寝ている間は異世界転移！？寝ている間にできる簡単なお仕事です

第80話 9-4日目 囚われていた女性は王女様だった！

ワルシャイ伯爵家の屋敷に侵入したユウヤ。地下の部屋で違法奴隷の契約書を発見したユウヤは、片方の部屋で違法奴隷？と思われる女性を発見する。

女性と目が合った瞬間、女性がしゃべりそうになったのでユウヤは必至で一指し指を口の前に持って行き「シー」という。

（あっ！！これって通じるのか？）
と思ったユウヤだが、この仕草は異世界でも通じるみたいで、女性は言葉を発する事はなかった。

「よかった。え～っとあなたは誰ですか？俺はここにちょっと違法奴隷について調べにきたんだけど・・・」

女性に話しかけるが、どうやら女性はしゃべれないようだ。必死に口を動かしてるが声は聞こえない。

（声がしゃべれないのか？首輪の効果か・・・はめられると声が話せなくなる。とか）

「え～っとしゃべれないようなので、首を振って答えてくれますか？」
女性は首を縦に振る。

「あなたはここに掴まってるんですか？」
女性は首を縦に振る。

「相手はワルシャイ伯爵ですか？」
女性は首をかしげる。

（誰かわからないけど掴まってここに連れてこられたって感じかな。）

「俺はここに違法奴隷に関しての証拠を見つける為にきたんだけど、見たところあなたは無理やり奴隷にさせられてここに連れて来られたように見える。助けだそうと思いますがかまいませんか？」
女性は首を何度も縦に振った。

（さてどうするかな。こういったのって無理やり外すと何かが起きたりするんだろうか？女性に触れて転移すればとりあえず移動はできるのかな・・・。）

どうしようか考えていたが、ユウヤは鑑定スキルがある事に気付いた。

（鑑定すればいいじゃん。）

【口封じの首輪】付けられたモノは声を発する事が出来なくなる。

【手錠】拘束道具

（奴隷の首輪じゃないな！！これから奴隷にされるって事かな？？見るからにどこかの貴族の令嬢のように見える・・・服装とか豪華だし、見た目も顔が整ってて綺麗な顔してるしな・・・ちょっと疲れてるようには見えるが・・・）

「とりあえず手錠は外すね。首輪の方は外せるかわからないけど、はずしても問題はなさそうだからちょっと待ってね。」

ユウヤは女性の手錠を外す。解錠スキルで難なく手錠は外れた。首輪の方も外そうとしたがこちらは外せなかった。

（首輪は外れないな・・・しょうがない。鍵を探して首輪も外してあげたいけど、時間もないしこのまま転移するか。）

ユウヤは地下に人が下りてくる気配を感じ取っていた。なのでもう片方の部屋にはいかずに女性の手をとり転移して屋敷から脱出したのだった。

ユウヤが転移した先は自分の家だ。

「ただいま～っと」

ユウヤが自分の部屋に転移すると、数秒でドアがいきなり開けられた。
「ユウヤ様！？」

ドアを開けたのはエミリだ。
「うおっ！！ってエミリ！！どうしたんだ？」

エミリはそのままユウヤに抱き着く。
「無事でよかったです。」、

（心配しすぎだよ。ってか俺に気付くの早くない？）

ユウヤはエミリに無事に不正の証拠の書類を見つけた事。女性が囚われていたので助けた事。首輪は外せなくて、この首輪は口封じの首輪だという事。女性が屋敷から消えたのですぐにワルシャイ伯爵には気づかれるかもしれない事を伝える。

「そうですね。すぐにギルドマスターに報告した方が良いでしょうね。女性が居ない事に気付いたら書類の事も調べるでしょう。そうなると王都から逃げるかもしれませんから。」

「確かに！じゃあ急いでギルドマスターの所に行くか。」

「待ってください！！そのままワルシャイ伯爵の屋敷に捕縛に向かうかもしれません。ルリを呼んできて準備しますので。」
「わかった。」

エミリとルリを待ってると、先ほどの女性がユウヤの腕を掴んでいた。見ると何か必死に伝えようとしていた。

「どうした？え～っとなんか伝えたいのか？・・・無理やり首輪を壊してもいいんだけど、壊して首とか傷ついたらまずいもんな・・・。」

（う～ん・・・・どうしよ・・・・仕方ない・・・・解錠スキル取るか・・・・もったいないけど・・・・）

ユウヤは解錠スキルのレベルを上げて女性の首輪に触れた。すると今度はパリンという音とともに首輪が女性から外れて落ちていった。

「！？しゃべれますわ。よかった。ユウヤ様・・・でしたよね。助けてくれてありがとうございます。まずはお礼を。」

「しゃべれるようになってよかったよ。それでさっきは何を伝えようとしたんだ？」

「そうでした。王都のギルドマスターってロールマインですよね？私もそこに連れて行ってください。」

「ギルドマスターを知ってるのか？」

「はい。何度かお茶会を。あと魔法の稽古をしてもらったりしました。あっ申し遅れました私、この国の第三王女のセレスと申します。」

（！？王女・・・じゃあこの女性が契約書に載ってた・・・捕まった後だったんだな・・・）

「王女様！？・・・え～っと・・・すいません。王女様にどんな言葉遣いをすればいいのかわからなくて・・・」

ユウヤはどうしたらいいのかわからず困っていると、

「ユウヤ様！普段の口調で大丈夫ですわ。それよりも先ほど出ていかれたエミリ？さんが言われていたようにワルシャイ伯爵がこの事を知ったら逃げると思います。なのですぐにお父様に言って騎士を派遣してもらいますわ。ワルシャイ伯爵には何度かお会いした事があります。舐めるように見られて不快だったのを覚えていますわ。」

（たしかに王女なら王様に言って騎士を出してもらう方が早いか。元々の依頼も王家からだったしな。いや、でも王家からって言うのは伏せてるはずだから王城に直接行くのはまずいのか？）

そのタイミングで準備を終えたルリ、エミリ、マイヤ、メイヤが現れた。助けた女性がこの国の第三王女だという事を伝え、マイヤとメイヤが一緒に行くといったので、全員でワルシャイ伯爵の事を伝える為にギルドへ向かうのだった。