165 / 178
第4章 ゼンパンの素質とウィークリーガチャ
第165話 グレイ魔法教団
しおりを挟む
「薬の効果はどうだ?」
「はい。一度服用すればそれ以降は徐々に魔法が使えなくなり、最後には全く魔法が使えなくなると報告を受けてます。」
「うむ。量産はどうだ?」
「現在、取り組み中です。」
「すぐにはできぬか?」
「申し訳ありません。材料の確保に手間取っておりまして・・・」
「そうじゃな。こればかりはすぐにどうする事も出来ぬか・・・」
「はい。」
「町の様子はどうじゃ?」
「はい。何名かは捕まったようです。が、問題はありません。」
「うむ。ここで魔法が使えぬという事態は、我らグレイ教団がこの国を支配するのに都合が良い。今後も頼むぞ。」
「はっ!全ては我らグレイ教団の為に!」
モートルの町の南に、レッドブルー魔法研究所がある。その地下2階で2人の男達は話合っていた。表向きは様々な魔法を研究する施設で、その裏では、魔法が使えなくなる魔法薬を開発している施設だった。
地下で活動している組織はグレイ魔法教団といい、目的はフランダル魔法国の支配だ。魔法を使えない薬を作り、それを使用する事でこの国の魅力を操ろうとしていた。すでに効果は実証済みで仮に自分達に使用されたとしても治療薬も開発済みだった。
「数の量産が難しいとすると、どこに使うのが効果的か・・・王城の者達に使うのが良いか、それとも魔法学園か、それとも・・・」
☆☆☆
「で、どうするのラッキー?怪しいっていう施設に向かう?」
「そうだな。レッドブルー魔法研究所は魔法学園の中でも出てくるほど有名な研究所だ。調べてみる価値はあるな。」
「魔法が使えなくなった人と会って話を聞くのもいいかもしれませんね。」
「そうだな・・・」
(俺達が今できる事と言えばシルフィーとマリアが言う2つしかないな。研究所にシルフィーとマリアを連れて行くのは危険か?いやでも表向きは有名な魔法研究所だ。見学するぐらいなら怪しまれる事はないか。)
「とりあえず、魔法学校の留学生として見学を申し込んでみよう。何かわかるかもしれない。」
「「わかったわ。」」
『俺も行くんだぞーー』
「ああ。でもリルは大人しくしといてくれよ。」
『わかってるんだぞー。』
(行く前にできるだけ準備しておいた方がいいか。俺の特技は転移魔法だもんな。)
「シルフィー、マリア、リル、レッドブルー魔法研究所に行く前にアークドラゴン様に会いに行こうと思う。アークドラゴン様なら何か知ってるかもしれないし、あそこの万能薬草なら、もしかしたら魔法が使えなくなった人を治せるかもしれない。それに治せるなら俺達が魔法を使えなくなった時の治療薬になるかもしれない。」
「たしかに・・・ラッキーの言う通りね。ラッキーの転移魔法があれば行くのはすぐだし名案だわ。」
『おーー。アークおばちゃんに俺も会いたいんだぞー。』
グレイ魔法教団を脅威に思い、安全策の為、ラッキー達はすぐにレッドブルー魔法研究所には向かわずに、霊峰オーディールへ転移した。
そして・・・
『アークおばちゃん久しぶりなんだぞーー。』
「アークドラゴン様お久しぶりです。今日はちょっと相談がありまして来ました。」
「あらあらリル坊やにラッキー達じゃないか。どうしたんだい?」
「実は・・・」
ラッキーはアークドラゴンに、フランダル魔法国で受けた依頼の内容を伝えた。
「なるほど。そういう事ね。たしかにここにある万能薬草ならその魔法が使えないって状態を治す事ができるかもしれない。だけどそれはあくまで可能性だ。どういった状態なのかわからなければ治しようがないからね。それに・・・」
「それに?」
「この前ラッキー達に万能薬草をあげただろ?あれはこの霊峰を維持していくにも必要だからどうぞどうぞと渡せるもんじゃないんだよ。一つぐらいなら持って行ってもかまわないけどね。」
「一つ・・・」
(なら魔法が使えなくなった人には使えない・・・か。それで治るのがわかったとしてもそれしかないんじゃ意味がない。もし俺達の誰かが使えなくなった時用に持っておくのが正解か。)
「アークドラゴン様は魔法が使えなくなる状態に心当たりはありますか?」
「そうだね。単純に魔法が使えなくなるって事は魔力が無い状態になってるか。魔法を使う為の回路が狂わされているかのどっちかだろうね。」
「それはどうにか治す事ができたりするんでしょうか?」
「どうだろうね~。魔力が無い状態がずっと続くって事は体内の魔力が外に垂れ流しになってるんだろうからそれを止めればなんとかなるだろうけど、どうやればいいかは検討つかないね。回路が狂わされているだけなら、誰かが回路を整えてあげれば魔法が使えるようになるだろうけど・・・」
(なるほど。ならきっとグレイ魔法教団の薬っていうのは魔力がなくなる薬の可能性が高いな。知らない内に魔力が減っていってるって事か・・・回復する量よりも減っていく量が多いって感じか・・・。なら!?いやもしかして魔力回復薬を飲んですぐに魔法を使ってみれば薬の効果が証明できるんじゃ・・・)
「アークドラゴン様。ありがとうございます。相談に来てよかったです。」
「ああ。何かわかったんならよかったよ。万能薬草を渡せなくてすまないね。」
「いいえ。俺の方でなんとかしてみます。」
アークドラゴンに相談して、薬の内容と対処方がおぼろげながら見えてきた。まだ治療の目途までは立っていないが、一歩前に進む事ができたラッキー達は、フランダル魔法国へと戻るのだった。
「はい。一度服用すればそれ以降は徐々に魔法が使えなくなり、最後には全く魔法が使えなくなると報告を受けてます。」
「うむ。量産はどうだ?」
「現在、取り組み中です。」
「すぐにはできぬか?」
「申し訳ありません。材料の確保に手間取っておりまして・・・」
「そうじゃな。こればかりはすぐにどうする事も出来ぬか・・・」
「はい。」
「町の様子はどうじゃ?」
「はい。何名かは捕まったようです。が、問題はありません。」
「うむ。ここで魔法が使えぬという事態は、我らグレイ教団がこの国を支配するのに都合が良い。今後も頼むぞ。」
「はっ!全ては我らグレイ教団の為に!」
モートルの町の南に、レッドブルー魔法研究所がある。その地下2階で2人の男達は話合っていた。表向きは様々な魔法を研究する施設で、その裏では、魔法が使えなくなる魔法薬を開発している施設だった。
地下で活動している組織はグレイ魔法教団といい、目的はフランダル魔法国の支配だ。魔法を使えない薬を作り、それを使用する事でこの国の魅力を操ろうとしていた。すでに効果は実証済みで仮に自分達に使用されたとしても治療薬も開発済みだった。
「数の量産が難しいとすると、どこに使うのが効果的か・・・王城の者達に使うのが良いか、それとも魔法学園か、それとも・・・」
☆☆☆
「で、どうするのラッキー?怪しいっていう施設に向かう?」
「そうだな。レッドブルー魔法研究所は魔法学園の中でも出てくるほど有名な研究所だ。調べてみる価値はあるな。」
「魔法が使えなくなった人と会って話を聞くのもいいかもしれませんね。」
「そうだな・・・」
(俺達が今できる事と言えばシルフィーとマリアが言う2つしかないな。研究所にシルフィーとマリアを連れて行くのは危険か?いやでも表向きは有名な魔法研究所だ。見学するぐらいなら怪しまれる事はないか。)
「とりあえず、魔法学校の留学生として見学を申し込んでみよう。何かわかるかもしれない。」
「「わかったわ。」」
『俺も行くんだぞーー』
「ああ。でもリルは大人しくしといてくれよ。」
『わかってるんだぞー。』
(行く前にできるだけ準備しておいた方がいいか。俺の特技は転移魔法だもんな。)
「シルフィー、マリア、リル、レッドブルー魔法研究所に行く前にアークドラゴン様に会いに行こうと思う。アークドラゴン様なら何か知ってるかもしれないし、あそこの万能薬草なら、もしかしたら魔法が使えなくなった人を治せるかもしれない。それに治せるなら俺達が魔法を使えなくなった時の治療薬になるかもしれない。」
「たしかに・・・ラッキーの言う通りね。ラッキーの転移魔法があれば行くのはすぐだし名案だわ。」
『おーー。アークおばちゃんに俺も会いたいんだぞー。』
グレイ魔法教団を脅威に思い、安全策の為、ラッキー達はすぐにレッドブルー魔法研究所には向かわずに、霊峰オーディールへ転移した。
そして・・・
『アークおばちゃん久しぶりなんだぞーー。』
「アークドラゴン様お久しぶりです。今日はちょっと相談がありまして来ました。」
「あらあらリル坊やにラッキー達じゃないか。どうしたんだい?」
「実は・・・」
ラッキーはアークドラゴンに、フランダル魔法国で受けた依頼の内容を伝えた。
「なるほど。そういう事ね。たしかにここにある万能薬草ならその魔法が使えないって状態を治す事ができるかもしれない。だけどそれはあくまで可能性だ。どういった状態なのかわからなければ治しようがないからね。それに・・・」
「それに?」
「この前ラッキー達に万能薬草をあげただろ?あれはこの霊峰を維持していくにも必要だからどうぞどうぞと渡せるもんじゃないんだよ。一つぐらいなら持って行ってもかまわないけどね。」
「一つ・・・」
(なら魔法が使えなくなった人には使えない・・・か。それで治るのがわかったとしてもそれしかないんじゃ意味がない。もし俺達の誰かが使えなくなった時用に持っておくのが正解か。)
「アークドラゴン様は魔法が使えなくなる状態に心当たりはありますか?」
「そうだね。単純に魔法が使えなくなるって事は魔力が無い状態になってるか。魔法を使う為の回路が狂わされているかのどっちかだろうね。」
「それはどうにか治す事ができたりするんでしょうか?」
「どうだろうね~。魔力が無い状態がずっと続くって事は体内の魔力が外に垂れ流しになってるんだろうからそれを止めればなんとかなるだろうけど、どうやればいいかは検討つかないね。回路が狂わされているだけなら、誰かが回路を整えてあげれば魔法が使えるようになるだろうけど・・・」
(なるほど。ならきっとグレイ魔法教団の薬っていうのは魔力がなくなる薬の可能性が高いな。知らない内に魔力が減っていってるって事か・・・回復する量よりも減っていく量が多いって感じか・・・。なら!?いやもしかして魔力回復薬を飲んですぐに魔法を使ってみれば薬の効果が証明できるんじゃ・・・)
「アークドラゴン様。ありがとうございます。相談に来てよかったです。」
「ああ。何かわかったんならよかったよ。万能薬草を渡せなくてすまないね。」
「いいえ。俺の方でなんとかしてみます。」
アークドラゴンに相談して、薬の内容と対処方がおぼろげながら見えてきた。まだ治療の目途までは立っていないが、一歩前に進む事ができたラッキー達は、フランダル魔法国へと戻るのだった。
3
お気に入りに追加
1,271
あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる