きっと私は悪役令嬢

麻生空

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ルドルフ様は有言実行の方だと認識したのは、ルドルフ様とピクニックをした次の日だった。

「お嬢様」

本日は父の執務室で書類の確認をしている。
そんな時に侍女が勢い良く部屋へとやって来たのだ。
「どうしたの?メアリー」

侍女のメアリーは神妙な顔付きになり
「ルドルフ様の依頼で服飾の方が採寸にいらしています」

「えっ」

まさかオーダーメイドとは。
てっきり既製品を寄越すのだと思っていた。

だって、嫌いな婚約者だよ私は。

普通に考えるとオーダーメイドは既製品の数倍の値段がする。

ただでさえ高い夜会用の衣装だ。
それも二人分。

「一応話をして見るよ」

本日は簡素なワンピースを着ていたが、話をするだけなら、まっ良いか。

私は書類を机に戻すと応接室へと向かった。

服飾の職人は3名来ており、多分その三人は女性だと思われる。

思われると言うとあれだが、なにせ背が高いのだ。

「エリス・ルトラーです」
「初めまして、ミス・エリス。わたくしブランデでデザイナーをしておりますミランダと申します」
ブランデと言うのはルドルフ様の家で贔屓にしている服飾を主な戦力にした店だったと思う。

手前にいた一番背が高くめケバい女性が話し掛けて来た。

そして、理解する。

この人は男の人だと。

何故なら声が低い。

「ルドルフ・ハイン様の依頼を受けまして、本日採寸に参りましたのん」
 丁寧に畏まるミランダさん。

口調はオネェだ。
この世界にもいるんだ。
それが、感想だったけど……いかん、危なく流される所だったよ。

「すみません。ミランダさん。私、ルドルフ様にそのような服を作って頂ける理由がないのです」

だって、もうすぐ婚約破棄するんだから。

「何を言ってますか。エリス様はルドルフ様にとって大事なフィアンセではありませんか」

「フィアンセ?」

カタカナ言葉で言われると何故か頭がついて来ない。

「そうですわ。フィアンセですわよ」

そう言ってミランダさんは私の手を取る。

「男性が女性に服を贈ると言う事は、その服を脱がせる権利を得ると言う事」

「は?」
なんでそんな拡大解釈?

「差し詰め、今回ルドルフ様はエリス様とエドワード様お二人に服を贈られると言う事ですから」

すっとミランダさんの手が私の顎を捉える。

「つまり、ルドルフ様は貴女方二人と禁断の夜を過ごしたいと言うこと」

「は?」

ミランダさんの思考回路が分からない。

「エリス様とエドワード様。二人の兄妹を頂きたいとは。アハン。ルドルフ様って意外と野獣ですわねぇん」

「は?」

「なんてフシダラな男なんでしょう」

そう言って床にくずれ落ちるミランダさんは何処から出したのかハンカチを口に咥えていた。
思わず生理的な発作が起きてしまい、ミランダさんの背中をヒール踵でグリグリしてしまう。

「フシダラなのは貴方の頭の中です。ミランダさん」

冷めた眼差して忠告して上げると何故か「ハァァンもっと強く~」と吐息を漏らすミランダさん。

「あぁ、エリス様のなんて凛々しいことかしらぁ」

キラキラなお目めで私を見るミランダさん。

「あの、この人大丈夫ですか?」

後ろに控える二人の女性に声をかけると
「いつもの事ですのでお気にせず」
「こんなのほおっておいて早速採寸しちゃいましょう」

と二人の背の高い女性に連れられて隣の部屋へと移って行った。 

あれ?
私、確か断るつもりだったのでは?

あまりのミランダさんの痴体を見た為か、肝心な事を忘れて流されてしまう失態を犯してしまった。
採寸が済んでからその事実に気付いてしまったのはもうこの際仕方がないことだ。
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