ガチャからは99.7%パンが出るけど、世界で一番の素質を持ってるので今日もがんばります

ベルピー

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第1章 ゼンパンの素質とデイリーガチャスキル

第1話 お前は追放だ!出て行け!

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「もういい!お前は追放だ!二度と戻ってくるな!」
ラッキーにそう言ったのはラッキーの父親だった。

「え!?どういう事ですか!?」

「どうもこうもない!!今までにない、すごい素質だと思ったのにできる事と言えば、毎日毎日パンを出す事だけじゃないか!!」

「それは・・・」

「お前みたいなヤツが我が公爵家にいるとわかると我が家の恥だ!お前は追放だ。家名を今後名乗る事はゆるさん。」

「そんな!?父上!!待ってください!!」

「もう決まった事だ!」

「公爵家はどうするのですか?僕がいないと、公爵家は・・・」

「心配無用だ。俺は今回の件で、養子を迎える事にした。」

「養子?」

「入って来い!」
部屋に入ってきたのは、しってるヤツだった。

「メルト・・・」

「久しぶりだなラッキー。公爵様から養子の話をもらってな。俺って剣聖の素質を授かっただろ?俺の天職はお前のようなよくわからない素質じゃないからな。」

「メルトがいれば公爵家は安泰だ。だからラッキー!お前は今日限り公爵家を追放する。生活できるぐらいの金は渡してやろう。後は好きに生きるがいい!」

「そんな・・・。」

ラッキーは今までに誰も授かった事のない素質を授かり、今後の人生が明るいモノになると信じていたのに、結果は公爵家を追放されるという人生のどん底にいきなり落とされたのだった。

(どうしてこうなった???)

ラッキーは今日までの事を思い返す。

この世界は15歳になると、天職の儀という儀式を行う事になっている。
この天職の儀で授かった素質を参考に、今後の人生を歩んで行くというものだ。

そして、儀式を受ける全員が天職を授かる訳ではない。
天職を授かる確率は5人に1人ぐらいの確率だった。

なので、世間のほとんどの人が天職を持っていない。
その中で天職を授かるというのは選ばれた人間。という風潮があった。

ラッキーも15歳になり、天職の儀に向かった。
天職の儀は15歳の少年・少女が全員教会に向かい、神様の水晶という宝玉に触る事で様々な素質を与えられる。

分かりやすい所でいう所の勇者や賢者・剣聖に聖女などの今までにすごい功績を残した職業の素質から、火魔法・水魔法・風魔法・土魔法といった魔法の素質、剣術や棒術、槍術、格闘などの素質など与えられる素質は様々だ。

もちろん素質がなかったからといって、魔法が使えなかったり、剣が扱えなくなるわけではない。神様から転職の儀を経て素質を得られれば、素質を持っていない人よりも圧倒的に早いスピードで習得する事ができる。というモノだ。

ラッキーは公爵家の長男という事もあり、両親を筆頭に様々な人から期待されて、天職の儀に臨んだ。

ラッキーが神様の水晶に触ると、今までに見た事のない光が虹色になって広がった。

(そうだ。天職の儀では今まで出た事ない光が出たんだ。)

周りが大騒ぎになり、授かった素質を確認すると、【ゼンパン】という素質だった。教会にいる神父を始め誰も今までに聞いた事のない素質に周囲は大いに驚いた。

(あの時はやった!!!と思ったんだけどな~・・・)

ラッキーの世代はすごい素質を持った人が大勢現れた。先ほど家に現れたメルトの剣聖。そのほかに聖女や四属性なんていう素質も現れた。

だが、ラッキーの素質は参加した誰よりも光輝いていた。なので、この黄金世代の主役はラッキーになる。と誰もが思っていた。

しかし・・・ラッキーの素質の【ゼンパン】は何ができるのか全く分からずだった。

唯一わかっている事は毎日一回『ガチャ』というスキルを使う事ができるという事だった。そして、そのスキルを使うと決まってパンが現れた。

(パンが出るガチャって本当使えないよな・・・。今の時代パンなんか珍しくもなんともないし・・・)

【ゼンパン】の素質について調べようと王城に呼ばれ、ガチャのスキルを使用したり、毎日毎日、父親の前でガチャのスキルを使用するが、出るのはパンばかり。

アンパン・食パン・カレーパン・ジャムパン・やきそばパン・コッペパン・フランスパン・サンドイッチ・ピザパン・コロッケパン

10日経った頃には、ラッキーの【ゼンパン】の素質は、全てのパンを得る事ができる【全パン】のスキルという事になった。

(ゼンパンの素質が全てのパンを手に入れる事ができるって・・・いつの時代の話だよ・・・は~・・・。)

【全パン】スキルと定められて、ラッキーは一転、黄金世代で一番のハズレ素質の持ち主と言われるようになった。

悪い噂が出回らない内に公爵家はラッキーを追放し、剣聖のスキルを持つメルトを養子に迎える事にしたのだった。

「は~・・・やっぱりパンしか出せない素質じゃダメだよな~。あれだけ期待されたのにこれじゃ父さんが俺を追放するのも無理ないか・・・。でも・・・メルトを養子にする事はないじゃないか!」

ラッキーは愚痴を言いながら、部屋で荷造りをしていた。

「これからどうしようか・・・。」

ラッキーは今まで、公爵家の長男として貴族の生活を送ってきたので、いきなり追放されてどうすれば良いか全くわからなかった。

「とりあえず、どこか遠くに行きたいな。俺の事を知ってるここは生活しづらいしな・・・」

ラッキーは荷物をまとめて家を出るのだった。
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