ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー

文字の大きさ
上 下
65 / 178
第2章 ゼンパンの素質とシークレットガチャスキル

第65話 マリア・フロンダール

しおりを挟む
マリア・フロンダールはフロンダール領の領都にある自宅で部屋に閉じこもっていた。

「は~・・・。閉じこもっていても解決しないのはわかっているけど、どうすればいいんでしょうか。」

マリアは今まで順風満帆な人生を歩んできた。下級貴族の子爵家のフロンダール家と上級貴族の公爵家、ストライク家との婚約、しかもラッキーとは友人関係だった。

そして、天職の儀で激レアの聖女の素質を授かった。婚約者のラッキーも今までにない素質を授かってマリアの人生は今後も幸せな人生を歩んでいくはずだった。

マリアの人生は、ラッキーが追放されてから大きく変わった。

ラッキーが追放された事で、婚約は破棄。いや正確に言えば婚約者がラッキー、新しく公爵家の養子になったメルトに変わった。

メルトの見た目や雰囲気、言動を聞いていたマリアは、いやいやではあったが、子爵家の為に、マリアはこの婚約を受ける予定でいた。

ただ、すぐには決心がつかなかったので、聖女の勉強の為、マリアは日々教会で過ごして婚約者問題を先送りにしていた。

教会での生活はとても楽しく、能力も徐々に上昇していき、治癒魔法も覚えてと、忙しく過ごす事で嫌な事は忘れていたのだが、

なかなか婚約の事が進まない事にイライラしたメルトが教会に乗り込んできた。

聖女としての務めがあるからと帰ってもらうように伝えたが、メルトは言う事をきかず、無理矢理マリアを連れ去ろうとした。

しかも、どさくさに紛れて胸を触ったりお尻を触ったりしてきた。それに耐えられなかったマリアはメルトを突き飛ばし、

「あなたと婚約するつもりはありません!」

ときっぱり言い放った。

言ってしまった・・・と思ったが、何度考えてもメルトと婚約、結婚は無理だと思ったマリアは、その場を逃げ出した。

教会には戻れないと思ったマリアは、そのまま王都を出て、自分の家がある領都フロンダールに向かい、そして今に至っている。

「お父様には迷惑を掛けてるのはわかってる。でも、やっぱりメルト様は無理だわ。何回考え直しても鳥肌がたつぐらい気持ち悪いもの・・・」

フロンダールに戻ったマリアは部屋に閉じこもってしまった。マリアの父親であるユリウスは話しを聞いて頭を痛めたが、マリアの状況も理解できる為、どうすれば良いか日々悩んでいた。

マリアの父親は、ストライク公爵からも今回の件を言われており、マリアが体調を崩した為、部屋で療養していると伝えていた。もちろん、いつまでもそんな言い訳が通用しない事はフロンダール子爵もストライク公爵もわかっていた。

「は~。シルフィーに手紙を送ったけど失敗したわね。とにかくこの事を誰かに話したくて手紙を書いたけどあれじゃ心配してるよね・・・。」

マリアは誰かにこの事を伝える事で、気持ちを整理しようと思い、仲の良いシルフィーへ手紙を送っていた。

詳細を詳しく書いた訳ではないが、王都にいたけど、困った事が起きてフロンダールに戻っている。今は何も手につかない程病んでいる。助けてほしい。と・・・

手紙を書いてる時は、何も思わなかったが出した後で、シルフィーに迷惑をかけてしまうと思い、後悔していた。

「ラッキー様・・・。今どこにいるのでしょうか?いつもみたいに、話しを聞いてくれればこんな悩みも解決するのに・・・。会いたいな。」

マリアはラッキーの事を考えていた。マリアとラッキーの出会いはお互いが10歳の頃になる。親が社交界に参加している所で、マリアはラッキーに出会った。初めて社交界に参加したマリアはどうすればいいか父親に引っ付いてオロオロしていた。

ラッキーは公爵家の嫡男という事で周りには人が溢れていた。父親からは、公爵家と仲良くなる為に積極的に声を掛けろ。と言われていたが、緊張して話かける事ができなかった。

そして、一人でいる所に声を掛けてくれたのがラッキーだった。マリアは今でもその時の事を覚えていた。貴族の子供から絡まれていた所を助けてくれたのだ。

「あの時はどうしよどうしよって思ってた時にラッキー様が初めて声を掛けてくれたんだっけ。うれしかったな~・・・。あれから私が困った時は、いつでも助けてくれる優しくてかっこいい人・・・。もう会えないのかな・・・。」

そんな事を呟きながら、ふと部屋の窓から外を眺めると、門を抜けて入ってくる二人組が見えた。

「えっ!?」

マリアは目を擦り、見えているのが幻じゃないと思い、

「シルフィーと・・・ラッキー様!?でも、どうして!?」

手紙を送った友人と共に現れたのは、会いたいと願っていたラッキーだった。

「ラッキー様。ラッキー様。ラッキー様。」

ラッキーのいきなりの出現に頭が混乱するマリアだが、いてもたってもいられなくなり、身だしなみを整えるのも忘れて、ドアをバタンと開けて玄関へと急いで向かうのだった。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

処理中です...