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番外
最後に
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「……あー、あっつーい!」
こんなに暑い日には雨でも降らせたくなるね。もう出来ないけど。
卒業式の日、聖女の力を封印された私は、表向きは病という形で、アイリスさんと聖女の力について調べていた。私みたいな異世界からの聖女、なんて物はこれまでにこの世界に存在しなかったみたいで、結論としては私が特例、という形になった。もし私と同じように異世界から誰かが聖女の証を持って来たとしても、力を封印して教会の援助で生活させる、という風に決まったみたい。私はあくまでアイリスさんに聞いただけだから、本当にそうなったのかはよく分からないけど。
研究が終わっても私の力は封印されたままで、聖女アカリは病気で休養中、代理として先代のアイリスさんが聖女を務めている。私の力の封印を解かなくてはならないレベルの問題は起こってないから、封印が解かれるようなことは当分無いと思う。そのうち新しい聖女が現れて、聖女アカリは表に姿を表さないまま引退になるかもね。
私は今、王都の教会でひっそり暮らしてる。髪と瞳が黒に戻ったから外に出ても私が聖女だと気づく人は殆どいない。私の胸元でピンクのネックレスが揺れる。私の力を封印した宝石は私の手元に無くても大丈夫らしいんだけど、アイリスさんに無理を言って貰ってきた。聖女だった私の忘れ形見としてこれだけは持っていたかった。
あの後、ベンネルとは会っていない。新聞でメーレと結婚したとは聞いた。大々的におこなわれた結婚式は見には行かなかった。取り巻きだった三人も次々と結婚していった。華々しい噂が時々教会には舞い込んでくる。
私に力がまだあれば、ベンネルを迎えに行けたかもしれない。二人で逃避行なんてできたかもね。でも、今のこの状況が多分一番良いんだと思う。私はまだベンネルのことが好きだし、ベンネルも私のことが好きなままでいてくれたらいいなと思う。ベンネルは王様として、私は教会の元聖女として。案外幸せにやっていけるんじゃないかと思う。
少し前にミアを見た。ブレイグとともに幸せそうな顔で街を歩いていた。私は教会の奥からそれを見ていた。つまらないなと思ったし、良かったなとも思った。
こんな暑い日には雨を降らしたくなるし、傷ついた人を見れば癒したくなる。でも今の私にそんな力はないから。私はこの異世界をただの人として生きていく。
「・・・みんなが幸せになれますように」
こんなに暑い日には雨でも降らせたくなるね。もう出来ないけど。
卒業式の日、聖女の力を封印された私は、表向きは病という形で、アイリスさんと聖女の力について調べていた。私みたいな異世界からの聖女、なんて物はこれまでにこの世界に存在しなかったみたいで、結論としては私が特例、という形になった。もし私と同じように異世界から誰かが聖女の証を持って来たとしても、力を封印して教会の援助で生活させる、という風に決まったみたい。私はあくまでアイリスさんに聞いただけだから、本当にそうなったのかはよく分からないけど。
研究が終わっても私の力は封印されたままで、聖女アカリは病気で休養中、代理として先代のアイリスさんが聖女を務めている。私の力の封印を解かなくてはならないレベルの問題は起こってないから、封印が解かれるようなことは当分無いと思う。そのうち新しい聖女が現れて、聖女アカリは表に姿を表さないまま引退になるかもね。
私は今、王都の教会でひっそり暮らしてる。髪と瞳が黒に戻ったから外に出ても私が聖女だと気づく人は殆どいない。私の胸元でピンクのネックレスが揺れる。私の力を封印した宝石は私の手元に無くても大丈夫らしいんだけど、アイリスさんに無理を言って貰ってきた。聖女だった私の忘れ形見としてこれだけは持っていたかった。
あの後、ベンネルとは会っていない。新聞でメーレと結婚したとは聞いた。大々的におこなわれた結婚式は見には行かなかった。取り巻きだった三人も次々と結婚していった。華々しい噂が時々教会には舞い込んでくる。
私に力がまだあれば、ベンネルを迎えに行けたかもしれない。二人で逃避行なんてできたかもね。でも、今のこの状況が多分一番良いんだと思う。私はまだベンネルのことが好きだし、ベンネルも私のことが好きなままでいてくれたらいいなと思う。ベンネルは王様として、私は教会の元聖女として。案外幸せにやっていけるんじゃないかと思う。
少し前にミアを見た。ブレイグとともに幸せそうな顔で街を歩いていた。私は教会の奥からそれを見ていた。つまらないなと思ったし、良かったなとも思った。
こんな暑い日には雨を降らしたくなるし、傷ついた人を見れば癒したくなる。でも今の私にそんな力はないから。私はこの異世界をただの人として生きていく。
「・・・みんなが幸せになれますように」
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感想ありがとうございます。
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