75 / 178
第2章 ゼンパンの素質とシークレットガチャスキル
第75話 一方その頃神界では・・・
しおりを挟む
「ひどい・・・。」
「ミラ?今日はラッキーを見てないの?」
「王都を見てた。」
「ラッキーの為に?」
「うん。」
「そっか。で?何が酷いの?」
「姉さんも見たらわかる。」
ミラに言われてマイは王都を見た。
「その程度か。わざわざ父上が依頼したって言うから期待したけど、期待ハズレもいいとこだ。ほらっ。立てよ!それじゃ僕の訓練にならないだろ!」
「もう動けません。メルト様。」
「まだまだいけるだろ。ほらっ!立て!」
メルトは足元に蹲るボロボロの冒険者を蹴り飛ばした。
王都のストライク公爵家では、メルトが模擬戦をしていた。それも一方的に相手をボコボコにしていた。それは、模擬戦と言うよりもただの憂さ晴らし。弱い者いじめをしているようにしか見えなかった。
「強い・・・の?」
「相手が弱いだけ。今の人で3人目。」
「どう言う事?」
公爵家の執務室では、ストライク公爵が隠れてメルトの模擬戦を見ていた。
「旦那様?よろしいのですか?あのような事をして?」
「ああ。引き受けてくれた冒険者には気の毒だがしょうがない。今はアイツを気分良くさせて剣術の腕を上げるしかないからな。剣聖の素質だ。剣を使えば使う程良くなるはずだ。」
「王国武道会の為ですか?」
「そうだ。剣聖のお披露目とアピールには絶好の場だからな。メルトは今のままで問題無いと言ってるが、あんなだらし無い身体でブザマな姿を晒して見ろ。何言われるかわからん。」
「それは・・・。」
「ジョシュア。わかってるさ。俺にもメルトの噂は耳に入ってる。だがもう遅い。あの時こうしていればのたらればを言っても意味ないからな。」
「旦那様・・・。」
「模擬戦の相手をしてくれた冒険者達には治療費と多めの報酬を頼む。せっかく依頼を受けてくれたんだ。フォローはしっかり頼むぞ。」
「かしこまりました。」
「俺も公爵家として、過去に何度も失敗している。だが、振り返っても居られない。今できる事をやるしかないんだ。ジョシュアよ。これからも頼んだぞ。」
執事のジョシュアが執務室から出て行くと
「ラッキー・・・。」
養子に迎えたメルトを見ながらストライク公爵は呟いた。
そして、その様子を眺めるミラとマイ。
「なるほどね。ラッキーの父親も後悔してるわけね。」
「うん。」
「でもラッキーにとっては良い事とは、言えないかもね。メルトに力をつけられると困るもの。」
「でも・・・。ラッキーさん。公爵家に戻れるかも?」
「どうかしら?貴族ってめんどくさいからね。公爵が何考えてるかわからないけど、メルトよりもラッキーが有能だと分かれば・・・可能性としてはあるだろうけど・・・。」
「ラッキーさん、今すごく頑張ってる。」
「そうね。パッと見る限りメルトよりステータスは高いから、今のメルトには負けないでしょう。それに、良いところまで行くと思うわ。」
「優勝する。」
「それは正直まだ厳しいわね。同年代だけだったら優勝もありえると思うけど、前回優勝者の王国の騎士団長とか、準優勝者の冒険者を見たけど、さすがに強いわね。レベルが違うわ。」
「勝てない?」
「今は無理ね。ラッキーの成長が早いのは知ってるけど、5ヶ月じゃ時間が足りないわ。魔法も使って勝負すれば、良い勝負をするかもしれないけどね。」
「なら大丈夫。ラッキーさんはもうすぐ魔法を覚える・・・はず。」
「まあラッキーなら、その内魔法の素質を手に入れるでしょうけど。そう上手く行くかどうか・・・。」
「大丈夫。もうすぐシークレットガチャスキルが使えるはずだから。」
「シークレットガチャスキル?」
「うん。ゼンパンの素質の事、私も理解してきた。」
そうして、ミラはゼンパンの素質で理解した事や、シークレットガチャスキルについてマイに説明した。
「それならラッキーは近いうちに魔法の素質を手に入れそうね。なるほど。今までモンスターガチャスキルから同じ素質ばかり出るから気になってたんだけどそう言う事だったのね。」
「うん。」
「ラッキーにとって、かなり良い方向に進んでるわね。王国武道会で公爵がいくら動いてもラッキーの運の良さがあればなんとかなりそうな気がするわ。」
「うん。ラッキーさんはまだまだ強くなる。」
(ラッキーの運の良さはヤバいわね。だけど、それによってこの世界が良い方向に進むならそれは願ってもない事だわ。心配事もあったけど、ミラとラッキーなら案外なんとかするかもね。)
「そうね。王国武道会まであと5ヶ月か。今は中級ダンジョンがある所に移動してるみたいだから、武道会までにまだまだ強くなるはずよ。見てて飽きないし見守る価値があるわね。」
「うん。見守るしかできないけど・・・。」
(見守るって言っても王都を見たり、ラッキーをどうにか助けられないか考えてるのね。何かあった時に神託でラッキーに伝えれるように父さんにお願いしておこうかしら。何度も神託を使うとマズいけど、ラッキーの将来性を考えると無理してでも力を使った方がいいかもしれないわ。)
「大丈夫よ。ミラが見守っていればラッキーはきっとうまく行くわ。私達はそっと見守りましょ。」
そう言って、ミラとマイは中級ダンジョン『アクア』に入るラッキー達を見守るのだった。
「ミラ?今日はラッキーを見てないの?」
「王都を見てた。」
「ラッキーの為に?」
「うん。」
「そっか。で?何が酷いの?」
「姉さんも見たらわかる。」
ミラに言われてマイは王都を見た。
「その程度か。わざわざ父上が依頼したって言うから期待したけど、期待ハズレもいいとこだ。ほらっ。立てよ!それじゃ僕の訓練にならないだろ!」
「もう動けません。メルト様。」
「まだまだいけるだろ。ほらっ!立て!」
メルトは足元に蹲るボロボロの冒険者を蹴り飛ばした。
王都のストライク公爵家では、メルトが模擬戦をしていた。それも一方的に相手をボコボコにしていた。それは、模擬戦と言うよりもただの憂さ晴らし。弱い者いじめをしているようにしか見えなかった。
「強い・・・の?」
「相手が弱いだけ。今の人で3人目。」
「どう言う事?」
公爵家の執務室では、ストライク公爵が隠れてメルトの模擬戦を見ていた。
「旦那様?よろしいのですか?あのような事をして?」
「ああ。引き受けてくれた冒険者には気の毒だがしょうがない。今はアイツを気分良くさせて剣術の腕を上げるしかないからな。剣聖の素質だ。剣を使えば使う程良くなるはずだ。」
「王国武道会の為ですか?」
「そうだ。剣聖のお披露目とアピールには絶好の場だからな。メルトは今のままで問題無いと言ってるが、あんなだらし無い身体でブザマな姿を晒して見ろ。何言われるかわからん。」
「それは・・・。」
「ジョシュア。わかってるさ。俺にもメルトの噂は耳に入ってる。だがもう遅い。あの時こうしていればのたらればを言っても意味ないからな。」
「旦那様・・・。」
「模擬戦の相手をしてくれた冒険者達には治療費と多めの報酬を頼む。せっかく依頼を受けてくれたんだ。フォローはしっかり頼むぞ。」
「かしこまりました。」
「俺も公爵家として、過去に何度も失敗している。だが、振り返っても居られない。今できる事をやるしかないんだ。ジョシュアよ。これからも頼んだぞ。」
執事のジョシュアが執務室から出て行くと
「ラッキー・・・。」
養子に迎えたメルトを見ながらストライク公爵は呟いた。
そして、その様子を眺めるミラとマイ。
「なるほどね。ラッキーの父親も後悔してるわけね。」
「うん。」
「でもラッキーにとっては良い事とは、言えないかもね。メルトに力をつけられると困るもの。」
「でも・・・。ラッキーさん。公爵家に戻れるかも?」
「どうかしら?貴族ってめんどくさいからね。公爵が何考えてるかわからないけど、メルトよりもラッキーが有能だと分かれば・・・可能性としてはあるだろうけど・・・。」
「ラッキーさん、今すごく頑張ってる。」
「そうね。パッと見る限りメルトよりステータスは高いから、今のメルトには負けないでしょう。それに、良いところまで行くと思うわ。」
「優勝する。」
「それは正直まだ厳しいわね。同年代だけだったら優勝もありえると思うけど、前回優勝者の王国の騎士団長とか、準優勝者の冒険者を見たけど、さすがに強いわね。レベルが違うわ。」
「勝てない?」
「今は無理ね。ラッキーの成長が早いのは知ってるけど、5ヶ月じゃ時間が足りないわ。魔法も使って勝負すれば、良い勝負をするかもしれないけどね。」
「なら大丈夫。ラッキーさんはもうすぐ魔法を覚える・・・はず。」
「まあラッキーなら、その内魔法の素質を手に入れるでしょうけど。そう上手く行くかどうか・・・。」
「大丈夫。もうすぐシークレットガチャスキルが使えるはずだから。」
「シークレットガチャスキル?」
「うん。ゼンパンの素質の事、私も理解してきた。」
そうして、ミラはゼンパンの素質で理解した事や、シークレットガチャスキルについてマイに説明した。
「それならラッキーは近いうちに魔法の素質を手に入れそうね。なるほど。今までモンスターガチャスキルから同じ素質ばかり出るから気になってたんだけどそう言う事だったのね。」
「うん。」
「ラッキーにとって、かなり良い方向に進んでるわね。王国武道会で公爵がいくら動いてもラッキーの運の良さがあればなんとかなりそうな気がするわ。」
「うん。ラッキーさんはまだまだ強くなる。」
(ラッキーの運の良さはヤバいわね。だけど、それによってこの世界が良い方向に進むならそれは願ってもない事だわ。心配事もあったけど、ミラとラッキーなら案外なんとかするかもね。)
「そうね。王国武道会まであと5ヶ月か。今は中級ダンジョンがある所に移動してるみたいだから、武道会までにまだまだ強くなるはずよ。見てて飽きないし見守る価値があるわね。」
「うん。見守るしかできないけど・・・。」
(見守るって言っても王都を見たり、ラッキーをどうにか助けられないか考えてるのね。何かあった時に神託でラッキーに伝えれるように父さんにお願いしておこうかしら。何度も神託を使うとマズいけど、ラッキーの将来性を考えると無理してでも力を使った方がいいかもしれないわ。)
「大丈夫よ。ミラが見守っていればラッキーはきっとうまく行くわ。私達はそっと見守りましょ。」
そう言って、ミラとマイは中級ダンジョン『アクア』に入るラッキー達を見守るのだった。
5
お気に入りに追加
1,271
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる