7 / 8
『隣国の婚約者をパーティ会場で見つけた男は婚約者の妹と話をしている。男の目的は?』
しおりを挟む
「…録画停止」
令嬢は1人、ウサギに向かって話しかける。その瞬間僅かにしていた機械音が止まった。
「…再生」
ウサギを抱き上げて後ろを向かせ再び話しかけると、ウサギの頭上に小さくぼんやりと映像が浮かび小さな音量で声がし始める。
映像を確認した令嬢は薄く笑みを浮かべた。
傲慢な婚約者。彼女の家が逆らえないのをいい事に、令嬢に仕事を押し付け自分は浮気相手と遊んでいる。
8年耐えた。もう我慢ができない。証拠は十分集まった。これだけあれば婚約者が有責で婚約破棄できるだろう。
「録画開始。…ありがとうね」
そっと頭を撫でられたウサギは誇らしげに黒い瞳を輝かせた。
「カメラ、と言うらしいですよ」
「その機械が?』
「機械の眼で見ている物を残して再生することが出来るもののようです。令嬢はその映像を使って有利な立場で婚約破棄をしたようですね。令嬢が婚約破棄出来てからその話が広まって、物にカメラを仕込むことが流行ったらしいです」
「…嫌な流行ね」
「需要がある、と言うことでしょう。あなたも必要ですか?」
「いいえ?証拠なんて手に入れても何にもならないもの」
人前で恋人同士のようにしていたって誰も何も言わないのだから、私が証拠なんて集めても鼻で笑われるだけだろう。
「婚約破棄なんてできない」
「…嫌な問題でしたかね?」
「いいえ、痛快よ。令嬢はきっと幸せになれるでしょう?」
「それなら、あなたも幸せになれるような問題を出しましょう」
『隣国の婚約者をパーティ会場で見つけた男は婚約者の妹と話をしている。男の目的は?』
「質問をどうぞ?」
令嬢は1人、ウサギに向かって話しかける。その瞬間僅かにしていた機械音が止まった。
「…再生」
ウサギを抱き上げて後ろを向かせ再び話しかけると、ウサギの頭上に小さくぼんやりと映像が浮かび小さな音量で声がし始める。
映像を確認した令嬢は薄く笑みを浮かべた。
傲慢な婚約者。彼女の家が逆らえないのをいい事に、令嬢に仕事を押し付け自分は浮気相手と遊んでいる。
8年耐えた。もう我慢ができない。証拠は十分集まった。これだけあれば婚約者が有責で婚約破棄できるだろう。
「録画開始。…ありがとうね」
そっと頭を撫でられたウサギは誇らしげに黒い瞳を輝かせた。
「カメラ、と言うらしいですよ」
「その機械が?』
「機械の眼で見ている物を残して再生することが出来るもののようです。令嬢はその映像を使って有利な立場で婚約破棄をしたようですね。令嬢が婚約破棄出来てからその話が広まって、物にカメラを仕込むことが流行ったらしいです」
「…嫌な流行ね」
「需要がある、と言うことでしょう。あなたも必要ですか?」
「いいえ?証拠なんて手に入れても何にもならないもの」
人前で恋人同士のようにしていたって誰も何も言わないのだから、私が証拠なんて集めても鼻で笑われるだけだろう。
「婚約破棄なんてできない」
「…嫌な問題でしたかね?」
「いいえ、痛快よ。令嬢はきっと幸せになれるでしょう?」
「それなら、あなたも幸せになれるような問題を出しましょう」
『隣国の婚約者をパーティ会場で見つけた男は婚約者の妹と話をしている。男の目的は?』
「質問をどうぞ?」
13
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
ヘリオポリスー九柱の神々ー
soltydog369
ミステリー
古代エジプト
名君オシリスが治めるその国は長らく平和な日々が続いていた——。
しかし「ある事件」によってその均衡は突如崩れた。
突如奪われた王の命。
取り残された兄弟は父の無念を晴らすべく熾烈な争いに身を投じていく。
それぞれの思いが交錯する中、2人が選ぶ未来とは——。
バトル×ミステリー
新感覚叙事詩、2人の復讐劇が幕を開ける。


とある最愛の肖像
相馬アルパカ
ミステリー
騎士団長の息子・クラウディオの婚約者は推理がお得意だ。令嬢探偵・ヴィオレッタは可憐な外見からは想像できないほど行動的である。
画家志望の青年から『消えた肖像画を探してほしい』と相談されたクラウディオはヴィオレッタの力を借りて失せ物探しを始めるのだが。
人が死なないミステリー。
残響の家
takehiro_music
ミステリー
「見える」力を持つ大学生・水瀬悠斗は、消えない過去の影を抱えていた。ある日、友人たちと共に訪れた廃墟「忘れられた館」が、彼の運命を揺り動かす。
そこは、かつて一家全員が失踪したという、忌まわしい過去を持つ場所。館内に足を踏み入れた悠斗たちは、時を超えた残響に導かれ、隠された真実に近づいていく。
壁の染み、床の軋み、風の囁き… 館は、過去の記憶を語りかける。失踪した家族、秘密の儀式、そして、悠斗の能力に隠された秘密とは?
友人との絆、そして、内なる声に導かれ、悠斗は「忘れられた館」に隠された真実と対峙する。それは、過去を解き放ち、未来を切り開くための、魂の試練となる。
インクの染みのように心に刻まれた過去、そして、微かに聞こえる未来への希望。古びた館を舞台に、時を超えたミステリーが、今、幕を開ける。
総務の黒川さんは袖をまくらない
八木山
ミステリー
僕は、総務の黒川さんが好きだ。
話も合うし、お酒の趣味も合う。
彼女のことを、もっと知りたい。
・・・どうして、いつも長袖なんだ?
・僕(北野)
昏寧堂出版の中途社員。
経営企画室のサブリーダー。
30代、うかうかしていられないなと思っている
・黒川さん
昏寧堂出版の中途社員。
総務部のアイドル。
ギリギリ20代だが、思うところはある。
・水樹
昏寧堂出版のプロパー社員。
社内をちょこまか動き回っており、何をするのが仕事なのかわからない。
僕と同い年だが、女性社員の熱い視線を集めている。
・プロの人
その道のプロの人。
どこからともなく現れる有識者。
弊社のセキュリティはどうなってるんだ?
憑代の柩
菱沼あゆ
ミステリー
「お前の顔は整形しておいた。今から、僕の婚約者となって、真犯人を探すんだ」
教会での爆破事件に巻き込まれ。
目が覚めたら、記憶喪失な上に、勝手に整形されていた『私』。
「何もかもお前のせいだ」
そう言う男に逆らえず、彼の婚約者となって、真犯人を探すが。
周りは怪しい人間と霊ばかり――。
ホラー&ミステリー

失せ物探し・一ノ瀬至遠のカノウ性~謎解きアイテムはインスタント付喪神~
わいとえぬ
ミステリー
「君の声を聴かせて」――異能の失せ物探しが、今日も依頼人たちの謎を解く。依頼された失せ物も、本人すら意識していない隠された謎も全部、全部。
カノウコウコは焦っていた。推しの動画配信者のファングッズ購入に必要なパスワードが分からないからだ。落ち着ける場所としてお気に入りのカフェへ向かうも、そこは一ノ瀬相談事務所という場所に様変わりしていた。
カノウは、そこで失せ物探しを営む白髪の美青年・一ノ瀬至遠(いちのせ・しおん)と出会う。至遠は無機物の意識を励起し、インスタント付喪神とすることで無機物たちの声を聴く異能を持つという。カノウは半信半疑ながらも、その場でスマートフォンに至遠の異能をかけてもらいパスワードを解いてもらう。が、至遠たちは一年ほど前から付喪神たちが謎を仕掛けてくる現象に悩まされており、依頼が謎解き形式となっていた。カノウはサポートの百目鬼悠玄(どうめき・ゆうげん)すすめのもと、至遠の助手となる流れになり……?
どんでん返し、あります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる