のんびり灰かぶりは貧乏子爵様に嫁入りしました。『理屈屋と感覚派』

しぎ

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招待

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「…パーティの招待状…!?」
私がウィレット子爵家に来て3ヶ月。パーティの招待状が初めて来た。招待状を穴が開くほど見つめる。実家にいた時も、私はあまりパーティに出たことがない。本当に幼い時とデビュタントの時ぐらいだろうか。デビュタントの時もメインは姉たちで、私はすぐに部屋に下げられてしまったし、子爵夫人になってからは茶会すらない。久しぶりの社交に手が震えるのを感じる。しかもそれが。
「…王家主催のパーティ、ですか…」
頭痛を堪えるようにカレルが頭を抑える。招待されたのはシルヴァン・ウィレット子爵と、その妻ベルティーヌ・ウィレット子爵夫人。貴族は大抵招待されるとはいえ、まさか今年も招待が来るとは思わなかったらしい。シルヴァン様が悪評を轟かせた原因のパーティである事は、この際まだいい。問題なのは。
「…ドレスコード必須ですよねぇ…」
何か酸っぱいものでも食べたような顔をシャールカがする。パーティでは、それなりのドレスや礼服を着てくることが求められる。王家主催なら尚更、下手な格好で行けば良くて物笑いの種、悪ければ入り口で追い返されるかもしれない。そして、私はドレスを持っていない。ワインドさんの店で作ってもらったドレスは普段着用と、簡単な社交用。生地から仕立てから違うそれは、パーティに着ていけるものではなかった。
「俺の分は去年のがある。ベルティーヌの分だけ作れば良い」
何故か呑気そうに本を読みながらシルヴァン様が言う。
「そう言うわけにもいかないでしょう…」
私たちが頭を抱えていてもシルヴァン様はどこ吹く風だった。

意見はいろいろ。古いドレスを繕ったり、新しいドレスをリメイクしたり。話し合う私たちをよそにシルヴァン様は、
「ベルティーヌが仕事を手伝い始めてから多少金に余裕もできただろう。買えば良い」とか、
「男は適当な服で良い。パーティで着飾るなら女性だけで良いだろう」
とか好き勝手なことを言う。何故かだんだんシャールカ達がそちらに傾き出していくのを必死に止めていた時、突然に家のベルが鳴った。
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