42 / 97
34
しおりを挟む
王宮に着くとルドルフ様は直ぐに王太子妃殿下へ伝言を頼んだ。
ものの10分程で返事が来る。
流石は姉弟だけあり融通が効くようである。
「迎えを寄越すから直ぐに来てくれて大丈夫だそうだ。流石に男の僕ではこんな時間に伺うのは良くないからね。エリス、一人でも行けますか?」
確かに、いくら姉弟だからと言っても王太子妃の部屋へ突然こんな時間に男の人が訪問するのは不味いよね。
「勿論、大丈夫ですよ。気になさらないで下さい」
大体いつも私のことなんて気にもしないくせに、どういう風の吹き回しか?
「僕はその間に第二王子殿下に挨拶して来るからゆっくり化粧を直して貰って大丈夫だから」
いやいや、流石に夜会を控えたこの時間に王太子妃殿下の部屋でゆっくりなんてしたらどんな嫌がらせかと思われるよ。
もしかしてそれが狙い?
後で常識のない女とか言う為にとか?
……。
何処まで私を陥れたいのか。
そんな事を考えていると王太子妃殿下付きの侍女が迎えに現れた。
故に、どんな意図があっての言葉だったのか考える余裕もなく王宮の入口で一旦別れる事になった私達。
私は王太子妃殿下付きの侍女に連れられて王太子妃殿下の部屋へと移動した。
ルドルフ様の家族とは初対面になる。
ドキドキするなぁ。
侍女が扉の前で入室の挨拶をする。
「どうぞ入って」
鈴を転がしますような美しい声が聞こえる。
「失礼致します」
そうして入った部屋はとても華美で居心地が悪かった。
『あのテーブルいくらするの?あのツボは?』
目の前の高級品に眩暈がする。
何せ、先日来客楊の部屋をリフォームする時に色々な家具等を見学した為に物を見ると値段が頭に浮かぶのだ。
肝心の王太子妃殿下は鏡の前で最終チェックをしている様子だ。
しかし、ここで失敗は許されない。
「お初にお目にかかります王太子妃殿下。わたくしリトラー公爵が娘エリスでございます」
そう言って恭しくカーテーシーをする。
家を出る前にルドルフ様にした挨拶以上に丁寧に挨拶をした。
「まぁ、貴女がルドルフの婚約者のエリスね。初めまして、私はルドルフの姉のカナリアよ。顔を見せて」
頭を上げて良く王太子妃殿下を観察する。
ルドルフ様と良く似た綺麗な美女がそこには居た。
さすが王太子が堕ちるだけあり絶世の美女。
それを分かっているかのような自信に満ちた瞳。
王太子妃殿下が体を動かす度にふんだんにあしらわれたシフォンの生地がサラサラと音を立てて揺らめいている。
とても幻想的で美しいドレス
金で縁取りされた白の生地はスカートの部分から下へ行く程に青色になるグラデーションカラーだ。
そこにも、至る所に金糸で蔦のような刺繍が施されており、とても幻想的な雰囲気だ。
私の来ているドレスのさらにグレードアップした装いになっている。
流石ミランダさん。
変態だけど貴族の上下関係を熟知したような服の仕立てだ。
これなら王太子妃殿下の機嫌は損ねない。
私はにこやかに微笑むと
「ありがとうございます」
とお礼を述べた。
「所でエリス。その涙の後はもしやルドルフに虐められたのではないでしょうね?」
きらびやかな七色に輝く扇を開いて王太子妃殿下は目を細めながら問い掛ける。
「滅相もございません。初めての王宮での夜会に緊張してしまい。こんな不作法な真似をしてしまい申し訳ございません」
まさか、本当の事は言えない。
私がルドルフ様に嫌われていて、悪役令嬢だからその内婚約破棄されると言うことを。
「そう?貴女そんな玉には見えないんだけど、まぁ良いわ。わたくし貴女を気に入ったわ。これからはお姉様と呼ぶ事を許します。宜しくお願いね。エリス」
ニコリと微笑まれる王太子妃殿下。
「はい。お姉様」
一応ご要望通りに「お姉様」とは言っておいた。
その後、素早い侍女さん達のお陰で更に綺麗にメイクをして頂いた。
「大丈夫よ。大体の事情はミランダから話は聞いているから。でも、折角の夜会。薄化粧じゃ勿体無いわよね」
そう言ってウインクされた。
「ありがとうございます」
「そうそう。貴女の秘密はルドルフは知らないから安心して」
満面の笑みでそう言う王太子妃殿下。
心無しか口角が微妙に上がっている。
「だって、その方が面白いものが見れるでしょう。オホホホ」
軽快に笑う王太子妃殿下。
ちょっと一癖も二癖もありそうなお姉様。
こんなお姉様と暮らしていたなんて、色々な意味で少しルドルフ様に同情してしまった。
ものの10分程で返事が来る。
流石は姉弟だけあり融通が効くようである。
「迎えを寄越すから直ぐに来てくれて大丈夫だそうだ。流石に男の僕ではこんな時間に伺うのは良くないからね。エリス、一人でも行けますか?」
確かに、いくら姉弟だからと言っても王太子妃の部屋へ突然こんな時間に男の人が訪問するのは不味いよね。
「勿論、大丈夫ですよ。気になさらないで下さい」
大体いつも私のことなんて気にもしないくせに、どういう風の吹き回しか?
「僕はその間に第二王子殿下に挨拶して来るからゆっくり化粧を直して貰って大丈夫だから」
いやいや、流石に夜会を控えたこの時間に王太子妃殿下の部屋でゆっくりなんてしたらどんな嫌がらせかと思われるよ。
もしかしてそれが狙い?
後で常識のない女とか言う為にとか?
……。
何処まで私を陥れたいのか。
そんな事を考えていると王太子妃殿下付きの侍女が迎えに現れた。
故に、どんな意図があっての言葉だったのか考える余裕もなく王宮の入口で一旦別れる事になった私達。
私は王太子妃殿下付きの侍女に連れられて王太子妃殿下の部屋へと移動した。
ルドルフ様の家族とは初対面になる。
ドキドキするなぁ。
侍女が扉の前で入室の挨拶をする。
「どうぞ入って」
鈴を転がしますような美しい声が聞こえる。
「失礼致します」
そうして入った部屋はとても華美で居心地が悪かった。
『あのテーブルいくらするの?あのツボは?』
目の前の高級品に眩暈がする。
何せ、先日来客楊の部屋をリフォームする時に色々な家具等を見学した為に物を見ると値段が頭に浮かぶのだ。
肝心の王太子妃殿下は鏡の前で最終チェックをしている様子だ。
しかし、ここで失敗は許されない。
「お初にお目にかかります王太子妃殿下。わたくしリトラー公爵が娘エリスでございます」
そう言って恭しくカーテーシーをする。
家を出る前にルドルフ様にした挨拶以上に丁寧に挨拶をした。
「まぁ、貴女がルドルフの婚約者のエリスね。初めまして、私はルドルフの姉のカナリアよ。顔を見せて」
頭を上げて良く王太子妃殿下を観察する。
ルドルフ様と良く似た綺麗な美女がそこには居た。
さすが王太子が堕ちるだけあり絶世の美女。
それを分かっているかのような自信に満ちた瞳。
王太子妃殿下が体を動かす度にふんだんにあしらわれたシフォンの生地がサラサラと音を立てて揺らめいている。
とても幻想的で美しいドレス
金で縁取りされた白の生地はスカートの部分から下へ行く程に青色になるグラデーションカラーだ。
そこにも、至る所に金糸で蔦のような刺繍が施されており、とても幻想的な雰囲気だ。
私の来ているドレスのさらにグレードアップした装いになっている。
流石ミランダさん。
変態だけど貴族の上下関係を熟知したような服の仕立てだ。
これなら王太子妃殿下の機嫌は損ねない。
私はにこやかに微笑むと
「ありがとうございます」
とお礼を述べた。
「所でエリス。その涙の後はもしやルドルフに虐められたのではないでしょうね?」
きらびやかな七色に輝く扇を開いて王太子妃殿下は目を細めながら問い掛ける。
「滅相もございません。初めての王宮での夜会に緊張してしまい。こんな不作法な真似をしてしまい申し訳ございません」
まさか、本当の事は言えない。
私がルドルフ様に嫌われていて、悪役令嬢だからその内婚約破棄されると言うことを。
「そう?貴女そんな玉には見えないんだけど、まぁ良いわ。わたくし貴女を気に入ったわ。これからはお姉様と呼ぶ事を許します。宜しくお願いね。エリス」
ニコリと微笑まれる王太子妃殿下。
「はい。お姉様」
一応ご要望通りに「お姉様」とは言っておいた。
その後、素早い侍女さん達のお陰で更に綺麗にメイクをして頂いた。
「大丈夫よ。大体の事情はミランダから話は聞いているから。でも、折角の夜会。薄化粧じゃ勿体無いわよね」
そう言ってウインクされた。
「ありがとうございます」
「そうそう。貴女の秘密はルドルフは知らないから安心して」
満面の笑みでそう言う王太子妃殿下。
心無しか口角が微妙に上がっている。
「だって、その方が面白いものが見れるでしょう。オホホホ」
軽快に笑う王太子妃殿下。
ちょっと一癖も二癖もありそうなお姉様。
こんなお姉様と暮らしていたなんて、色々な意味で少しルドルフ様に同情してしまった。
0
お気に入りに追加
169
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
「結婚しよう」
まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。
一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。
【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件
百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。
そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。
いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。)
それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる!
いいんだけど触りすぎ。
お母様も呆れからの憎しみも・・・
溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。
デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。
アリサはの気持ちは・・・。
【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。
でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
【完結】やさしい嘘のその先に
鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。
妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。
※30,000字程度で完結します。
(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
---------------------
○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
---------------------
悲恋 (一部BL要素含む)
樺純
恋愛
王が世を支配する時代。
トナとコハクは愛し合いながら穏やかな日々を過ごしていました。
そんな時、トナとコハクの住む町に王が現れます。
トナは王に身染められ、愛するコハクと別れ胸を痛めながら王宮に入る事になります。
王宮に入ったトナに次々と起こる試練。
トナを失い悲しみに暮れるコハク。
そんな二人に幸せな日々は訪れるのでしょうか…?
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる