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れっ冷蔵庫でしょうか?
ほんのりと床から立ち込める冷気には覚えがあった。
『パチン』と言う指を鳴らす音と共にその冷気が一瞬で消えて行く。
「ルドルフ。今日は珍しく魔力の制御が出来ていないね」
どうやら指を鳴らしたのはアレンデル殿下のようで、冷ややかな声でルドルフ様に注意をする。
ルドルフ様は何故か気まずい様子で何も言わない。
「そうなんです。実は馬車の中でも調子が悪いご様子でして先程のような事が、ダンスも辞退した方がと話をしていたのですが……」
思わず意見してしまったが、王子殿下に意見とか……これは不味いと口を閉じる。
「そうなの?ルドルフ」
アレンデル殿下はルドルフ様に確認するが
「いえ、単なる寝不足です。僕の不徳の致す所です」
と、丁寧に私の発言のお茶を濁してくれた。
なんで?
調子が悪いならこれ幸いに休めば良いのに。
あっ、そうか、エドに遇っていないからか。
そこまでしてエドに合いたいの?
男の友情面倒くさいなぁ~。
内心ため息が出ちゃうよ。
よし、ここは早めにエドとチェンジだな。
そして、ルドルフ様にはとっとと家に帰って貰って休んで頂く。
よし、そうしよう。
一応婚約者だし、ルドルフ様のフォローもしておかなければ。
「あの、アレンデル殿下。私、実は始めての王宮の夜会に参加したせいか緊張してしまい。恥ずかしながら疲れてしまいまして……」
申し訳ないようにそう申告する。
「それは気がつかなくって悪かったね。ルドルフ。父上と兄上にご挨拶したらエリーを休ませてあげると良い」
さすが、話の分かる方は何事もスムーズだ。
それに比べ、ルドルフ様面倒くさ~。
「分かりました。では、アレンデル殿下御前失礼致します」
ルドルフ様はそう言うと私の手を取りエスコートするように陛下達の方へと歩き出した。
一応私もご挨拶をと思いアレンデル殿下の方を向くと軽く会釈する。
すると、それに気付いたアレンデル殿下は此方へ向かって軽く手を振られた。
まぁ、なんかそんな子供らしい仕草がちょっと可愛いと思ってしまった。
会話をしていると大人びた口調に一瞬年齢を忘れそうになるけど、私よりも三才も年下の男の子だ。
本来なら社交界デビューする16歳にもなっていない年齢。
まだまだ私達のような大人が助けてあげなければならない年齢。
隣を見ると剥れているルドルフ様。
アレンデル殿下ではないけど余裕が全然感じられない。
相手は子供なのに……。
はぁ……。
ほんのりと床から立ち込める冷気には覚えがあった。
『パチン』と言う指を鳴らす音と共にその冷気が一瞬で消えて行く。
「ルドルフ。今日は珍しく魔力の制御が出来ていないね」
どうやら指を鳴らしたのはアレンデル殿下のようで、冷ややかな声でルドルフ様に注意をする。
ルドルフ様は何故か気まずい様子で何も言わない。
「そうなんです。実は馬車の中でも調子が悪いご様子でして先程のような事が、ダンスも辞退した方がと話をしていたのですが……」
思わず意見してしまったが、王子殿下に意見とか……これは不味いと口を閉じる。
「そうなの?ルドルフ」
アレンデル殿下はルドルフ様に確認するが
「いえ、単なる寝不足です。僕の不徳の致す所です」
と、丁寧に私の発言のお茶を濁してくれた。
なんで?
調子が悪いならこれ幸いに休めば良いのに。
あっ、そうか、エドに遇っていないからか。
そこまでしてエドに合いたいの?
男の友情面倒くさいなぁ~。
内心ため息が出ちゃうよ。
よし、ここは早めにエドとチェンジだな。
そして、ルドルフ様にはとっとと家に帰って貰って休んで頂く。
よし、そうしよう。
一応婚約者だし、ルドルフ様のフォローもしておかなければ。
「あの、アレンデル殿下。私、実は始めての王宮の夜会に参加したせいか緊張してしまい。恥ずかしながら疲れてしまいまして……」
申し訳ないようにそう申告する。
「それは気がつかなくって悪かったね。ルドルフ。父上と兄上にご挨拶したらエリーを休ませてあげると良い」
さすが、話の分かる方は何事もスムーズだ。
それに比べ、ルドルフ様面倒くさ~。
「分かりました。では、アレンデル殿下御前失礼致します」
ルドルフ様はそう言うと私の手を取りエスコートするように陛下達の方へと歩き出した。
一応私もご挨拶をと思いアレンデル殿下の方を向くと軽く会釈する。
すると、それに気付いたアレンデル殿下は此方へ向かって軽く手を振られた。
まぁ、なんかそんな子供らしい仕草がちょっと可愛いと思ってしまった。
会話をしていると大人びた口調に一瞬年齢を忘れそうになるけど、私よりも三才も年下の男の子だ。
本来なら社交界デビューする16歳にもなっていない年齢。
まだまだ私達のような大人が助けてあげなければならない年齢。
隣を見ると剥れているルドルフ様。
アレンデル殿下ではないけど余裕が全然感じられない。
相手は子供なのに……。
はぁ……。
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