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お揃い

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パーティの日、ドレスが贈られてきた。それと同時にやって来たベルトランはそわそわしている。
自室で侍女にドレスを着せてもらいながら鏡で自分の姿を眺める。ドレスの色は赤。少し茶色っぽい暗い色だがかなり派手だ。ベルトランの髪の色に少し近い。シンプルなデザインだが生地がかなり高級な物だ。所々に青みがかったリボンやレースが散りばめられている。こちらはベルトランの瞳の色によく似た色だ。
…まさしく、ベルトランの色。ベルトランの婚約者としてのドレスだ。そう思うとなんだか身悶えしそうなぐらいに恥ずかしい。でも何だか嬉しいような気もして複雑だ。
「シルヴェーヌ、ドレスはどう?…わぁ!綺麗だ、とっても似合うね」
扉をノックしてからそっと入って来たベルトランは私を見つめ驚いたように目を丸くして褒めてきた。
ベルトランは灰がかった茶色の礼服に暗い紫色のネクタイを締めている。どちらもそれは私の色で、ベルトランが私の婚約者であると示していて、これも身悶えするような気分になる。並べばきっとお揃いと言えるようなデザインの近さを感じる。
「ベルトランもすごく似合っています。…まだメイクが残っているので少し出ていてもらってもよろしいですか?」
「あぁ!ごめんね邪魔して。シルヴェーヌ、すっごくかわいいよ!」
出て行こうとするベルトランをふと思い出して呼び止める。不思議そうな顔をして立ち止まったベルトランの胸元のポケットに私はハンカチーフを差した。
「服は全てベルトランが用意するということだったので、私からこれだけ。使ってくださると嬉しいです」
ハンカチーフを見たベルトランがふにゃりと笑う。暗い紫のハンカチーフ。ベルトランの衣装に似合わない色なら渡さないつもりだったが、この色合いならきっと合うだろう。
「シルヴェーヌの色だね。嬉しいよ」
「…そうですね」
顔が何だか熱くなるのが分かる。私にまたにこりと微笑みかけてベルトランは部屋を出て行った。
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