きっと私は悪役令嬢

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兄の許可なく勝手に愛称呼びの許可を出して良いのだろうか？

しかし、良く考えてみよう。

お互いを愛称呼びをする位に仲良くしていた相手を、悪役令嬢の兄だからと言う理由で果たして処刑に出来るか？

普通に考えればないだろう。
しかし、ここは乙女ゲームの世界。

故にヒロインに心酔したヒーローは例え免罪だとしても弾糾だんきゅうするだろう。

けど、良く考えれば仲良くなる為には愛称呼びは効果があるのではないだろうか？

「一応これから家族の付き合いをしていくのだし、他人行儀なのもどうかと思うんだ」

確かに、そう言われるとその通りなのだが……じゃあ婚約者である私にも同じ事を前回言って来ても良いのではないか？

見た目は良いルドルフ様だけど、中身は残念王子だな。

思わず嘆息してしまう。

「分かりました。妹の婚約者でもあります。これから長い付き合いになるでしょう。では、私の事はエドとお呼び下さいルディ」

私の言葉にルドルフ様は目を輝かせ両手を掴むと「ありがとうエド」と言った。

何か解げせない気持ちもあるが、ここは円満婚約破棄にたどり着く為のミッションだと思っておこう。
きっと兄も許してくれると思うんだ。

それに、前回の事を考えるとルドルフ様は直ぐに帰るだろうし。

故に「もう一杯如何ですか？」と聞いたのは「今日はこれで」と帰る事を期待して聞いたのだが

「では、お言葉に甘えて」

とキラキラの笑顔で応えて来た。

流石攻略対象。

無駄にキラキラしているなぁ。

これじゃあ普通の令嬢ならイチコロだろう。

まぁ、どうせルドルフ様と話を出来るのは後少しの間だけだろう。

私の目指すのはあくまでも円満婚約破棄。

それ以上でも以下でもないのだから。

婚約者の兄に気を使って一服茶で去らなかったのだろう。
と、勝手に解釈した私は、どうせもう一杯飲んだら帰るのだろうと安易に考えていた。