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交換
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ものすごく気まずい。何って啖呵を切ってパーティを退出したのに、もう一度戻ることが。周囲もざわざわしているのがわかる。アリス嬢はなぜか会場に入ったとたんにどこかに行ってしまったし。
「・・・まぁ、彼女が何かする気なんだろう。俺達はまた端にいよう」
シルヴァン様が両手にドリンクをもって私のことを壁側に誘導する。また、あの上位貴族の人たちに追い出されるかと思って警戒していたけれど、彼らの姿はパーティ会場に見えなかった。
「あれ?ベルと子爵?さっき出て行かなかった?」
いつの間にかキャロルが隣に立っていた。シルヴァン様が体を緊張させるのを腕を軽く叩いてなだめる。なぜかキャロルはさっきとは違うドレスを着ていた。どこかで見覚えのあるものだ。
「・・・それは、アリス嬢のドレスじゃなかったか」
シルヴァン様の言葉で思い出した。確かにそうだ。さっき見たアリス嬢が着ていたものだった。べインズ伯爵家では手が出せないぐらい高いもの。
「あぁ、そうなの。これ凄いでしょ?さっきね、地味な子がドレス交換してくれない?って言って来て、なんか面白そうだったから交換したの。すごくない?サイズぴったりだったの!」
嬉しそうにドレスを見せびらかすキャロル。よく見るとデザインが私が着ているものと似ている。ドレスの贈り主はもしかしてアリス嬢、もしくは彼女の関係者なのだろうか。
「あ、ちなみにさ、ベル、子爵に家に戻る話したの?」
思わず体が凍り付く。忘れてた。そういえばそんな話もしていた。シルヴァン様には欠片も話してない。
「・・・それはどういう?」
シルヴァン様がどんな表情で話しているのか見られなくて俯く。顎に人差し指を当て小首をかしげたキャロルがさっき義母が話したことを説明した。ご丁寧に義母やアビーの声真似までしている。
「実はさ、べインズ伯爵家がやばそうなのよねぇ。アビーとお母様が頑張ってるんだけど仕事がさばけなくて、いろんな家に契約とか関係とか切られてるみたいなの。じゃあベルティーヌに仕事させようってお母様思ったみたい。お義父様は領地に戻ったまんまだし。ちなみにベルうちに戻る気ある?」
なるほど、私を嫌っている義母が私を伯爵家に戻そうとした理由がこれで分かった。たしかに家の書類は私が大半を捌いてきたから義母もアビーもほとんど手を付けたことがないし、使用人にやらせようにも伯爵家の人間にしか触らせられないものも多いしね。それは困った事だろう。
「・・・それを聞いて俺が彼女を家に帰すと思うか?」
私の肩を抱き寄せてシルヴァン様が唸るように言う。威嚇されたようなものなのにキャロルはにこりと笑顔を作って
「ううん、思わない!」
と明るく言ってのけた。
「・・・どうしてキャロルはそれを教えてくれたの?」
言わなければ万が一の可能性にも、私が家に戻ったかもしれないのに。
「うーん、それがね・・・」
キャロルが言いかけたとき、
「アリス!なぜおまえがここにいる!」
怒声が会場中に響いた。
「・・・まぁ、彼女が何かする気なんだろう。俺達はまた端にいよう」
シルヴァン様が両手にドリンクをもって私のことを壁側に誘導する。また、あの上位貴族の人たちに追い出されるかと思って警戒していたけれど、彼らの姿はパーティ会場に見えなかった。
「あれ?ベルと子爵?さっき出て行かなかった?」
いつの間にかキャロルが隣に立っていた。シルヴァン様が体を緊張させるのを腕を軽く叩いてなだめる。なぜかキャロルはさっきとは違うドレスを着ていた。どこかで見覚えのあるものだ。
「・・・それは、アリス嬢のドレスじゃなかったか」
シルヴァン様の言葉で思い出した。確かにそうだ。さっき見たアリス嬢が着ていたものだった。べインズ伯爵家では手が出せないぐらい高いもの。
「あぁ、そうなの。これ凄いでしょ?さっきね、地味な子がドレス交換してくれない?って言って来て、なんか面白そうだったから交換したの。すごくない?サイズぴったりだったの!」
嬉しそうにドレスを見せびらかすキャロル。よく見るとデザインが私が着ているものと似ている。ドレスの贈り主はもしかしてアリス嬢、もしくは彼女の関係者なのだろうか。
「あ、ちなみにさ、ベル、子爵に家に戻る話したの?」
思わず体が凍り付く。忘れてた。そういえばそんな話もしていた。シルヴァン様には欠片も話してない。
「・・・それはどういう?」
シルヴァン様がどんな表情で話しているのか見られなくて俯く。顎に人差し指を当て小首をかしげたキャロルがさっき義母が話したことを説明した。ご丁寧に義母やアビーの声真似までしている。
「実はさ、べインズ伯爵家がやばそうなのよねぇ。アビーとお母様が頑張ってるんだけど仕事がさばけなくて、いろんな家に契約とか関係とか切られてるみたいなの。じゃあベルティーヌに仕事させようってお母様思ったみたい。お義父様は領地に戻ったまんまだし。ちなみにベルうちに戻る気ある?」
なるほど、私を嫌っている義母が私を伯爵家に戻そうとした理由がこれで分かった。たしかに家の書類は私が大半を捌いてきたから義母もアビーもほとんど手を付けたことがないし、使用人にやらせようにも伯爵家の人間にしか触らせられないものも多いしね。それは困った事だろう。
「・・・それを聞いて俺が彼女を家に帰すと思うか?」
私の肩を抱き寄せてシルヴァン様が唸るように言う。威嚇されたようなものなのにキャロルはにこりと笑顔を作って
「ううん、思わない!」
と明るく言ってのけた。
「・・・どうしてキャロルはそれを教えてくれたの?」
言わなければ万が一の可能性にも、私が家に戻ったかもしれないのに。
「うーん、それがね・・・」
キャロルが言いかけたとき、
「アリス!なぜおまえがここにいる!」
怒声が会場中に響いた。
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