ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー

文字の大きさ
上 下
166 / 178
第4章 ゼンパンの素質とウィークリーガチャ

第166話 魔法が使えなくなる薬とは・・・

しおりを挟む
「至って普通の魔法研究施設だったわね。」

ガイア国の霊峰オーディールで神獣アークドラゴンと話しをした後、ラッキー達はフランダル魔法国に戻り、グレイ魔法教団の本拠地と言われているレッドブルー魔法研究所を見学した。

レッドブルー魔法研究所は、地上6階建ての大きな建物で、見学と言っても見れたのは1階と2階だけで、しかも当たり障りのない説明と少しの施設を見せてもらっただけなので、グレイ魔法教団の事は全く分からなかった。

「そうだな。全く手掛かりがなかったな。こうなるとモートルの町か他の町で薬を売ってる人を見つける方が早いかもしれないな。」

「とりあえず魔法が使えなくなった人に話を聞いてみますか?」

「そうだな。どんな人だったか聞いてみるか。何かしら分かればいいんだけど・・・」

レッドブルー魔法研究所からは全く手掛かりがつかめなかったのでラッキー達は、魔法が使えなくなった人に話を聞く事にした。早速ギルドに行き事情を話し、その人を呼んでもらった。

「すいません。何度も聞かれたかもしれませんがもう一度話して頂いてよろしいでしょうか?」

ラッキー達の目の前にいるのは30代を過ぎた女性であった。

「はい。あれはモートルで買い物をしていた時です。私に声をかけてきたのは白いローブ姿の男性でした。年は40歳を過ぎているぐらいでしょうか。私に魔力を増やしたくありませんか?って聞いて来たんです。」

「それでどうしたんですか?」

「もちろんです。って答えましたよ。この国に居て魔力を増やしたくない人なんていませんからね。」

「それで薬を買ったんですか?怪しいと思わなかったんですか?」

「そうですね。初回は無料って言われましたので、無料ならいいかって感じでした。効果が良ければ次回は購入してください。って言われたので。見た目もポーションみたいで、色も怪しい感じじゃなくてポーションのようなピンク色でしたから。」

(なるほど。たしかに怪しい薬にお金を払うなら警戒するが、無料ならもらう人は多いか・・・)

「それでその日に薬は飲んだんですか?」

「はい。その場で飲みました。無料なので瓶は返してくださいと言われましたから。」

「その瞬間から魔法が使えなくなったんですか?」

(いきなり魔法が使えなくなるのか?それとも徐々に使えなくなるのか・・・)

「え~っと・・・あ!?そういえば魔力を増やす為にその日はあまり魔法を使わない様に言われました。家に帰ってお風呂に水を貯めるのに水魔法を使ったんですがその日はちゃんと魔法が使えました。」

(なるほど。飲んだすぐに魔法が使えなくなるわけじゃないって事か。)

「いつから魔法が使えなくなったんですか?」

「翌日からです。朝起きて魔法を使おうと思ったら発動しなかったんです。始めはしばらくすれば使えると思ったんですが、何日経っても使えるようになりませんでした。今も・・・」

話をする女性はひどく落ち込んでいた。この国に居て魔法が使えないという事は生活に支障が出てもおかしくないからである。一応魔道具が普及しているので魔法が無くても生活する事は可能だが不便な面はあるだろう。

「そうですか・・・」

(薬を飲んでもその日は魔法が使えたっていうのは、聞けてよかった。もしヘマしてグレイ魔法教団に魔法を使えなくなるようにされても脱出ぐらいはできそうだな。)

その後、何名かの人に話を聞いたが、皆同じような話をした。

「どう思うラッキー?」

「ああ、まあ仮定の話ではあるけど、アークドラゴン様の話と今日聞いた魔法が使えない人の話から、魔法が使えない薬は、魔力が継続的にゼロになる薬だと思う。」

「そうですね。魔力がなくなると頭痛がしたり気絶したりするのが普通ですけど、そういった事にならないように作ってるんでしょうか?」

「そうだと思う。飲んだその日にまだ魔法が使えたって事は、薬を飲んでから徐々に魔力が減っていくんだろう。そして一度ゼロになったらそこから魔力は回復しない。いや回復したとしても同じだけ減って結局ゼロになるって事だろう。」

「どうするの?」

「ああ。考えたんだがそんなすごい薬を作る時って、きっとちゃんと効果が出てるか確認すると思うんだ。」

「そうですね。あっ!?」

「そう。という事は・・・」

「「「治療薬が存在する!!」」」

「ああ。誰かで効果を試さないと、使うなんてできないからな。きっとグレイ魔法教団は治療薬を持っている。」

「でもそのグレイ魔法教団の本拠地がわからないわ。」

「ああ。でも白いローブの男性が薬を広めてる。その人を見つける事ができれば薬の補充をどこかでしてるはずだ。」

「どこかにいる魔法教団の人を探すのね。」

「ああ。一度見つける事ができれば後を付ければ場所が特定できるかもしれない。リルがいれば匂いを元に探す事ができるかもしれない。見つけるまで時間がかかるかもしれないが、今できる事で一番確実な方法だと思う。」

薬を広めている人を探す為、ラッキー達は二手に分かれる事にした。ラッキーとシルフィードは王城と魔法学園のある都市フランダルを、マリアとリルはモートルの町を調べる事になったのだった。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...