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身代わり
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「スティアさまがどっか行っちゃったせいで私が身代わりさせられてるんですよぅ!なんでいっつも勝手にどっか行っちゃうんですかぁ!」
「ごめんねリズ、ちょっとこっちの国にいる恩人の方とお話ししてたのよ」
自分に抱き着いてさめざめと泣く皇女殿下の肩を抱き、謝るアリス嬢。その話を聞く限り、かなりとんでもない事態のようだが。この美しい皇女は自分はアリス嬢の身代わりだというのだから。
「ほら、一回下がって着替えますよ!またそんな恰好しちゃって・・・」
ぐいぐいとアリス嬢の肩を押して皇女は退出していく。周囲を見ればぽかんとしている人とだんだん青ざめてきている人が半々ぐらいだった。私もあまりわかっているわけではないが、もしかして、これ、まずい事態なのでは。
「・・・殿下!皇女殿下があの伯爵令嬢を連れて退出されたのですが・・・」
扉を大きな音を立てて会場に入室してきたのは男性三人。さっきまで第三王子と少女を取り巻いていた男たちだ。外で皇女殿下を警護しパーティ会場までエスコートしていたらしい。
「・・・あぁ、いや、俺もよくは分からないが・・・」
第三王子はまだ呆然としているようで口を半開きにしてぽかんとしてたが、自分の取り巻きが戻ってきたことではっと意識を戻し、彼らに説明を始めた。
「わぁ、あの地味な子、皇女様だったの?」
私の隣でキャロルが感心したような口ぶりで言う。
「このドレスうちの国のブランドだったからわかんなかったなぁ」
なるほど、アリス嬢が着ていたのは私たちの国のドレスだったらしい。確かに皇国のドレスだったらすぐに上位貴族ならわかるだろうし当たり前か。
「・・・ふ、再び、フェネオン皇女殿下、が、入室されます!道をお開け下さい!」
うろたえた声で使用人が再び叫ぶ。開いた扉から入室してきたのはさっきまで皇女殿下が着ていたドレスを着たアリス嬢だった。ぼさぼさの長い茶髪じゃなくて、私たちが会ったときのクリーム色の長い髪がきれいにセットされている。
「・・・可憐だ」
ぼそりと第三王子がつぶやくのが微かに聞こえた。第三王子は隣に絡みつく婚約者のことも忘れたのか呆然とアリス嬢のことを見つめていた。隣の少女がものすごい顔をしているのが見える。
第三王子達の前に立ったアリス嬢は優雅に礼をする。
「挨拶は不要です、ライナルト・グラウン。私の名前はアリスティア・フェネオン。フェネオン皇国の第一皇女であり、あなたたちの知るアリス・アルクス伯爵令嬢としてこの国にいたものです」
今後は皇女としてお見知りおきを。再び礼をした本物の皇女殿下は、また、獲物を狙う肉食獣のようなどう猛な笑みを浮かべて見せた。
「ごめんねリズ、ちょっとこっちの国にいる恩人の方とお話ししてたのよ」
自分に抱き着いてさめざめと泣く皇女殿下の肩を抱き、謝るアリス嬢。その話を聞く限り、かなりとんでもない事態のようだが。この美しい皇女は自分はアリス嬢の身代わりだというのだから。
「ほら、一回下がって着替えますよ!またそんな恰好しちゃって・・・」
ぐいぐいとアリス嬢の肩を押して皇女は退出していく。周囲を見ればぽかんとしている人とだんだん青ざめてきている人が半々ぐらいだった。私もあまりわかっているわけではないが、もしかして、これ、まずい事態なのでは。
「・・・殿下!皇女殿下があの伯爵令嬢を連れて退出されたのですが・・・」
扉を大きな音を立てて会場に入室してきたのは男性三人。さっきまで第三王子と少女を取り巻いていた男たちだ。外で皇女殿下を警護しパーティ会場までエスコートしていたらしい。
「・・・あぁ、いや、俺もよくは分からないが・・・」
第三王子はまだ呆然としているようで口を半開きにしてぽかんとしてたが、自分の取り巻きが戻ってきたことではっと意識を戻し、彼らに説明を始めた。
「わぁ、あの地味な子、皇女様だったの?」
私の隣でキャロルが感心したような口ぶりで言う。
「このドレスうちの国のブランドだったからわかんなかったなぁ」
なるほど、アリス嬢が着ていたのは私たちの国のドレスだったらしい。確かに皇国のドレスだったらすぐに上位貴族ならわかるだろうし当たり前か。
「・・・ふ、再び、フェネオン皇女殿下、が、入室されます!道をお開け下さい!」
うろたえた声で使用人が再び叫ぶ。開いた扉から入室してきたのはさっきまで皇女殿下が着ていたドレスを着たアリス嬢だった。ぼさぼさの長い茶髪じゃなくて、私たちが会ったときのクリーム色の長い髪がきれいにセットされている。
「・・・可憐だ」
ぼそりと第三王子がつぶやくのが微かに聞こえた。第三王子は隣に絡みつく婚約者のことも忘れたのか呆然とアリス嬢のことを見つめていた。隣の少女がものすごい顔をしているのが見える。
第三王子達の前に立ったアリス嬢は優雅に礼をする。
「挨拶は不要です、ライナルト・グラウン。私の名前はアリスティア・フェネオン。フェネオン皇国の第一皇女であり、あなたたちの知るアリス・アルクス伯爵令嬢としてこの国にいたものです」
今後は皇女としてお見知りおきを。再び礼をした本物の皇女殿下は、また、獲物を狙う肉食獣のようなどう猛な笑みを浮かべて見せた。
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