ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー

文字の大きさ
上 下
103 / 178
第2章 ゼンパンの素質とシークレットガチャスキル

第103話 敗北の後・・・

しおりを挟む
「ほらほらお兄様!!次はこっちに行きましょう。」

「待ってくれよ。」

王国武道会に参加したラッキーは1回戦で剣聖のメルトと、2回戦でギルドのライアン教官と戦った。1回戦は勝つことができたが、2回戦でライアン教官に負けてしまった。

ラッキーにとっての王国武道会が終わったので、約束していたスイートとの買い物を楽しんでいた。
もちろん、午前中は王国武道会の3回戦を観戦した。ラッキーに勝ったライアン教官は見事3回戦も突破し、ベスト4になっている。

明日の準決勝、一日休息日を設けての決勝と、王国武道会が終わるまではゆっくりする予定にしたいた。

「シルフィーお姉様もマリアお姉様も早く早く。」

『ラッキー早く来るんだぞー。』

スイートは服屋に入って、色々と試着し始めた。

「お兄様これなんかどうですか?」

「いいと思うよ。」

「こっちはどうですか?」

「いいと思うよ。」

「この服も捨てがたいですね。」

「いいと思うよ。」

「もう!お兄様さっきからいいと思うよ。しか言ってません。本当に私の事を見てくれてるんですか?」

(だって、ある服ある服、試着しては感想求めてくるんだもん。そりゃ適当にもなるだろ・・・。)

「ラッキー。女性が感想を求めたらちゃんと答えなきゃダメよ。」

「そうですよラッキー様。ちゃんとスイートちゃんの事を見てあげないと。」

『そうだぞー。スイートとシルフィーとマリアの言う通りだぞー。』

スイートを始め、シルフィー、マリアもよくリルに食べ物を買い与えているため、3人の意見にはすぐに従うリルだった。

「ごめんごめん。ちゃんと感想言うから。」

「もう!じゃあお兄様、この黒い服と、水色のこっちの服ならどちらが似合うと思いますか?」

「そうだな・・・黒の方がシンプルだけど、俺としては水色の方がいいかな。明るい色の方がスイートには似合いそうだ。」

「本当ですか!?私も水色の方がいいと思っていたんです。じゃあこれにします。」

その後、シルフィーとマリアも1着ずつ気に入った服を購入した。

(ふーやっと終わった。やっぱり女性と服屋にくるのは疲れるな。これなら訓練所で素振りしてた方がよかった・・・)

「じゃあ帰ろうか。」

「待ってください。まだです。私の服は決まりましたけど、お兄様の服がまだ決まっていません。」

「いや・・・俺は。」

「ダメです。私が選んであげます。お兄様はそこで待っていてください。」

(帰れると思ったのに・・・。長い・・・。)

スイートが持ってくる服を着替えてはあーでもない。着替えてはこーでもない。とひたすら着せ替え人形となるラッキー。服屋を出たのは、帰れると思ってから2時間後の事だった。

「スイートちゃん。ごめんなさい。私達の服まで買ってもらって。」

「マリアお姉様気にしないでください。お父様からもお礼をちゃんとするように言われていますから。」

妹の服ぐらいラッキーがお金を払うつもりでいたが、公爵家が利用する服屋の料金はDランク冒険者であるラッキーにとって手が出る金額ではなかった。

「すまないなスイート・・・。」

「お兄様も気にしなくて大丈夫です。貴族の服が高いのはしょうがない事ですから。」

(兄としてこれはちょっとカッコ悪いよな。どうしよっか・・・)

服は公爵家に届けてもらう事にして、王都の街中を歩いていた。

「見てくださいお兄様、いろんなお店が並んでます。見ていきましょう。」

そこは、本選前にシルフィー達と見に来た、屋台が並んでる通りだった。

『ラッキー。おいしいにおいがいっぱいなんだぞ。』

スイートとリルは屋台に向かって走って行った。

「スイートちゃん。ラッキー様と一緒に買い物できるのが相当うれしいのね。」

「まあ今まで色々我慢してたんだろ。」

ラッキー、シルフィー、マリアもそんなスイートの様子を眺め後について行く。

(おっ!これなんか良さそうだな。値段も手頃だし。)

「おじさん。これ下さい。」

ラッキーは先ほどスイートが買った、水色のワンピースに似合うであろう花柄の白のブローチを見つけたので、スイートの為に購入した。

「スイート。これ。高いモノじゃなくて申し訳ないんだけど・・・」

「!?ありがとうございます。綺麗・・・大切にします。」

屋台が並ぶ通りで、買い食いしたり、手作りのアクセサリーを見たり、曲芸を見たりと兄妹の時間を大いに楽しんだ。





「クソッ!どうして俺が辺境に行かないといけないんだ!」

武道会の初戦でラッキーに負けたメルトは屋敷で軟禁された後、辺境の地で剣聖として腕を磨けと公爵から言われていた。

「ラッキーはきっと何か卑怯な手を使ったに違いない。そうでなければ俺がラッキーなんかに・・・」

メルトはブツブツ言いながら王都を歩いていた。

「あれは!?ラッキー・・・それに・・・」

メルトは、談笑しているラッキーがいるのを発見した。

「マリアにスイートも・・・。そうか俺を陥れる為にみんなで組んでいやがったのか。クソッ!調子に乗りやがって。」

「もしかして貴方様は剣聖様ではありませんか?」

後ろから声を掛けられメルトは振り向いた。するとそこには全身ローブで身を隠した怪しげな女性?がいた。

「俺が剣聖で間違いないが、何だ?」

「いえいえ、街を歩いていたら剣聖様がいたのを見かけましたので、声をかけた次第でございます。それにしてもこの度は残念でございました。対戦相手が卑怯な手を使ってなければ当然剣聖様が勝っていたでしょうに。」

「何!?やっぱりか!?」

「やはり剣聖様も気づいてらっしゃいましたか?」

「あっ、ああ。もちろんだ。でないと俺が負ける訳ないからな。」

「卑怯な手をつかって剣聖様に勝った者をゆるしておいてよろしいんですか?私なら剣聖様の力になれますよ。」

そう言って、黒いローズをまとった女性は手に小さな真っ赤な種を差し出した。

「これは?」

「剣聖様の対戦相手はこれを使って能力を上げていたのです。聞いた事ありませんか?英雄の種というアイテムを。」

「噂には聞いた事がある。そうか・・・ラッキーはこれを使って・・・」

「剣聖様にこれを差し上げます。王国の決勝戦の場でこれを使って、対戦相手の不正を正すのはどうでしょう?大注目の決勝ですし、対戦相手もきっと観戦してるでしょう。大勢の場で剣聖様の力を見せつけるのです。そうすれば剣聖様の名声は元通りになるはずです。」

「・・・そうだな・・・」

メルトは今も笑いながら楽しそうにしてるラッキー達を見て、心を決めて女性から英雄の種?を受け取った。

「ラッキー。不正してまで俺に勝ちたかったか・・・。今はそうやって楽しんでおけ。決勝の地でお前の不正は俺が言及してやる。マリア・・・お前もだ。ふははは決勝の日が楽しみになってきたぞ。」

メルトはイライラしていた気持ちも忘れ、意気揚々と公爵家へと帰っていった。そしてそれを見る黒いローブの女性はにや~っとうすら笑いを浮かべていた。

メルトは知らなかった。英雄の種が赤い種ではなく、黒い種だと言う事を・・・





そして、王国武道会の決勝戦の日それは起こるのだった・・・

☆☆☆☆☆

いつも読んでいただきありがとうございます。

ブログで先行的に新作発表しました。
『勇者に魔王を倒させろ!?チートはないけどリスク&リターンでやってやるぜ!』https://sususu123.net/category/brave/
今はストックを貯めています。是非是非~。

評価もよろしくお願いします。すごいやる気が出るので!!
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...