われているエリスが人タラシでないはずがないのだ。
私はルドルフとも主人公とも今のところは良好な関係を築いている。
勿論、主人公には好きな人が出来た時は例えその相手が父だったとしても全面的に協力すると伝えている。
まぁ、笑って一蹴されたのだけど。
だから、今はアレンへの対応だ。
私の平穏な人生の為に、ここでしくる訳にはいかない。
だから、穏便に提案をしてみる。
「もし、エリスがルドルフとの婚約が嫌なのなら、婚約を白紙に出来るように協力は惜しまないわよ。だって、同じ転生者なのですから」
残念ながら、全然同じではない。
方や悪役令嬢。
方やただのモブキャラ。
私の方が分が悪いのだから。
私はエリスを見ながら困ったように謝った。
「まさか、エリスがアレンと恋仲だなんて知らなかったから、ルドルフとの婚約を強要してしまったのね」
基本的に貴族の婚約は家同士の約束事。
恋愛感情なんてない。
今回のルドルフとエリスの婚約も私がゴリ押しした節もあり、本人達の意思は無視されていたのだ。
良かれと思ってやった事とはいえ、なんて事をしてしまったのか。
まさか、自分で変なフラグを立ててしまうだなんて……。
「ゲームでは本来ルドルフには婚約者は居なかったの。けど、姉としてあの子の将来を憂いてしまって今回の婚約も勝手に決めてしまったわ。ごめんなさいね」
食事の手を止めてエリスを見れば困ったように「気にしないで下さい」と慌てて手振り身振りで話す。
「ありがとう。それで、一応同じ転生者として聞くのだけど、ルドルフの事はどう思っているのかしら?好きとか嫌いとかでも良いんだけど」
ルドルフの姉としても念のために聞いて置かなければならない。
一瞬顔を強ばられたエリス。
「本当に気兼ねなく本音を言って欲しいのよ。このゲームは些細な事でも攻略対象がヤンデレ化する恐れのあるものだから。内容に寄っては力になれると思うの」
マジにヤンデレ化するからこのゲームはマジにヤバイんだって。
尚もゴリ押しでそう言うと、私の質問にエリスは深いため息を吐いた。
「ルドルフ様の事ですか……エリスとしては初めてお会いした日は紅茶一杯分位しかお話をしていませんけど、始終不機嫌なご様子で、その時に『これって乙女ゲーム』と思い至ったんです。それに、ルドルフ様からの嫌悪感も感じた事で私はもしかしたら自分は悪役令嬢なのではないか?と……」
申し訳ない様子です話すエリス。
「初顔合わせで紅茶一杯分?何馬鹿やってんのよ。あの子」
クワッと目を見開き思わず素で突っ込んでいた。
「それで、悪役令嬢として変なフラグが立たないように兄の許可を貰って、一ヶ月後の顔合わせからエドワードの振りをして会ったんですが……」
そこまで言うとエリスは歯切れ悪くなる。
ゴニョゴニョと良い辛そうに話すエリス。
「大丈夫です。同じ転生者なのですから共にこの腐ったゲームの破滅フラグを回避致しましょう」
ニコリと微笑んでそう言うと、エリスはホッとした表情になる。
けど、私は次の話を聞いてホッとはしていられなかった。
「やたらと身体に触れて来るようになって……それと、何故か愛称呼びにしようって……月一の顔合わせが、何故か毎週遊びに来るし、まるまる1日ベッタリだし、その間も婚約者のエリスに会いたいなんて話も一切ないし、最近ではルドルフ様って婚約者のエリスより兄のエドワードが好きなんじゃっないかって思うくらいです」
どうやらルドルフの男色家行きは防げていなかったようだ。
ゲームでは、攻略対象であるルドルフの姉の三姉妹による王太子争奪戦を目の前で生々しく見ていた為に女の浅ましさを見せつけられ、挙げ句、王太子の妃に選ばれなかった二人の姉妹から腹いせのように酷い、それも性的な意味での悪戯をされたルドルフは益々女性不信になってしまうのだ。
けど、今回は私が王太子妃に選ばれて直ぐに二人の姉妹に優良物件を放り投げた為にその矛先はルドルフには向かわなかった。
本来のゲームでは、そのせいで主人公がルドルフルートに入るとルドルフの事を思った主人公が姉達に復讐しようと密かに行動を起こすのだから。
けど、それもラストで語られた内容によると二人の仲を引き裂こうとする姉妹を邪魔に思った主人公の企みなんだけどね。
今の私は主人公と良好な関係を築いているから大丈夫だとは思うけど、万が一を考えてルドルフルートを消す為に婚約者を宛がったのだ。
ここに来てそれが全て裏目に出るだなんて……。
勿論、カナリアが夜会の最中にルドルフと主人公に罵声を浴びせた事が破滅へのフラグになるのだが、そうなるように精神的な攻撃と催眠術のような事を主人公がしたのだと今は確信出来る。
何故なら催眠術も子供達を寝せるのに使っていたし、話術も結構巧みだったので人をカモるのが上手かった。
だからこそゲームではBLハーレム状態を築き上げれたのだろう。
何せ、あのアレンすら陥落させるのだから。
但し、アレンルートの攻略は難易度が滅茶苦茶高かった。
逆に言えば、全キャラ攻略した後に出る隠しキャラルートのカイザルの方が攻略が楽だったんだからアレンと言うキャラの難しさが伺える。
故に、あんなに自分の物アピールしてくるアレンに慕われているエリスが人タラシでないはずがないのだ。
私はルドルフとも主人公とも今のところは良好な関係を築いている。
勿論、主人公には好きな人が出来た時は例えその相手が父だったとしても全面的に協力すると伝えている。
まぁ、笑って一蹴されたのだけど。
だから、今はアレンへの対応だ。
私の平穏な人生の為に、ここでしくる訳にはいかない。
だから、穏便に提案をしてみる。
「もし、エリスがルドルフとの婚約が嫌なのなら、婚約を白紙に出来るように協力は惜しまないわよ。だって、同じ転生者なのですから」
残念ながら、全然同じではない。
方や悪役令嬢。
方やただのモブキャラ。
私の方が分が悪いのだから。
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(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
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