きっと私は悪役令嬢

麻生空

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えっと、そんな約束していただろうか?

そう思いメアリーの方を向くとコクリと頷く。

「……」

全然記憶になかった。

「書庫でそのようなお話が……」

申し訳なさそうに言うメアリーには悪いけど、全然記憶になかった。

もしかして、本に夢中になっていた時に何か話したのだろうか?

後で良く聞いておかなければ……。

「では、出掛けましょうか?」

ルドルフ様はそう言って私の手を引く。

チラリと執事の方を見ると、それに合わせるようにルドルフ様が
「昼食は準備して来ているので夕方までは戻ります」
と、とんでもない事を言う。

嘘だろう?

「あの……ルドルフ様」

「ルディ」

私の言葉に間髪置かず低い声で訂正された。

「あっ。うん。ルディ」
「なに?」
一瞬冷めた顔になったルドルフ様は次の瞬間には満面の笑みを見せていた。
「私自分で馬に乗れないんだけど……」
そうだ。
そこが肝心なのだ。

だって、令嬢が馬とか普通は乗らないよね。

「大丈夫。僕の馬に乗せて上げるから、むしろその方が良い」

極上の笑みで承諾されている。

「では、時間も惜しいから行こうか」

そして、私は悲しいかな、ルドルフ様にドナドナされて行くのだった。
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