ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー

文字の大きさ
上 下
28 / 178
第1章 ゼンパンの素質とデイリーガチャスキル

第28話 オークを丸ごと持って帰るのは非常識⁉

しおりを挟む
森でオークを倒したラッキーとアイン達は、オークの後処理に苦戦していた。それもそうだろう。なんせ250キロの巨体だ。

皮膚が固いので切り分けるのも一苦労だった。ラッキーが周囲を警戒している間にアインとターキーの2人がオークを切り分けていく。

オークの解体方法などわからないので、とりあえず切り分けていた。

「ターキー。これって全部持って帰るのか?」

「ああ。オークは全て素材になる。もちろん部位によって金額に違いはあるが、どこが高くてどこが安いか俺には全くわからん。とりあえず持って帰れるだけ持って帰って見るのが最善だろう。」

「そうか・・・。それにしても固いな。こんな固いのに肉がメッチャうまいとかすごい謎だな。」

「まあな。でもまあ固いのは表面だけで中は柔らかいからな。」

「そういやラッキーが睾丸が高値で売れるっていってたな。」

「ああそういえばそうだな。だが、俺達に睾丸をうまく取り出せる技術はない。胴体を切り分けて、解体は専門家に任せるのが良いだろう。無理にやって傷でもつけたら大変だしな。」

「そうだな。」

アインとターキーは、オークを切り分けていく。
首、手、足、胴体とそれぞれの袋に入るサイズに切り分けて行った。

「よし切り分けれたぞ。みんな来てくれ。」

アインの呼びかけに、ラッキー、ユキ、シェリーも集まる。

「とりあえずこれを手分けして持って帰ろうぜ。一応切り分けながら血を抜いていたから多少は軽くなってるはずだ。俺とターキーとラッキーで大きいヤツは分けよう。ユキとシェリーも手伝ってくれよ。 」

「うん。あまり気が進まないけどがんばるよ。」

「私も。」

ラッキーが顔と両手を持ち、アインは胴体と胸、ターキーは両足を担当した。そのほかの細々した部分はユキとシェリーが担当して、素材を持ち運ぶ事にした。

全員の袋はパンパンだ。

「それにしても重いですね。オークを狩る冒険者って毎回こんな袋をパンパンにしてるんですか?」

「俺も詳しくは知らないけど、マジックバックとかに入れてるんじゃないか?あれなら重さを感じないし100キロぐらい入るだろ。おいしそうな胸とか太ももの部分だけ持って帰るんじゃねぇか。」

(そうだよな。こんなパンパンにしてたら、オークを倒してその日の依頼は終わりにしないといけない。まあ報酬の事を考えれば、それはそれでいいんだろうけど。俺の場合は報酬もそうだけど魔物を倒す数も大事だ。それを考えたらオークは効率が悪いか・・・。)

「マジックバックって高いんですか?」

「俺達もまだ持ってないけどEランクの冒険者が頑張れば買えるぐらいの金額らしいぜ。」

(オークを倒す為には素材を持ち帰る為にマジックバックが必要だ。そしてマジックバックを買う為にはEランクの冒険者になってお金を稼ぐ必要がある。お金を稼ぐ為にはオークを倒す必要がある・・・か。なんだろ・・・すごい矛盾だ・・・。)

ラッキーとアインとターキーはそれぞれ60キロ~80キロ程の荷物を持ちながら移動しているので、魔物に遭遇しないようにゆっくりと慎重に森を移動した。

荷物を持ったままなら魔物を倒す事もできないので、運悪く遭遇した時は荷物をその場において魔物を倒して行く。

オークの素材をギルドに持ち帰った時にはラッキーとアイン達は疲れ果てていた。

「ようやく着いたな。久々に疲れたよ。体力的にも精神的にも。」

「本当そうですね。オーク1体倒しただけでこんなに疲れるとは思いませんでした。」

「ラッキーの言う通りだな。まさかオーク1体でこれほど時間を取られるとは・・・。これで報酬が安かったら割に合わないな。」

「ホントね。」

「疲れた。」

ラッキー達は受付にオークの討伐依頼の完了の報告をして、解体部屋に素材を運んだ。

「ドガンさん。お願いします。」

ラッキーはドガンを見つけて、話をする。

「おいおい。なんだその大量の素材は?」

「オークです。解体の仕方が分からなかったので手分けして丸ごと持ってきました。」

「まじか~⁉オークを丸ごと⁉ラッキー・・・お前よくこれを全部持ってこれたな?」

「大変でしたけど頑張りました。」

「オークを丸ごと持ってくるヤツなんざ初めて見たぜ。」

「そうなんですか?」

「そりゃそうだろ?森でオークを狩って、あんな重い素材を担いで移動するなんて危ない真似は普通はしないもんだ。途中で魔物に襲われる可能性もあるんだからな。ラッキーよ。運がよかったな。」

(やっぱり丸ごと運ぶのは普通じゃなかったんだ。たしかに精神的にも体力的にもかなり疲れた。)

「ははは。まあ運の良さには自信があるんで。」

「それでもいつ何があるかわからないんだ。運に頼るようじゃダメだぞ。」

「!?・・・すいません。」

「まあいい。それじゃ全部出してくれ。こっちで綺麗に解体してやる。おい!」

ドガンが声を掛けると、解体担当のスタッフが集まってきて、それぞれオークの素材を解体し始めた。

「ラッキー・・・。全部持ってきたのは失敗だったみたいだな。」

アインにそう声を掛けられてラッキーは、

「そうですね。でも良い経験ができました。アインさん。今日は連れて行ってくれてありがとうございます。」

ラッキーはアイン達に感謝していた。アイン達のお陰で初めて森に行く事が出来たし、オークを倒す事もできた。アイン達が声を掛けてくれなかったらできなかった事だったからだ。

その後、オークの素材の売却金額はラッキーとアイン達で分けても十分すぎる程の報酬だった。

だが、魅力的な報酬を受け取っても、肉体と精神の疲労を考えて、今後オークを狩る時には素材を厳選する事を決めたのだった。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...