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第1章 ゼンパンの素質とデイリーガチャスキル
第61話 原初の森の主!
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原初の森、それはリスボンの街の更に奥に広がる人類未踏の地である。そこに生息する魔物は全てが規格外だった。
例えばゴブリン。ゴブリンと言えば草原にも出現する初心者でも狩る事ができる有名な魔物だ。だが、原初の森に出てくるゴブリンは、まず体長がゴブリンの2倍程あり、能力も5倍程強くなっている。
これは、原初の森が魔素に満ちており、生息する魔物がその魔素を取り込んでいるからだと言われている。なので、原初の森は奥にいけば行くほど魔物も強くなっていく。
冒険者ランクで言えばCランク以下が原初の森に入れば、立ちどころに命を失うだろう。Aランクの冒険者であっても森の奧まで進む事はできない。
現状できる事は定期的に森の外周の魔物を狩って、外に出てこない様にする事だけだった。
そんな原初の森にいる主のフェンリルは冒険者の中で有名な存在だった。
「大きな銀色の狼が一瞬で魔物を倒すのを目撃した。」
「フェンリルを見た。もう死んだ!と思ったがフェンリルはすぐに遠くに消えていった。」
など、目撃情報はそれなりにあったからだ。
ラッキーの目の前には、そのフェンリルの子供が居て、しかも母ちゃんと叫んでいた。
それを聞いてラッキーは一瞬で理解し、そして絶望した。浮かんでくるのは死だ。
(やばいやばいやばい。母ちゃんって原初の森の主だよな・・・もしかして俺がリルを無理やり連れ出したとかって思ってるんじゃ?調子に乗ってテイムしたけど失敗だ。どうする?どうする?)
ラッキーの顔色がみるみる悪くなっていく。それを見たシルフィーは、
「どうしたのラッキー?顔色が悪いわよ?」
(シルフィーはリルが何言ってるかわからないからいいよな。リルの言葉がわかって、やった!と思ったけど、知らない方がよかった・・・)
「いや・・・リルが・・・」
『本当だぞ。ラッキーどうしたんだ?顔色悪いぞ?』
「リル。今母ちゃんって・・・」
『そうだぞ。今母ちゃんから念話が来たんだぞ。さっきまでは繋がらなかったのに、ラッキーがあそこから出してくれたから、念話が繋がるようになったんだぞ。』
リルは念話で話し始めた。念話なので、ラッキーには内容はわからない。
「ラッキー?今リルの母ちゃんって・・・」
「ああ。リルに母親から念話があったらしい。」
「母親って事は原初の森の主よね?」
「ああ。」
「大丈夫よね?私達フェンリルに殺されたりしないわよね。」
「多分大丈夫だと思う・・・。別に何かした訳じゃないし。」
(大丈夫だよな?リル・・・ちゃんと説明してくれよ。)
ラッキーとシルフィーはリルの念話が終わるのを、心配そうに眺めていた。
一方・・・リルの方はと言うと、
『坊や。誰かいるのかい?』
『うん。ラッキーとシルフィーと一緒なんだぞ。』
『誰だい?さっきまで念話が通じなかったから心配してたんだよ。急にいなくなったから何かあったと思って探してたんだよ。』
『そうなんだぞ。俺もいつのまにか知らない場所にいたんだけど、ラッキーとシルフィーが助けてくれたんだぞ。今はラッキーとシルフィーと街にいるぞ?』
『そうみたいだね。大丈夫そうで安心したよ。いつ戻ってくるんだい?』
『母ちゃん。俺ラッキーにテイムされたんだ。すぐに戻れるけど、ラッキーと一緒に色々冒険したいんだぞ。』
『おや。テイムを受け入れたのかい?』
『おう。ラッキーは肉もくれたし良い奴だぞ。』
(ラッキー・・・たしかミラ様が素質を与えた人の名前もラッキーだったわね。ようやくミラ様が人間に素質を与えたから気になってたけど偶然なのか。いやでもミラ様の素質はテイマーではなかったはず。別人か・・・。坊やも信用してるみたいだから任せても大丈夫かしら?)
『わかったよ。しばらくしたら戻ってくるんだよ?それとアタシもラッキーとシルフィーに興味がある。いつでもいいから、一度原初の森に来るように言っといてくれるかい?』
『わかったんだぞー。母ちゃんありがとうなんだぞ。』
『原初の森以外を見るのも大事な事だからね。』
『それと俺はリルってよばれてるんだぞ。母ちゃんも今度からリルって呼んでほしいんだぞ。』
『ああテイムの時に名づけしてもらったんだね。』
(懐かしいものね。リルか・・・。多分フェンリルからとったんだと思うけど、私のフェンと似ているわね。は~・・・久しぶりにミラ様に会いたいものだね。)
『そうだぞー。』
『わかったよ。リル坊。何かあったら念話を送ってきな。』
『わかったぞ。』
念話が終わったのかリルがラッキーの元に駆け寄った。
『ラッキー。待たせたんだぞ。母ちゃんにラッキーと一緒にいていいって言われたんだぞ。』
「ラッキー。なんて言ってるの?」
「ああ。リルが俺達と一緒に居ていいってリルの母親が言ったらしい。」
「それって?」
「ああ。リルと一緒に冒険できるって事だな。」
「やったわねラッキー。」
(よかった。フェンリルに殺される可能性も考えたからな。)
『それと、母ちゃんが一度会いに来いって言ってたんだぞ。』
「えっ!?・・・まじで?」
『いつでもいいとは言ってたんだぞ。』
「そっ、そうか・・・ならもっと強くなってからだな。」
(よかった。すぐ来いって言われたら、母親に会う前に、森に入った瞬間殺されるだろうからな。)
原初の森の主、フェンリルから許可を得た事で、リルがラッキーの仲間になった。
ラッキー、シルフィー、リルは改めて、ダンジョン攻略の報告を行う為、ギルドに向かうのだった。
例えばゴブリン。ゴブリンと言えば草原にも出現する初心者でも狩る事ができる有名な魔物だ。だが、原初の森に出てくるゴブリンは、まず体長がゴブリンの2倍程あり、能力も5倍程強くなっている。
これは、原初の森が魔素に満ちており、生息する魔物がその魔素を取り込んでいるからだと言われている。なので、原初の森は奥にいけば行くほど魔物も強くなっていく。
冒険者ランクで言えばCランク以下が原初の森に入れば、立ちどころに命を失うだろう。Aランクの冒険者であっても森の奧まで進む事はできない。
現状できる事は定期的に森の外周の魔物を狩って、外に出てこない様にする事だけだった。
そんな原初の森にいる主のフェンリルは冒険者の中で有名な存在だった。
「大きな銀色の狼が一瞬で魔物を倒すのを目撃した。」
「フェンリルを見た。もう死んだ!と思ったがフェンリルはすぐに遠くに消えていった。」
など、目撃情報はそれなりにあったからだ。
ラッキーの目の前には、そのフェンリルの子供が居て、しかも母ちゃんと叫んでいた。
それを聞いてラッキーは一瞬で理解し、そして絶望した。浮かんでくるのは死だ。
(やばいやばいやばい。母ちゃんって原初の森の主だよな・・・もしかして俺がリルを無理やり連れ出したとかって思ってるんじゃ?調子に乗ってテイムしたけど失敗だ。どうする?どうする?)
ラッキーの顔色がみるみる悪くなっていく。それを見たシルフィーは、
「どうしたのラッキー?顔色が悪いわよ?」
(シルフィーはリルが何言ってるかわからないからいいよな。リルの言葉がわかって、やった!と思ったけど、知らない方がよかった・・・)
「いや・・・リルが・・・」
『本当だぞ。ラッキーどうしたんだ?顔色悪いぞ?』
「リル。今母ちゃんって・・・」
『そうだぞ。今母ちゃんから念話が来たんだぞ。さっきまでは繋がらなかったのに、ラッキーがあそこから出してくれたから、念話が繋がるようになったんだぞ。』
リルは念話で話し始めた。念話なので、ラッキーには内容はわからない。
「ラッキー?今リルの母ちゃんって・・・」
「ああ。リルに母親から念話があったらしい。」
「母親って事は原初の森の主よね?」
「ああ。」
「大丈夫よね?私達フェンリルに殺されたりしないわよね。」
「多分大丈夫だと思う・・・。別に何かした訳じゃないし。」
(大丈夫だよな?リル・・・ちゃんと説明してくれよ。)
ラッキーとシルフィーはリルの念話が終わるのを、心配そうに眺めていた。
一方・・・リルの方はと言うと、
『坊や。誰かいるのかい?』
『うん。ラッキーとシルフィーと一緒なんだぞ。』
『誰だい?さっきまで念話が通じなかったから心配してたんだよ。急にいなくなったから何かあったと思って探してたんだよ。』
『そうなんだぞ。俺もいつのまにか知らない場所にいたんだけど、ラッキーとシルフィーが助けてくれたんだぞ。今はラッキーとシルフィーと街にいるぞ?』
『そうみたいだね。大丈夫そうで安心したよ。いつ戻ってくるんだい?』
『母ちゃん。俺ラッキーにテイムされたんだ。すぐに戻れるけど、ラッキーと一緒に色々冒険したいんだぞ。』
『おや。テイムを受け入れたのかい?』
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(ラッキー・・・たしかミラ様が素質を与えた人の名前もラッキーだったわね。ようやくミラ様が人間に素質を与えたから気になってたけど偶然なのか。いやでもミラ様の素質はテイマーではなかったはず。別人か・・・。坊やも信用してるみたいだから任せても大丈夫かしら?)
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『そうだぞー。』
『わかったよ。リル坊。何かあったら念話を送ってきな。』
『わかったぞ。』
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(よかった。フェンリルに殺される可能性も考えたからな。)
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『いつでもいいとは言ってたんだぞ。』
「そっ、そうか・・・ならもっと強くなってからだな。」
(よかった。すぐ来いって言われたら、母親に会う前に、森に入った瞬間殺されるだろうからな。)
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