7 / 16
よし子さんは神様です。
しおりを挟む
トラックの中では、オライオンとポニーちゃんが眠そうにあくびをしていました。
ゴルちゃんは具合悪い《ふり》をしていました。
「お待たせ、みんな」
よし子さんがトラックに乗り込むと、三匹はよし子さんにぴたっとくっつきました。
「待ってたよー」とオライオンが甘えた声を出しました。
「待ってたわ」ポニーちゃんも、よし子さんの腕をペロンとなめます。
「具合悪いふりは疲れるよー」ゴルちゃんも、とことことよし子さんの膝に駆け上がりました。
「ごめんごめん。じゃあ、みんな海につくまで静かにしていてね。一応回覧板には 『動物たちの体調不良のため病院に連れていきます。また、その後海にて運動療法を行います』っていうことにしてあるから。みんな具合悪い《ふり》よろしく」
よし子さんが三匹に言うと、オライオンが怒ったように小さく吠えました。
「おれ様とポニーは本当に眠れねえんだって」
「そうなのよ」
ポニーちゃんも不満げによし子さんを見つめます。
「実は、僕も最近夢の中にお姉さんが出てくるんだ。なんだか怒っているみたいなんだよ。サングラスをなくしたからかなあ」
ゴルちゃんも不安そうに毛づくろいを始めました。
「ゴルちゃんも眠れてないのね……さあ、出発するからみんなゆっくりして」
よし子さんがバックミラーをのぞくと早速みんなうつらうつらし始めました。
がたごとがたごと
トラックが揺れます。
ふと、前を見ると細長いひものようなものが見えました。
速度を落として近づくと、カタツムリ君たちが横一直線に並んでいました。
「あぶないあぶない。カタツムリ君たち、気づかなかったらふんでるよ」
よし子さんは、窓を開けて注意します。
「……」
カタツムリ君たちが何か言っているようです。
よし子さんは、トラックから降りました。
「こんにちは。動物園の方ですよね。先日は海へ一緒に連れて行ってくださり、ありがとうございました。楽しかったです。ところで、アルダブラ君は乗っていますか?」
カタツムリ君が代表してよし子さんに聞きました。
「今日はいないのよ」
ちっちゃい者たちが、びっくりして立ち上がりました。
「そうですか。村のスピーカーで動物たちが海へ行くと伝えていたので、アルダブラ君もいるかとみんなを誘ってきたのですが……」
カタツムリ君が角を後ろに倒しました。
「行政無線を聞いたのね。残念ながら、今日はオライオンとポニーちゃん、ハムスターのゴルちゃんだけなのよ」
よし子さんが、説明します。
「少ないんですね」
カタツムリ君が触角を動かしながら言いました。
「いろいろ事情があってね」
「では、帰ったらアルダブラ君に(ぜひ、また一緒にお散歩しましょう)とお伝えくださいませんか? 僕たち海も楽しかったんですが、やはり一番最初のアルダブラ君と一緒にお散歩したのが本当に楽しかったんです」
「わかったわ。必ず伝えるわね」
よし子さんは、カタツムリの角と小指を合わせて約束しました。
車に戻ると、オライオンが目をあけていました。
「どうした」
オライオンが、荷台から顔を出しました。
「カタツムリ君たちが、アルダブラ君も乗っていると思って来たみたい」
よし子さんは、小声で答えました。
「アルダブラのところによく手紙よこしているみたいだしな。アルダブラも、カタツムリ君たちとまたお散歩したいと話していたよ」
オライオンが、あくびをしました。
「カタツムリ君たちもそうみたい」
よし子さんも伸びをしました。
「みんなそうなんだな。ぶた太も湧水で泥浴びが楽しかったというし、おれ様も初めに行ったあのドッグランでの開放感が忘れられねえ」
オライオンもうーんと背中を伸ばしました。
「多分オラアルブ探検隊は、こっそり出て行ったから余計に楽しかったのよね」
よし子さんは最初の時のオライオンのむくれた顔を思い出して笑いました。
「それは絶対にあるな。アルダブラなんて鼻歌歌っていたものな」
オライオンとよし子さんは、くっくっと声をひそめて笑いました。
「こっそりじゃなくても楽しかったわよ」
ポニーちゃんが薄目をあけました。
「起こしちゃったかしら?」
よし子さんが、運転席に戻りました。
「ううん、ちょうど起きたの」
ポニーちゃんは、ふわっとあくびをしました。
「この間はみんなで一緒に海へ行ったでしょ。動物園から一歩外に出ただけであんなに空気が違うとは思わなかったわ。冒険みたいのはないけど、逆にみんなに見守られている安心感があったし。本当に楽しく駆け回れた」
ポニーちゃんは、うーんと前足をのばしました。
ゴルちゃんの寝言が聞こえてきました。
「サングラス必ず見つけるから……姉ちゃん……だからそんなに怒らないで……」
ウズラの卵のように丸まりながら、プルプル震えています
「サングラス見つかるといいわね」
ポニーちゃんが、ゴルちゃんにそっとハンドタオルをかけてあげました。
「ではではー。再び出発」
よし子さんは、念入りに左右上下確認してから車を動かしました。
「それにしても、オライオンはどうして『お悩み相談室』なんて始めたの?」
トラックが動き出すと、ポニーちゃんが口を開きました。
「なんでかって。前に本で読んだんだよ。悩んだ人がカウンセリングというものを受けて元気になる話を」
オライオンは、恥ずかしそうにポニーちゃんの顔を見ました。
「ほん? カウンセリング?」
「そうなんだよ。動物園もみんないい人ばっかりだし、なかまたちといるのも楽しいけどよ」
オライオンが、むくりとからだを起こしました。
「動物たちも時々ぶつぶつ言ったり、すごく怒っていたりするだろ」
オライオンが、腕を組んで考え込みます。
「そうかも。なんだかみんな大丈夫かしらって思うときがあるわよね」
ポニーちゃんも最近感じていました。
「そういう時に誰かに自分の不満を聞いてもらいたくなる時ってあるだろう」
オライオンは、顔をあげてポニーちゃんの顔をじっと見ます。
「あるわ。私も時々アルパカさんとか羊さんに愚痴を聞いてもらうわ。でも、アルパカさんとか羊さんとかは人を乗せることはまずないから、何人も子供を乗せる話をしてもぴんとこないみたい。だから、話を聞いてもらってもすっきりしないことはあるわ。子供たちにおなか一杯なのに野菜を無理やり食べさせられる苦しみはわかってくれるけど」
ポニーちゃんは、山盛りのニンジンスティックを思い出してげっぷをしました。
「そうだろ。だから、イオン君に頼んでおすまし村の図書館からカウンセリングの本を取り寄せてもらったんだよ」
オライオンは久しぶりに気持ちが高揚してきました。
「としょかん? としょかんって何?」
ポニーちゃんは、きょとんとしています。
「本がたくさん置いてあるところだよ」
オライオンはたてがみを前足でかきあげました。
「『ほん』って何? 私は『ほん』を見たことがないわ」
「『紙』はしってるかい?」
「知ってるわ。時々、床に新聞紙や広告が敷いてあるもの。あれって紙でしょ」
オライオンは、うなずきました。
「新聞紙より厚みがある物が多いが、そいつを何枚も重ねてまとめたものを『本』というんだ。大抵は文字が書いてある。絵だけのものもある。いろんなことが書かれていて面白いんだよ」
「そうなのね」
ポニーちゃんは、にっこりと笑いました。
「おれ様、昔からなぜだか本が好きなんだよ。前にりょうさんが本を読んでいたとき、おれ様が興味を持ったからりょうさんがおれ様に文字を教えてくれたことがあるんだ」
オライオンは遠くを見つめながら話します。
「へえー」
ポニーちゃんも感心したように返事をします。
「おれ様が字が読めるようになると、りょうさんは時々おれ様に本を貸してくれるようになったんだ」
オライオンは、遠くの山を見ます。
「園長さんも他のスタッフも毎日何かと忙しそうだろ。そんなときにおれ様たまたま本が読めるようになっただろ。だから、おれ様がみんなの悩みを少しでも聞いてあげられたらなって。動物たちの受け皿になれたらなって思ったんだよ」
「ふうん」
ポニーちゃんは、オライオンがそんなことを考えていたとは知りませんでした。
「こんなに忙しくなるとは思わなかったがな。しかもカウンセラーなのに自分が不眠症になっちまった」
オライオンが、はずかしそうに笑いました。
「もっと勉強したいと思ったんだが、動物園にいては本を読むすべがない」
オライオンは話し続けます。
「そうね」
ポニーちゃんも興味深く聞き入ります。
「そこで図書館から本を借りたらどうかと思ったんだよ」
オライオンは、荷台の枠に前足をかけました。
「ダメもとでイオン君に相談したら、図書館のカードを持っているというだろ。だからカウンセラーになりたい人のための本を借りてもらったんだ」
オライオンはおおーんと小さく吠えます。
「りょうさんじゃなくてイオン君に頼んだのね」
ポニーちゃんが確かめます。
「イオン君はおれ様がりょうさんから字を教わったのを知っているからね」
オライオンが目を細めて言いました。
「イオン君も本を読むのね」
ポニーちゃんは、金髪のイオン君が本を読んでいる姿が想像できないようでした。
「意外といろいろ勉強してるし、いいやつなんだぜ」
よし子さんは、(帰ったらイオン君に伝えなくちゃ)と思いながらハンドルを右に回しました。
「じゃあ、今度みんなで図書館に連れて行ってもらいましょうよ。私も図書館に行ってみたいわ。ねえ、よし子さん」
ポニーちゃんに急に話を振られて慌ててきゅっとハンドルを握りました。
「そ、そ、それはまた園長さんに聞いてからねー」
よし子さんは、首にかけたタオルで汗を拭きました。
赤とんぼがブーンとトラックの前を何匹も飛び交っていきます。
そろそろ海が見えてきました。
バックミラーからはオライオンが楽しそうに笑っている姿がよく見えます。
ゴルちゃんは具合悪い《ふり》をしていました。
「お待たせ、みんな」
よし子さんがトラックに乗り込むと、三匹はよし子さんにぴたっとくっつきました。
「待ってたよー」とオライオンが甘えた声を出しました。
「待ってたわ」ポニーちゃんも、よし子さんの腕をペロンとなめます。
「具合悪いふりは疲れるよー」ゴルちゃんも、とことことよし子さんの膝に駆け上がりました。
「ごめんごめん。じゃあ、みんな海につくまで静かにしていてね。一応回覧板には 『動物たちの体調不良のため病院に連れていきます。また、その後海にて運動療法を行います』っていうことにしてあるから。みんな具合悪い《ふり》よろしく」
よし子さんが三匹に言うと、オライオンが怒ったように小さく吠えました。
「おれ様とポニーは本当に眠れねえんだって」
「そうなのよ」
ポニーちゃんも不満げによし子さんを見つめます。
「実は、僕も最近夢の中にお姉さんが出てくるんだ。なんだか怒っているみたいなんだよ。サングラスをなくしたからかなあ」
ゴルちゃんも不安そうに毛づくろいを始めました。
「ゴルちゃんも眠れてないのね……さあ、出発するからみんなゆっくりして」
よし子さんがバックミラーをのぞくと早速みんなうつらうつらし始めました。
がたごとがたごと
トラックが揺れます。
ふと、前を見ると細長いひものようなものが見えました。
速度を落として近づくと、カタツムリ君たちが横一直線に並んでいました。
「あぶないあぶない。カタツムリ君たち、気づかなかったらふんでるよ」
よし子さんは、窓を開けて注意します。
「……」
カタツムリ君たちが何か言っているようです。
よし子さんは、トラックから降りました。
「こんにちは。動物園の方ですよね。先日は海へ一緒に連れて行ってくださり、ありがとうございました。楽しかったです。ところで、アルダブラ君は乗っていますか?」
カタツムリ君が代表してよし子さんに聞きました。
「今日はいないのよ」
ちっちゃい者たちが、びっくりして立ち上がりました。
「そうですか。村のスピーカーで動物たちが海へ行くと伝えていたので、アルダブラ君もいるかとみんなを誘ってきたのですが……」
カタツムリ君が角を後ろに倒しました。
「行政無線を聞いたのね。残念ながら、今日はオライオンとポニーちゃん、ハムスターのゴルちゃんだけなのよ」
よし子さんが、説明します。
「少ないんですね」
カタツムリ君が触角を動かしながら言いました。
「いろいろ事情があってね」
「では、帰ったらアルダブラ君に(ぜひ、また一緒にお散歩しましょう)とお伝えくださいませんか? 僕たち海も楽しかったんですが、やはり一番最初のアルダブラ君と一緒にお散歩したのが本当に楽しかったんです」
「わかったわ。必ず伝えるわね」
よし子さんは、カタツムリの角と小指を合わせて約束しました。
車に戻ると、オライオンが目をあけていました。
「どうした」
オライオンが、荷台から顔を出しました。
「カタツムリ君たちが、アルダブラ君も乗っていると思って来たみたい」
よし子さんは、小声で答えました。
「アルダブラのところによく手紙よこしているみたいだしな。アルダブラも、カタツムリ君たちとまたお散歩したいと話していたよ」
オライオンが、あくびをしました。
「カタツムリ君たちもそうみたい」
よし子さんも伸びをしました。
「みんなそうなんだな。ぶた太も湧水で泥浴びが楽しかったというし、おれ様も初めに行ったあのドッグランでの開放感が忘れられねえ」
オライオンもうーんと背中を伸ばしました。
「多分オラアルブ探検隊は、こっそり出て行ったから余計に楽しかったのよね」
よし子さんは最初の時のオライオンのむくれた顔を思い出して笑いました。
「それは絶対にあるな。アルダブラなんて鼻歌歌っていたものな」
オライオンとよし子さんは、くっくっと声をひそめて笑いました。
「こっそりじゃなくても楽しかったわよ」
ポニーちゃんが薄目をあけました。
「起こしちゃったかしら?」
よし子さんが、運転席に戻りました。
「ううん、ちょうど起きたの」
ポニーちゃんは、ふわっとあくびをしました。
「この間はみんなで一緒に海へ行ったでしょ。動物園から一歩外に出ただけであんなに空気が違うとは思わなかったわ。冒険みたいのはないけど、逆にみんなに見守られている安心感があったし。本当に楽しく駆け回れた」
ポニーちゃんは、うーんと前足をのばしました。
ゴルちゃんの寝言が聞こえてきました。
「サングラス必ず見つけるから……姉ちゃん……だからそんなに怒らないで……」
ウズラの卵のように丸まりながら、プルプル震えています
「サングラス見つかるといいわね」
ポニーちゃんが、ゴルちゃんにそっとハンドタオルをかけてあげました。
「ではではー。再び出発」
よし子さんは、念入りに左右上下確認してから車を動かしました。
「それにしても、オライオンはどうして『お悩み相談室』なんて始めたの?」
トラックが動き出すと、ポニーちゃんが口を開きました。
「なんでかって。前に本で読んだんだよ。悩んだ人がカウンセリングというものを受けて元気になる話を」
オライオンは、恥ずかしそうにポニーちゃんの顔を見ました。
「ほん? カウンセリング?」
「そうなんだよ。動物園もみんないい人ばっかりだし、なかまたちといるのも楽しいけどよ」
オライオンが、むくりとからだを起こしました。
「動物たちも時々ぶつぶつ言ったり、すごく怒っていたりするだろ」
オライオンが、腕を組んで考え込みます。
「そうかも。なんだかみんな大丈夫かしらって思うときがあるわよね」
ポニーちゃんも最近感じていました。
「そういう時に誰かに自分の不満を聞いてもらいたくなる時ってあるだろう」
オライオンは、顔をあげてポニーちゃんの顔をじっと見ます。
「あるわ。私も時々アルパカさんとか羊さんに愚痴を聞いてもらうわ。でも、アルパカさんとか羊さんとかは人を乗せることはまずないから、何人も子供を乗せる話をしてもぴんとこないみたい。だから、話を聞いてもらってもすっきりしないことはあるわ。子供たちにおなか一杯なのに野菜を無理やり食べさせられる苦しみはわかってくれるけど」
ポニーちゃんは、山盛りのニンジンスティックを思い出してげっぷをしました。
「そうだろ。だから、イオン君に頼んでおすまし村の図書館からカウンセリングの本を取り寄せてもらったんだよ」
オライオンは久しぶりに気持ちが高揚してきました。
「としょかん? としょかんって何?」
ポニーちゃんは、きょとんとしています。
「本がたくさん置いてあるところだよ」
オライオンはたてがみを前足でかきあげました。
「『ほん』って何? 私は『ほん』を見たことがないわ」
「『紙』はしってるかい?」
「知ってるわ。時々、床に新聞紙や広告が敷いてあるもの。あれって紙でしょ」
オライオンは、うなずきました。
「新聞紙より厚みがある物が多いが、そいつを何枚も重ねてまとめたものを『本』というんだ。大抵は文字が書いてある。絵だけのものもある。いろんなことが書かれていて面白いんだよ」
「そうなのね」
ポニーちゃんは、にっこりと笑いました。
「おれ様、昔からなぜだか本が好きなんだよ。前にりょうさんが本を読んでいたとき、おれ様が興味を持ったからりょうさんがおれ様に文字を教えてくれたことがあるんだ」
オライオンは遠くを見つめながら話します。
「へえー」
ポニーちゃんも感心したように返事をします。
「おれ様が字が読めるようになると、りょうさんは時々おれ様に本を貸してくれるようになったんだ」
オライオンは、遠くの山を見ます。
「園長さんも他のスタッフも毎日何かと忙しそうだろ。そんなときにおれ様たまたま本が読めるようになっただろ。だから、おれ様がみんなの悩みを少しでも聞いてあげられたらなって。動物たちの受け皿になれたらなって思ったんだよ」
「ふうん」
ポニーちゃんは、オライオンがそんなことを考えていたとは知りませんでした。
「こんなに忙しくなるとは思わなかったがな。しかもカウンセラーなのに自分が不眠症になっちまった」
オライオンが、はずかしそうに笑いました。
「もっと勉強したいと思ったんだが、動物園にいては本を読むすべがない」
オライオンは話し続けます。
「そうね」
ポニーちゃんも興味深く聞き入ります。
「そこで図書館から本を借りたらどうかと思ったんだよ」
オライオンは、荷台の枠に前足をかけました。
「ダメもとでイオン君に相談したら、図書館のカードを持っているというだろ。だからカウンセラーになりたい人のための本を借りてもらったんだ」
オライオンはおおーんと小さく吠えます。
「りょうさんじゃなくてイオン君に頼んだのね」
ポニーちゃんが確かめます。
「イオン君はおれ様がりょうさんから字を教わったのを知っているからね」
オライオンが目を細めて言いました。
「イオン君も本を読むのね」
ポニーちゃんは、金髪のイオン君が本を読んでいる姿が想像できないようでした。
「意外といろいろ勉強してるし、いいやつなんだぜ」
よし子さんは、(帰ったらイオン君に伝えなくちゃ)と思いながらハンドルを右に回しました。
「じゃあ、今度みんなで図書館に連れて行ってもらいましょうよ。私も図書館に行ってみたいわ。ねえ、よし子さん」
ポニーちゃんに急に話を振られて慌ててきゅっとハンドルを握りました。
「そ、そ、それはまた園長さんに聞いてからねー」
よし子さんは、首にかけたタオルで汗を拭きました。
赤とんぼがブーンとトラックの前を何匹も飛び交っていきます。
そろそろ海が見えてきました。
バックミラーからはオライオンが楽しそうに笑っている姿がよく見えます。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

こうらさしあげます
んが
児童書・童話
南の島ののんびり屋のカメさんが、ノコギリザメ君にこうらを傷つけられて悲しんでいるところ、いろいろな海のなかまがやってきて相談に乗ってあげます。
カニさんはカメは脱皮をするはずだから、それを待つといい。ワニさんはキズをもようだと思え、イソギンチャクは同情はしてあげられて薬もぬってあげられるけど自分にはどうすることもできない。と謝る。その次にやってきたヤドカリにはこうらがいやなら捨ててしまえばいい、と言われびっくりします。ただ、よくよく話を聞いているとヤドカリもおなかがすいて困っている様子。カメさんはふむと考えて、自分のこうらをあげるよ、と言います。ヤドカリはびっくりしますが実はカメのこうらの上に乗っけてあげて時々こうらをたべていいよ、ということで二人で生きていくおはなしです。
占い探偵 ユーコちゃん!
サツキユキオ
児童書・童話
ヒナゲシ学園中等部にはとある噂がある。生徒会室横の第2資料室に探偵がいるというのだ。その噂を頼りにやって来た中等部2年B組のリョウ、彼女が部屋で見たものとは──。
オオカミ少女と呼ばないで
柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。
空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように――
表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる