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王宮の会場の扉の前では、名前を呼ばれる順番待ちで華やかな人達が楽しげに会話を楽しんでいた。
私は辺りを見渡し知り合いがいるかどうかを確認する。
チラチラと何人もの人と目が合うけど、知らない人ばかり。
「やっぱり知っている方はいないのね」とても残念だが、仕方がない。
「大丈夫。先ほど第二王子殿下の許しを貰ったから今日はずっと側に居るよ」
甘いマスクで砂吐きそうな事を言っては私に触れて来るルドルフ様。
何がしたいのか?正直分からない。
もしや何かの罠かしら?
それに、ずっと一緒は正直何処まで本気かは分からないけど、もしそれが本当でも大丈夫。
何故なら、今日は偶然にも『王太子妃殿下』と言う強いカードも手に入れたからだ。
それも、『エドを楽しみにしているわ』とのお言葉付きでである。
断罪する攻略対象の身内だが、あのお姉様ならきっと大丈夫、私を陥れるとかそういう事は考えないだろう。
「エリス。次だよ」
ルドルフ様は優しくそう言うと私の腰に手を回して来た。
こっ、これは、そうか、やっと分かった。
これは俗に言う『仲の良い婚約者』の振りと言うやつでではないだろうか?
良く政略結婚物でお互いに何とも思っていないのに、公の場では仲の良い振りをすると言う俗に言う所の仮面夫婦。
流石は攻略対象。
結構高難易度の技を使ってくるのね。
それならそうと最初に打ち合わせくらいして欲しかったよ。
お陰で変な神経が磨り減ってしまった。
故に、私は慣れない似非スマイルを顔に張り付けたのだった。
さてさて、こう言う夜会、つまり主に格式高い夜会と言う所は基本的に序列の低い者から入場する。
前世の記憶がある私からしたら「上客優先じゃないの?」と思っていた。
何故入場の優先順位が後なのか?と凄く疑問に思う。
勿論その序列は爵位であり、爵位が同じでも役職やホスト側から見ての優先順位もある。
まぁ、それはこの際どうでも良い。
さて、理解の早い方なら察しているだろう。
私のパートナーのルドルフ様。
公爵家で姉は王太子妃殿下。
本人も第二王子殿下の側近。
つまり、つまりだ。
この場合、限りなく最後に呼ばれると言う事だ。
カナリア様の所で時間を大分食ったが、それでも入り口で結構待たされた。
その間中私は仲の良い婚約者の役をやらせられ続けると言う拷問にあっていたのだ。
遠くから見る分には眼福ものだけど、自分を嫌いな相手と表面上ニコニコしなければならないのは正直辛かった。
そして、やっとの入場である。
しかし、私はすっかり忘れていた。
仲良し仮面はここからが本番だと言う事を。
私は辺りを見渡し知り合いがいるかどうかを確認する。
チラチラと何人もの人と目が合うけど、知らない人ばかり。
「やっぱり知っている方はいないのね」とても残念だが、仕方がない。
「大丈夫。先ほど第二王子殿下の許しを貰ったから今日はずっと側に居るよ」
甘いマスクで砂吐きそうな事を言っては私に触れて来るルドルフ様。
何がしたいのか?正直分からない。
もしや何かの罠かしら?
それに、ずっと一緒は正直何処まで本気かは分からないけど、もしそれが本当でも大丈夫。
何故なら、今日は偶然にも『王太子妃殿下』と言う強いカードも手に入れたからだ。
それも、『エドを楽しみにしているわ』とのお言葉付きでである。
断罪する攻略対象の身内だが、あのお姉様ならきっと大丈夫、私を陥れるとかそういう事は考えないだろう。
「エリス。次だよ」
ルドルフ様は優しくそう言うと私の腰に手を回して来た。
こっ、これは、そうか、やっと分かった。
これは俗に言う『仲の良い婚約者』の振りと言うやつでではないだろうか?
良く政略結婚物でお互いに何とも思っていないのに、公の場では仲の良い振りをすると言う俗に言う所の仮面夫婦。
流石は攻略対象。
結構高難易度の技を使ってくるのね。
それならそうと最初に打ち合わせくらいして欲しかったよ。
お陰で変な神経が磨り減ってしまった。
故に、私は慣れない似非スマイルを顔に張り付けたのだった。
さてさて、こう言う夜会、つまり主に格式高い夜会と言う所は基本的に序列の低い者から入場する。
前世の記憶がある私からしたら「上客優先じゃないの?」と思っていた。
何故入場の優先順位が後なのか?と凄く疑問に思う。
勿論その序列は爵位であり、爵位が同じでも役職やホスト側から見ての優先順位もある。
まぁ、それはこの際どうでも良い。
さて、理解の早い方なら察しているだろう。
私のパートナーのルドルフ様。
公爵家で姉は王太子妃殿下。
本人も第二王子殿下の側近。
つまり、つまりだ。
この場合、限りなく最後に呼ばれると言う事だ。
カナリア様の所で時間を大分食ったが、それでも入り口で結構待たされた。
その間中私は仲の良い婚約者の役をやらせられ続けると言う拷問にあっていたのだ。
遠くから見る分には眼福ものだけど、自分を嫌いな相手と表面上ニコニコしなければならないのは正直辛かった。
そして、やっとの入場である。
しかし、私はすっかり忘れていた。
仲良し仮面はここからが本番だと言う事を。
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