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「では、あのメリーと言うご婦人はミランダだったのか」
アレンデル殿下は驚きを露にし少し思案するご様子。
「ふ~ん。あの婦人がミランダ……それに、エリスにメリーって呼んで欲しいとか……彼の本気度が見えるようだ」
何やらボソボソと呟くアレンデル殿下。
一頻り考えた後に私の淹れたお茶を一口口に含む。
「おや、これは美味しい」
感嘆しながら再びお茶を口に含む。
「エリスの淹れてくれたお茶は実に美味しいね。毎日飲みたいくらいだよ」
そして、滅茶苦茶誉められてしまった。
「ありがとうございます」
そりゃあ、入社一年目はひたすらお茶汲みしていたからね。
だいぶ先輩から嫌みを言われながら色々工夫した日々が懐かしいなぁ。
お陰で会議と言うと何かとお茶をお願いされたっけ。
そりゃあ上手くもなりますよ。
まぁ、そのせいで自分の仕事をこなす時間が減ったから早く書類を見る技も身に付いたんだけど。
コクコクとお茶を飲み干したアレンデル殿下は「もう一杯頂けるかな?」と笑顔でお願いしてくる。
正直、子供のあどけない笑顔でのお願いには弱いのだ。
お姉さんその笑顔でもうお腹一杯ですよ。
勿論お代わりには笑顔で応対だ。
新しく淹れたお茶を嬉しそうに飲むアレンデル殿下。
「美味しい」
と幸せそうに言うアレンデル殿下はまさに天使。
思わず見いってしまったが……いかん、本末転倒、まだお話の最中だった。
「あの……アレンデル殿下、先程のお話の続きなのですが」
そう言って私はアレンデル殿下の方を見た。
すると、アレンデル殿下は深いため息をつかれる。
「どうやら誤魔化しは効かないみたいだね」
そう言ってアレンデル殿下は苦笑いをする。
「勿論です。それに、乗り掛かった船ですし、私に出来る事でしたら協力したいです」
そうだ。
まだデビューもしていない子供があんなに真剣に悩み話したのだ、大人の自分がその期待に応えないでどうするのか。
「本当に良いの。聞いたら絶対に私の協力者になって貰うんだよ」
再度念を押して来るアレンデル殿下。
「勿論最初から協力する気持ちです。そうでなければ聞きませんよ」
理由を聞いて「はい、そうですか」と後は無視するような事は絶対にしない。
味方は多い方が良いのだから。
私だって一人だったら立っていないと思う。
お兄様やお父様やお母様がいなかったら逃げて庶民になっていたと思う。
でも、私は大好きな家族を見捨てたりなんかしない。
だから、持てるコネは沢山あった方が良いのだ。
そんな思いでアレンデル殿下を見つめると「本当に困った人だ」と嬉しそうに笑われたのだった。
アレンデル殿下は驚きを露にし少し思案するご様子。
「ふ~ん。あの婦人がミランダ……それに、エリスにメリーって呼んで欲しいとか……彼の本気度が見えるようだ」
何やらボソボソと呟くアレンデル殿下。
一頻り考えた後に私の淹れたお茶を一口口に含む。
「おや、これは美味しい」
感嘆しながら再びお茶を口に含む。
「エリスの淹れてくれたお茶は実に美味しいね。毎日飲みたいくらいだよ」
そして、滅茶苦茶誉められてしまった。
「ありがとうございます」
そりゃあ、入社一年目はひたすらお茶汲みしていたからね。
だいぶ先輩から嫌みを言われながら色々工夫した日々が懐かしいなぁ。
お陰で会議と言うと何かとお茶をお願いされたっけ。
そりゃあ上手くもなりますよ。
まぁ、そのせいで自分の仕事をこなす時間が減ったから早く書類を見る技も身に付いたんだけど。
コクコクとお茶を飲み干したアレンデル殿下は「もう一杯頂けるかな?」と笑顔でお願いしてくる。
正直、子供のあどけない笑顔でのお願いには弱いのだ。
お姉さんその笑顔でもうお腹一杯ですよ。
勿論お代わりには笑顔で応対だ。
新しく淹れたお茶を嬉しそうに飲むアレンデル殿下。
「美味しい」
と幸せそうに言うアレンデル殿下はまさに天使。
思わず見いってしまったが……いかん、本末転倒、まだお話の最中だった。
「あの……アレンデル殿下、先程のお話の続きなのですが」
そう言って私はアレンデル殿下の方を見た。
すると、アレンデル殿下は深いため息をつかれる。
「どうやら誤魔化しは効かないみたいだね」
そう言ってアレンデル殿下は苦笑いをする。
「勿論です。それに、乗り掛かった船ですし、私に出来る事でしたら協力したいです」
そうだ。
まだデビューもしていない子供があんなに真剣に悩み話したのだ、大人の自分がその期待に応えないでどうするのか。
「本当に良いの。聞いたら絶対に私の協力者になって貰うんだよ」
再度念を押して来るアレンデル殿下。
「勿論最初から協力する気持ちです。そうでなければ聞きませんよ」
理由を聞いて「はい、そうですか」と後は無視するような事は絶対にしない。
味方は多い方が良いのだから。
私だって一人だったら立っていないと思う。
お兄様やお父様やお母様がいなかったら逃げて庶民になっていたと思う。
でも、私は大好きな家族を見捨てたりなんかしない。
だから、持てるコネは沢山あった方が良いのだ。
そんな思いでアレンデル殿下を見つめると「本当に困った人だ」と嬉しそうに笑われたのだった。
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