最強勇者の最弱物語

暗黒魔界大帝国王リク@UNKnown_P

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第一章~魔王討伐編~

3.同盟②

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 今、俺は訳あってアニマニクスの城にいる。
 一つの丸いテーブルを囲うようにヴァニラとアニマニクス国王とベイマス皇帝が座っている。ちなみに僕は座らされている。
何でこうなってしまったかというと昨日、スフィカと共に自宅に戻り少しの間ごろごろしてたら行かないって言ったのにヴァニラがおしかけてきたのだ。

 ていうか、今日のヴァニラはすごくかわいい。猫人族の象徴であるかわいらしい猫の耳と尻尾はもちろんのこと、昨日の私服とは違い、高級感が漂う服装に変わっていたのだ。
そして、目だよ目!あまりの可愛さに丸テーブルを挟んで身を乗り出し真正面のヴァニラを眺める。僕の顔とヴァニラの顔の距離はなんと十五センチメートル。
 「勇者どの!さすがにキモイ!」
...すいません。ヴァニラさん。

 「それでは、第一回対魔王会議を始める。」
ベイマス皇帝がそういい、僕たちは三人で拍手をする。さっきまで敵対していた国とは思えないよな。
「ちなみに、何で簿記がこんな大事な会議に出席しないといけないのでしょうか...。」
「勇者どの。自分の首を見てみろ。」
「あぁ。この印のことかい...ですか?俺もよくわかりませんが、生まれつきですよ。」
昨日はタメ口で話せていたが、流石に会議中ということもあるので敬語を使ったほうがいいだろう。

 「実はその印はこの世界で唯一魔王を倒すことができる勇者にのみつているのだ。ちなみに預言書からの引用だ。
予言書の続きには、その勇者が伝説の剣である『フラニック・オブ・クライネス』を持って勇者率いる四人パーティーが世界に平和をもたらせるだろうと記されているのだ。どう考えてもお主のことだ。」

アニマニクス共和国王らしき人が僕を見ながらそう言った。なぜか国王は人間ではなく普通の人間だった。
 「僕が勇者というのえすか?名前すらない一般人ですよ。」
「いや、名前がない時点でなかなかのレアキャラだと思うよ。名前か。実は私、その伝説の勇者の名前を知っている。勇者どのだったのか...『繝医Λ繧ヲ繧エ繝?ヨ』は。なんかどっかで見たことがあると思ったら...。」
「な、なんて言った?」
ヴァニラは自信満々に言っているのだが、まったく聞き取れない。

 「お、おかしいな。『繝医Λ繧ヲ繧エ繝?ヨ』...あれ?言えない...。」

 「まあ、名前なんて正直どうでもいいから、早く結論を出してください。」
このままいくと一生続きそうなので、即座に話を切り上げた。
「勇者よ、お前が来る前に決まったことだが、わが国グランドドイッス大帝国とアニマニクス共和国は領土を統一することにする。勇者とヴァニラ姫でパーティーを組んで魔王を討伐してもらいたい。」
ヴァニラとアニマニクス国王と俺はベイマスの発言にゆっくりうなづいている。しかし、ここで俺の脳裏に一つの疑問が浮かんだ。

 「新しい王よ誰がやるのですか?」
聞いてみた。そのあと国王がむくりと席を立ち両手をテーブルに置いた。
 「実は、俺は国王の身の安全のため代理出席している国王専属の騎士だ。新の王はアニマニクス国王に引き継いでもらうつもりだ。意義はあるか?」
そうい事でしたか、この人は王じゃないんだ。ケモ耳がないのが不自然だしな。
「ないっす。」
「じゃあ、終了。」

と、僕が適当な返事をしたら会議はあっさりと終わりを入場させた。ベイマス皇帝...いやもう皇帝ではないのかもしれない。ベイマス国王補佐官だな。ベイマス国王補佐官に科学について聞こうと思ったが、タイミングを見逃し、聞くことができなかった。


一週間後。
(コンコン)
親のいない僕が一人暮らしを行っている自宅の扉を誰かがノックする。
「こんちゃーす!」
ヴァニラの声だ。そういえば、あれから一週間がたったがこの前の会議が終わった後に一週間後に行くよと言っていたよな。めんどくさい。だって冒険に行くとスフィカが...。

 「勇者どの?います?」
ヴァニラに呼ばれるので僕はドアに近づいた。
「早く出てきてください。紹介したい人がいます。」
「スイマセン。タダイマルスニシテオリマス。」
...。わざとらしいが、こうするしか方法がなかった。
 
 「絶対いるよね。」「はい。」「開けて下さい。」
ドアの奥から様々な声が聞こえてきて(ガチャ)という音とともに扉が開いた。
「やはりいますね。」
その声はヴァニラのものではなかった。ヴァニラ以外に見知らぬ女子が二人もいる。
 「やあ、勇者どの。久しぶりであるな!!」
「ヴァニラ、久しぶり。冒険にはいきたくないぞ。あ~ネムイ」
「ちがうちがう!まだ魔王も現れてないんだし冒険なんか行かないよこの一週間でパーティーメンバーを集めたからその紹介をしに参った。」
自宅の玄関に僕、そして、女子三人。ハーレムパーティーの出来上がりだ。興奮しちゃう。

 「まずわたしが紹介させていただきますわ。わたしの名はクラリア・アステリオン。こう見えても地味に八十二歳、エルフ族の村娘ですわ。」
エルフ族の八十二歳、人間でいう二十歳前後だろうか。エルフのためだからか耳が長く、無駄に大きな杖を持っている。服はデザインか知らんがちょいボロだが妙におしゃれ。

 「お次はワタシですね。名はソフィアと申し上げます。家名は控えさせていただきますね。旧アニマニクスに軽く属しているコッピディアン教会で神官を務めておりました。何卒よろしくお願いします。」
「お、おう。」
少女は胸に手を当てゆっくりと語る。青いショートヘアの人間であるが少女の背後から感じる神のオーラはとても計り知れない。
 「そして、最後、私はヴァニラ・スフィランクス。よろ。」
「はい。」
知ってるから適当に返事を返した。
「さよなら。」「またね。」「また会えることを心から願っています。」
そういうと三人は木枠と煉瓦でできた家並ぶ町の奥へと消えていった。


―自宅の玄関から見えるところでショートカットで狐耳の少女が若い人間の男たちにカツアゲされている。
人間とケモ耳の立場が平等になったがために今までたまりにたまった不満をぶつけているのだろう。理不尽なものだ。戦いを仕掛けたのはこちらが先だというのに。
そんなことを考えながら僕はそっと扉を閉めた。


一年後
 吾輩は勇者である。名前はまだない。
「なにボーっとしてんの!勇者どの。せっかく魔王城が現れたんだからもっとはっきりいかないと。」
「そうですよ、勇者様。さっきもモンスターに先行攻撃されていたじゃないですか。」
「ごめんごめん!」
俺は笑って誤魔化した。

 あれから一年が経過した。予定通り魔王が現れ、ついでに魔王の城も造られた。本格的に勇者と任命さえたので記念として、一人称『俺』と改め。、威厳を大切に生きていこうと決めた。
 「おそらく、この森を抜ければ魔王城に到着するだろう。」
「そうね...。」
ヴァニラの返事はなんかパッとしないものだった。

 目の前に広がるには大木の並ぶ森、そして森の奥の空には魔王城らしきものと、黒い霧が浮かんでいる。
森を作り出している大木は様々な色の葉っぱとランタンが吊るしてあり、地面は整備されていない道と湖がある。
あまりにも美しい光景に興奮したのかヴァニラが俺の目の前をぐるぐると回っている。

 「奇麗な森だぁ!!わくわくするにゃ。」
「そうだな。美しい。さぁ冒険の始まりだぁー!!」と、俺は剣を持った手を上にあげる。
「「おー!」」「おーでございます。」
「......そこは合わせようよ...。」
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