61 / 178
第1章 ゼンパンの素質とデイリーガチャスキル
第61話 原初の森の主!
しおりを挟む
原初の森、それはリスボンの街の更に奥に広がる人類未踏の地である。そこに生息する魔物は全てが規格外だった。
例えばゴブリン。ゴブリンと言えば草原にも出現する初心者でも狩る事ができる有名な魔物だ。だが、原初の森に出てくるゴブリンは、まず体長がゴブリンの2倍程あり、能力も5倍程強くなっている。
これは、原初の森が魔素に満ちており、生息する魔物がその魔素を取り込んでいるからだと言われている。なので、原初の森は奥にいけば行くほど魔物も強くなっていく。
冒険者ランクで言えばCランク以下が原初の森に入れば、立ちどころに命を失うだろう。Aランクの冒険者であっても森の奧まで進む事はできない。
現状できる事は定期的に森の外周の魔物を狩って、外に出てこない様にする事だけだった。
そんな原初の森にいる主のフェンリルは冒険者の中で有名な存在だった。
「大きな銀色の狼が一瞬で魔物を倒すのを目撃した。」
「フェンリルを見た。もう死んだ!と思ったがフェンリルはすぐに遠くに消えていった。」
など、目撃情報はそれなりにあったからだ。
ラッキーの目の前には、そのフェンリルの子供が居て、しかも母ちゃんと叫んでいた。
それを聞いてラッキーは一瞬で理解し、そして絶望した。浮かんでくるのは死だ。
(やばいやばいやばい。母ちゃんって原初の森の主だよな・・・もしかして俺がリルを無理やり連れ出したとかって思ってるんじゃ?調子に乗ってテイムしたけど失敗だ。どうする?どうする?)
ラッキーの顔色がみるみる悪くなっていく。それを見たシルフィーは、
「どうしたのラッキー?顔色が悪いわよ?」
(シルフィーはリルが何言ってるかわからないからいいよな。リルの言葉がわかって、やった!と思ったけど、知らない方がよかった・・・)
「いや・・・リルが・・・」
『本当だぞ。ラッキーどうしたんだ?顔色悪いぞ?』
「リル。今母ちゃんって・・・」
『そうだぞ。今母ちゃんから念話が来たんだぞ。さっきまでは繋がらなかったのに、ラッキーがあそこから出してくれたから、念話が繋がるようになったんだぞ。』
リルは念話で話し始めた。念話なので、ラッキーには内容はわからない。
「ラッキー?今リルの母ちゃんって・・・」
「ああ。リルに母親から念話があったらしい。」
「母親って事は原初の森の主よね?」
「ああ。」
「大丈夫よね?私達フェンリルに殺されたりしないわよね。」
「多分大丈夫だと思う・・・。別に何かした訳じゃないし。」
(大丈夫だよな?リル・・・ちゃんと説明してくれよ。)
ラッキーとシルフィーはリルの念話が終わるのを、心配そうに眺めていた。
一方・・・リルの方はと言うと、
『坊や。誰かいるのかい?』
『うん。ラッキーとシルフィーと一緒なんだぞ。』
『誰だい?さっきまで念話が通じなかったから心配してたんだよ。急にいなくなったから何かあったと思って探してたんだよ。』
『そうなんだぞ。俺もいつのまにか知らない場所にいたんだけど、ラッキーとシルフィーが助けてくれたんだぞ。今はラッキーとシルフィーと街にいるぞ?』
『そうみたいだね。大丈夫そうで安心したよ。いつ戻ってくるんだい?』
『母ちゃん。俺ラッキーにテイムされたんだ。すぐに戻れるけど、ラッキーと一緒に色々冒険したいんだぞ。』
『おや。テイムを受け入れたのかい?』
『おう。ラッキーは肉もくれたし良い奴だぞ。』
(ラッキー・・・たしかミラ様が素質を与えた人の名前もラッキーだったわね。ようやくミラ様が人間に素質を与えたから気になってたけど偶然なのか。いやでもミラ様の素質はテイマーではなかったはず。別人か・・・。坊やも信用してるみたいだから任せても大丈夫かしら?)
『わかったよ。しばらくしたら戻ってくるんだよ?それとアタシもラッキーとシルフィーに興味がある。いつでもいいから、一度原初の森に来るように言っといてくれるかい?』
『わかったんだぞー。母ちゃんありがとうなんだぞ。』
『原初の森以外を見るのも大事な事だからね。』
『それと俺はリルってよばれてるんだぞ。母ちゃんも今度からリルって呼んでほしいんだぞ。』
『ああテイムの時に名づけしてもらったんだね。』
(懐かしいものね。リルか・・・。多分フェンリルからとったんだと思うけど、私のフェンと似ているわね。は~・・・久しぶりにミラ様に会いたいものだね。)
『そうだぞー。』
『わかったよ。リル坊。何かあったら念話を送ってきな。』
『わかったぞ。』
念話が終わったのかリルがラッキーの元に駆け寄った。
『ラッキー。待たせたんだぞ。母ちゃんにラッキーと一緒にいていいって言われたんだぞ。』
「ラッキー。なんて言ってるの?」
「ああ。リルが俺達と一緒に居ていいってリルの母親が言ったらしい。」
「それって?」
「ああ。リルと一緒に冒険できるって事だな。」
「やったわねラッキー。」
(よかった。フェンリルに殺される可能性も考えたからな。)
『それと、母ちゃんが一度会いに来いって言ってたんだぞ。』
「えっ!?・・・まじで?」
『いつでもいいとは言ってたんだぞ。』
「そっ、そうか・・・ならもっと強くなってからだな。」
(よかった。すぐ来いって言われたら、母親に会う前に、森に入った瞬間殺されるだろうからな。)
原初の森の主、フェンリルから許可を得た事で、リルがラッキーの仲間になった。
ラッキー、シルフィー、リルは改めて、ダンジョン攻略の報告を行う為、ギルドに向かうのだった。
例えばゴブリン。ゴブリンと言えば草原にも出現する初心者でも狩る事ができる有名な魔物だ。だが、原初の森に出てくるゴブリンは、まず体長がゴブリンの2倍程あり、能力も5倍程強くなっている。
これは、原初の森が魔素に満ちており、生息する魔物がその魔素を取り込んでいるからだと言われている。なので、原初の森は奥にいけば行くほど魔物も強くなっていく。
冒険者ランクで言えばCランク以下が原初の森に入れば、立ちどころに命を失うだろう。Aランクの冒険者であっても森の奧まで進む事はできない。
現状できる事は定期的に森の外周の魔物を狩って、外に出てこない様にする事だけだった。
そんな原初の森にいる主のフェンリルは冒険者の中で有名な存在だった。
「大きな銀色の狼が一瞬で魔物を倒すのを目撃した。」
「フェンリルを見た。もう死んだ!と思ったがフェンリルはすぐに遠くに消えていった。」
など、目撃情報はそれなりにあったからだ。
ラッキーの目の前には、そのフェンリルの子供が居て、しかも母ちゃんと叫んでいた。
それを聞いてラッキーは一瞬で理解し、そして絶望した。浮かんでくるのは死だ。
(やばいやばいやばい。母ちゃんって原初の森の主だよな・・・もしかして俺がリルを無理やり連れ出したとかって思ってるんじゃ?調子に乗ってテイムしたけど失敗だ。どうする?どうする?)
ラッキーの顔色がみるみる悪くなっていく。それを見たシルフィーは、
「どうしたのラッキー?顔色が悪いわよ?」
(シルフィーはリルが何言ってるかわからないからいいよな。リルの言葉がわかって、やった!と思ったけど、知らない方がよかった・・・)
「いや・・・リルが・・・」
『本当だぞ。ラッキーどうしたんだ?顔色悪いぞ?』
「リル。今母ちゃんって・・・」
『そうだぞ。今母ちゃんから念話が来たんだぞ。さっきまでは繋がらなかったのに、ラッキーがあそこから出してくれたから、念話が繋がるようになったんだぞ。』
リルは念話で話し始めた。念話なので、ラッキーには内容はわからない。
「ラッキー?今リルの母ちゃんって・・・」
「ああ。リルに母親から念話があったらしい。」
「母親って事は原初の森の主よね?」
「ああ。」
「大丈夫よね?私達フェンリルに殺されたりしないわよね。」
「多分大丈夫だと思う・・・。別に何かした訳じゃないし。」
(大丈夫だよな?リル・・・ちゃんと説明してくれよ。)
ラッキーとシルフィーはリルの念話が終わるのを、心配そうに眺めていた。
一方・・・リルの方はと言うと、
『坊や。誰かいるのかい?』
『うん。ラッキーとシルフィーと一緒なんだぞ。』
『誰だい?さっきまで念話が通じなかったから心配してたんだよ。急にいなくなったから何かあったと思って探してたんだよ。』
『そうなんだぞ。俺もいつのまにか知らない場所にいたんだけど、ラッキーとシルフィーが助けてくれたんだぞ。今はラッキーとシルフィーと街にいるぞ?』
『そうみたいだね。大丈夫そうで安心したよ。いつ戻ってくるんだい?』
『母ちゃん。俺ラッキーにテイムされたんだ。すぐに戻れるけど、ラッキーと一緒に色々冒険したいんだぞ。』
『おや。テイムを受け入れたのかい?』
『おう。ラッキーは肉もくれたし良い奴だぞ。』
(ラッキー・・・たしかミラ様が素質を与えた人の名前もラッキーだったわね。ようやくミラ様が人間に素質を与えたから気になってたけど偶然なのか。いやでもミラ様の素質はテイマーではなかったはず。別人か・・・。坊やも信用してるみたいだから任せても大丈夫かしら?)
『わかったよ。しばらくしたら戻ってくるんだよ?それとアタシもラッキーとシルフィーに興味がある。いつでもいいから、一度原初の森に来るように言っといてくれるかい?』
『わかったんだぞー。母ちゃんありがとうなんだぞ。』
『原初の森以外を見るのも大事な事だからね。』
『それと俺はリルってよばれてるんだぞ。母ちゃんも今度からリルって呼んでほしいんだぞ。』
『ああテイムの時に名づけしてもらったんだね。』
(懐かしいものね。リルか・・・。多分フェンリルからとったんだと思うけど、私のフェンと似ているわね。は~・・・久しぶりにミラ様に会いたいものだね。)
『そうだぞー。』
『わかったよ。リル坊。何かあったら念話を送ってきな。』
『わかったぞ。』
念話が終わったのかリルがラッキーの元に駆け寄った。
『ラッキー。待たせたんだぞ。母ちゃんにラッキーと一緒にいていいって言われたんだぞ。』
「ラッキー。なんて言ってるの?」
「ああ。リルが俺達と一緒に居ていいってリルの母親が言ったらしい。」
「それって?」
「ああ。リルと一緒に冒険できるって事だな。」
「やったわねラッキー。」
(よかった。フェンリルに殺される可能性も考えたからな。)
『それと、母ちゃんが一度会いに来いって言ってたんだぞ。』
「えっ!?・・・まじで?」
『いつでもいいとは言ってたんだぞ。』
「そっ、そうか・・・ならもっと強くなってからだな。」
(よかった。すぐ来いって言われたら、母親に会う前に、森に入った瞬間殺されるだろうからな。)
原初の森の主、フェンリルから許可を得た事で、リルがラッキーの仲間になった。
ラッキー、シルフィー、リルは改めて、ダンジョン攻略の報告を行う為、ギルドに向かうのだった。
0
お気に入りに追加
1,271
あなたにおすすめの小説
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる