壁の花は謎を解く

しぎ

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『毒入りスープを飲み干したため、令嬢は幸せを手に入れた』

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その晩、王子は上機嫌だった。明日は長年の恋人との結婚式なのだ。平民の彼女との結婚は大勢に反対されたが、一番の生涯である婚約者は排除した。あの悪役令嬢を婚約破棄できたのだし、きっとこの先何とかなるだろう。
王子は将来を思い、高笑いをした。そしてその瞬間背中から刺殺された。

薄れゆく意識の中、王子はため息交じりの声を聴いた。
「あんな馬鹿げたことしなけりゃ、恋人もろとも殺されるなんてことなかったろうに。王直々のご命令だ。お前の存在は国のためにならないと。それに」

お前があの人にやったことの罰だ。



「・・・ということでした。王子は恋人もろともに何者かに殺害され、その後国は平穏に繁栄したそうです。
めでたし、めでたしということで」
青年は満足げな笑顔で問題を締めくくった。謎を解くことをできた達成感はあるが、もやもやする。

「・・・それでも、令嬢は婚約破棄されたままじゃない。これでめでたしで締めるの?」
むっと口元を結んだ私を見て青年が笑顔をこぼれさせる。
「・・・それでは少しだけ物語の追加を。国を追放され当てもなくさまよいかけていた令嬢は、自国から追いかけて来た王宮で働く平民の青年に助けられ、支えられて他国で幸せに暮らしたそうです」
令嬢と仲が良かったのだそうで。微笑む青年に私は真顔になる。

「・・・その青年は、問題の中に出てきたなのかしら」
「さぁ?それは分かりませんね?・・・まだまだパーティは続きそうだ。もう一問どうですか?」
無言で私は問題を聞く姿勢に入る。もう一度にっこりと笑った青年は口を開く。

『毒入りスープを飲み干したため、令嬢は幸せを手に入れた』
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