21 / 24
第三章~科学進行編~
1.魔法衰退編
しおりを挟む
「勇者どの。この大木をきってほしい。」
次の日、家にヴァニラが訪ねてきて、頼みごとがあるとか言われて連れてこられた場所はこの前魔王城に行くときに通った森だった。
「フラニック・オブ・クライネスにかかれば楽勝って話ですよ!!」
スパッと思いっきり剣を横に振ったが巨木はその姿を一ミリも変えることはなかった。
「あ、あれれ?」
「勇者どの。何で切れないのかや?」
「ちょっとまって、もう一回。」
(ゴツッ)
鈍い音がしただけだった。嘘でしょ!?
まてまてまて。なぜ切れないのだ。そして、背後からなんかの気配がする。
「誰だ!?」
振り返ってみるとそこには右目に涙、左目によくわからんタトゥーを入れた勇者っぽい服装の男がいた。
「俺の名前は『ハテナハテナハテナ』だ。キミらに伝えたいことがあってここに来た。」
「お、おう。」
「ハテナハテナハテナどの。名前が長すぎるから本名を教えてほしいな。」
警戒心がゼロに等しいヴァニラ。猫のくせに無警戒なのは意外だな。
「本名は教えない主義でね。『???』と略せばいいだろう。」
「「......」」
「さて、ヴァニラくんといったか?君とどこかで会ったことがあるはずなのだが、覚えていないのか?」
「...?あ!!!!!!!この前のステーキ屋に来店してきたアイツか!?」
「ふ、よくお分かりで。そして、君たちに伝えたいことがあるといっただろう。今からいうぞ。そう、勇者よ。この世界はこのままいくと滅びるぞ。なぜなら化学が開発しかけているからだ。科学が誕生するとこの世界の軸がどんどん歪んでくるんだ。魔法だけでできているはずなんだから当たり前だが。」
ほうほうと納得してながらきいている俺の脳裏に一つの疑問がうかんだ。
「フラニック・オブ・クライネスが急に弱くなったのも化学が進行してきたからですか?」
「...。まあ、詳しくは知らんが、そんなとこだろう。嗚呼、フラニック・オブ。クライネス。それは昔の言葉で『世界を切り開く勇士』という意味だ。誰がつけたのかも誰が作ったのかも明らかではない。しかし、一つ明らかなのは、フラニック・オブ・クライネスは魔法がないと成り立たないということだけだ。」
しかし、昨日までは使えていた。なぜなら、普通に考えて首の紋章とフラニック・オブ。クライネスの力なしに500トンを持ち上げることなど不可能なはずだからだ。
「ヴァニラ。」
「は、はい!?」
「俺ってホントについてない。どんだけ努力したって最強になんてなれない...。」
「...そんなのことないよ。ダンジョン行ったりすればいいよ。」
「行ったよ!!!でも断られたんだ!」
ちょっと強く言いすぎてしまった、ヴァニラの顔が困惑の表情へと変化した。
「...そ、そんなことあるんだ...。言い方悪いけど...もしかしたら、神様に見離されてるのかもね...。」
「ふざけるな!俺も頑張っているんだぞ!お前にこの頑張りが分かるのか!?調子乗るな。」
修行の疲れと失った宿命。色々イライラしすぎて言い過ぎた...。辛い。
「...私は、見離していないよ。たとえ誰もがあなたを見離しても、私は旧パーティーメンバーとして一生あなたに同行する。だって......わたしを獣人だから、王女だからって!!...変な目で見てる人が多かった中、一般人としてみてくれたのは勇者どの...あなただけだったもん!!」
俺は、ここで初めてヴァニラに異様な好感を得た。
「そ、そうか。お前も頑張っていたんだな。自分のことしか考えていなかった、すまない。」
「いいんだよ。」
「獣人って優しいんだな。戦争ばっかしてるイメージがあった。」
「もぅ~。いったそばから私を変な目で見る。」
「ごめんごめん。」
この子は守ってあげたい。そんな気持ちになる。ヴァニラはいい奴だ。
「おい、二代目!せっかくいいムードだが、これだけ最後言い残させてくれ。」
「どうぞ。」
「動かせ世界を。消せ、科学という存在を...。」
どこかで聞いたことのある台詞だな。あ、そうか、あの魔王城に行くとき見つけたあの手紙...。
まさかこの人が張本人なわけではないよな...。
「さあ、お前に仕事を与えた。嗚呼、『○×△☆♯♭●□▲★※〆様』どうかこのお方をお見捨てにならないでください。このお方が世界の軸をひん曲げることができたら、くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!」
は...なにをいっているんだ。
「それでは、最強勇者。キミの出番だ。」
彼はそう言い残し散布された光の粒子とともにどこかへ消えてしまった。何を言っていたのかを聞くことさえもできなかった。
「マジか。なんだ、俺はフラニック・オブ・クライネスを使わずに世界を動かす必要があるのか...。」
「...そうみたい。じゃあ、あなたは科学を駆使した剣を購入するのかや?」
「いや、科学は自分の力で消して見せる。科学って何なのかはよくわからないが、魔王レベルに危険なモンスターなのかもしれない。はたまた技術か?魔法の一種か?...よくわからないが、自分の力で何とかする。ヴァニラ、お前もついてこい。お前の父親兼国王、マット・スフィランクスに話をつけに行く。」
「え、ちょ!?無理だよ!!」
「いや、俺は一回姿を見たかもしれないんだ。とにかく行くぞ!!!」
「...私は、旧パーティーメンバーだから同行するしかないよね...。分かった、いきましょう。」
次の日、家にヴァニラが訪ねてきて、頼みごとがあるとか言われて連れてこられた場所はこの前魔王城に行くときに通った森だった。
「フラニック・オブ・クライネスにかかれば楽勝って話ですよ!!」
スパッと思いっきり剣を横に振ったが巨木はその姿を一ミリも変えることはなかった。
「あ、あれれ?」
「勇者どの。何で切れないのかや?」
「ちょっとまって、もう一回。」
(ゴツッ)
鈍い音がしただけだった。嘘でしょ!?
まてまてまて。なぜ切れないのだ。そして、背後からなんかの気配がする。
「誰だ!?」
振り返ってみるとそこには右目に涙、左目によくわからんタトゥーを入れた勇者っぽい服装の男がいた。
「俺の名前は『ハテナハテナハテナ』だ。キミらに伝えたいことがあってここに来た。」
「お、おう。」
「ハテナハテナハテナどの。名前が長すぎるから本名を教えてほしいな。」
警戒心がゼロに等しいヴァニラ。猫のくせに無警戒なのは意外だな。
「本名は教えない主義でね。『???』と略せばいいだろう。」
「「......」」
「さて、ヴァニラくんといったか?君とどこかで会ったことがあるはずなのだが、覚えていないのか?」
「...?あ!!!!!!!この前のステーキ屋に来店してきたアイツか!?」
「ふ、よくお分かりで。そして、君たちに伝えたいことがあるといっただろう。今からいうぞ。そう、勇者よ。この世界はこのままいくと滅びるぞ。なぜなら化学が開発しかけているからだ。科学が誕生するとこの世界の軸がどんどん歪んでくるんだ。魔法だけでできているはずなんだから当たり前だが。」
ほうほうと納得してながらきいている俺の脳裏に一つの疑問がうかんだ。
「フラニック・オブ・クライネスが急に弱くなったのも化学が進行してきたからですか?」
「...。まあ、詳しくは知らんが、そんなとこだろう。嗚呼、フラニック・オブ。クライネス。それは昔の言葉で『世界を切り開く勇士』という意味だ。誰がつけたのかも誰が作ったのかも明らかではない。しかし、一つ明らかなのは、フラニック・オブ・クライネスは魔法がないと成り立たないということだけだ。」
しかし、昨日までは使えていた。なぜなら、普通に考えて首の紋章とフラニック・オブ。クライネスの力なしに500トンを持ち上げることなど不可能なはずだからだ。
「ヴァニラ。」
「は、はい!?」
「俺ってホントについてない。どんだけ努力したって最強になんてなれない...。」
「...そんなのことないよ。ダンジョン行ったりすればいいよ。」
「行ったよ!!!でも断られたんだ!」
ちょっと強く言いすぎてしまった、ヴァニラの顔が困惑の表情へと変化した。
「...そ、そんなことあるんだ...。言い方悪いけど...もしかしたら、神様に見離されてるのかもね...。」
「ふざけるな!俺も頑張っているんだぞ!お前にこの頑張りが分かるのか!?調子乗るな。」
修行の疲れと失った宿命。色々イライラしすぎて言い過ぎた...。辛い。
「...私は、見離していないよ。たとえ誰もがあなたを見離しても、私は旧パーティーメンバーとして一生あなたに同行する。だって......わたしを獣人だから、王女だからって!!...変な目で見てる人が多かった中、一般人としてみてくれたのは勇者どの...あなただけだったもん!!」
俺は、ここで初めてヴァニラに異様な好感を得た。
「そ、そうか。お前も頑張っていたんだな。自分のことしか考えていなかった、すまない。」
「いいんだよ。」
「獣人って優しいんだな。戦争ばっかしてるイメージがあった。」
「もぅ~。いったそばから私を変な目で見る。」
「ごめんごめん。」
この子は守ってあげたい。そんな気持ちになる。ヴァニラはいい奴だ。
「おい、二代目!せっかくいいムードだが、これだけ最後言い残させてくれ。」
「どうぞ。」
「動かせ世界を。消せ、科学という存在を...。」
どこかで聞いたことのある台詞だな。あ、そうか、あの魔王城に行くとき見つけたあの手紙...。
まさかこの人が張本人なわけではないよな...。
「さあ、お前に仕事を与えた。嗚呼、『○×△☆♯♭●□▲★※〆様』どうかこのお方をお見捨てにならないでください。このお方が世界の軸をひん曲げることができたら、くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!」
は...なにをいっているんだ。
「それでは、最強勇者。キミの出番だ。」
彼はそう言い残し散布された光の粒子とともにどこかへ消えてしまった。何を言っていたのかを聞くことさえもできなかった。
「マジか。なんだ、俺はフラニック・オブ・クライネスを使わずに世界を動かす必要があるのか...。」
「...そうみたい。じゃあ、あなたは科学を駆使した剣を購入するのかや?」
「いや、科学は自分の力で消して見せる。科学って何なのかはよくわからないが、魔王レベルに危険なモンスターなのかもしれない。はたまた技術か?魔法の一種か?...よくわからないが、自分の力で何とかする。ヴァニラ、お前もついてこい。お前の父親兼国王、マット・スフィランクスに話をつけに行く。」
「え、ちょ!?無理だよ!!」
「いや、俺は一回姿を見たかもしれないんだ。とにかく行くぞ!!!」
「...私は、旧パーティーメンバーだから同行するしかないよね...。分かった、いきましょう。」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる