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2巻
2-3
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Sクラスの教室に着くまで知り合いに会うことがなかった僕は、教室のドアを開けて中に入った。
まあ知り合いなんて昨日の今日だから十人もいないし、会わないのは当然だよな。でもSクラスのメンバーは昨日自己紹介したし、これから仲良くなりたいから挨拶は必須だよな。
「おはよう」
教室に入ると同時に既にいるメンバーに挨拶した。返事はなかったが、みんながこっちを見てるのでまずまずといった感じだろうか。
反応はないけど、継続していくぞ。挨拶は基本だからな。親しみやすさをアピールしなくちゃ。
僕は昨日の席に向かおうと思ったが、運よく? アリスとシェリーがこっちを見ていたので近づいていった。
「アリス、シェリー。おはよう」
大丈夫だよね? 誰? とかならないよな。
二人とは、入学試験の時にアリスが貴族に絡まれていたのを助けたことがきっかけで出会った。その時に少し話しただけなのであまり仲が良いとは言えず、僕は少し緊張していた。
「あっクリフくんおはよう」
「おはよう」
よかった。覚えていてくれた。自分から声をかけた僕を褒めよう。
「二人とも早いね。一緒に来てるの??」
「そうだよ~。どっちも学生寮だからね~」
「そうなんだ。僕も学生寮だけど、男子の寮の部屋は思ってたより広かったし、食事もおいしかったからよかったよ。狭かったり食事がおいしくなかったら四年間苦労するしね」
「それは言えてる。女子寮も同じ感じかな。快適だったよ~」
「二人は選択授業、何にしたの??」
「私たちは貴族科と内政科と家庭科と調理科と商業科だよ~。シェリーと一緒に決めたんだ~」
「ええ、アリスは貴族じゃないから貴族科とか内政科はいらないんじゃない? って言ったんだけどね」
「う~ん。そうなんだけど、平民でも貴族のことを知ってると将来役に立つしね。貴族に仕える人とか貴族に嫁ぐ人もいるから貴族科を取る人ってけっこう多いし、シェリーと一緒に授業受けたかったから」
「そうなんだ。僕も貴族科と内政科と調理科は取ろうかなって思ってるんだ~」
「クリフくん、調理科取るの??」
「そうだよ。僕って将来は冒険者になりたいんだよね。実家は兄が継ぐだろうから自由に過ごしたいんだよ。で、冒険者をするなら自分で料理できた方が得かなって思ってね」
「たしかに料理できた方が得だよね~。冒険者志望なんだ!!」
「そうだよ。……ってフローラ先生来ちゃったね。じゃあ」
アリスとシェリーと話しているとフローラ先生が入ってきたので、僕は自分の席に移動した。
よし。二人と話せたぞ。こうやって積極的に話しかけていこう。目指せハーレムだ。
先ほどの会話で仲の良さが深まったとは思えないが、僕は女性に自分から話しかけられたことに満足したのだった。
席に着くと横にいたセリーヌが目に入ったので挨拶した。
「セリーヌ、おはよう」
「クリフ様、おはようございます」
ん? なんかセリーヌの機嫌が悪いような……なんかあったのかな?
「みんなおはよう。今日は昨日言ってた選択授業の提出日よ。全員、まずは決めた選択授業を提出してくださいね。選択授業は明日から始まるから、今日はホームルームが終わったら午前中は基本科の授業を行います。基本科の授業はそれぞれのクラスの担任がすることになってるから、このクラスは私ね。それが終わったら午後は自由だから研究会を見学したり、興味ある研究会に加入してもいいわね」
選択授業を全員が提出し、基本科の授業が始まった。基本科とはそのまま、算数や国語などの基本から魔法の基本やこの世界の基本など、様々なことを習う授業だ。
「じゃあ、これで今日の基本科の授業を終わります。あっそうだ。クリフくん。校長が呼んでたから、午後一番で校長室に行ってちょうだい」
えっ、校長が呼んでる??? 何かあったか? いや何もしてないぞ。試験の時のことかな。警戒しないとな……。
「はい。わかりました」
授業が終わったので昼食をどうしようか考えていると、セリーヌが話しかけてきた。
「クリフ様、昨日は用事があってダメだったので、今日はご一緒させていただけませんか?」
「セリーヌ。いいよ、じゃあ一緒に食堂に行こうか」
「はい」
セリーヌとお付きのユウリとマークとともに食堂へ向かった。昨日と同じように食堂に入ると大勢の生徒がいた。僕たちは先に席を取ることにし、ユウリとマークが率先して周りに人がいなさそうな所を席取りした。
いやいや、なんでこんな端っこに席取りするんだよ。逆に目立つじゃん。
「セリーヌ様とクリフ様は席に座っていてください。私とマークがお二人の昼食を取ってまいります」
「ユウリさん。それは悪いよ。自分のは自分で取るから僕の分は持ってきてくれなくても大丈夫だよ」
「いえいえ、お気になさらず。セリーヌ様を一人にさせるわけにはいきませんので……。それと私のことはユウリとお呼びください。もちろんこちらにいるマークもマークと呼んでくださればと思います」
「わかったよ。ユウリ。じゃあユウリにお任せで頼むよ」
「わかりました。マーク、行くわよ」
「オッケー」
ユウリとマークは僕とセリーヌを残し、四人分の食事を取りに行った。残された僕はセリーヌに話しかけた。
「なんか、ユウリとマークってメイドと執事みたいだね」
「遠からずってところですね。二人は子どもの時から私のお世話をしてくれていたので。本当は友達のように接してほしいんですけど、あんな感じなんですの」
「王族もなかなか大変だね」
「本当にそうですわ」
周りをキョロキョロして人がいないのを確認すると、セリーヌが小声で話しかけてきた。
「それよりもクリフ様!! 周りには伝わっておりませんが、クリフ様は私の婚約者ですよね」
「そうだね」
「今日はアリスさんやシェリーさんとずいぶん親しく話していましたよね。それに昨日はフローラ先生のことをいやらしい目で見ていましたわ。クリフ様はわ・た・く・しの婚約者なのですから、あまり他の女性と親しくしてほしくありませんわ」
えっ、セリーヌって僕のことよく見てるんだな。嫉妬してるセリーヌもかわいいけど、他の女性としゃべらないっていうのは無理だからきちんと説明しておかないとな。
「セリーヌ、心配させたならごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。僕も学校では友達が少ない方だから、同じクラスの人とは仲良くなりたいんだよ。セリーヌとのことは大事に思ってるから安心して」
「それならいいんですが……クリフ様はわからないと思いますが、クリフ様への周りの好意はすごいんです。釘を刺しておかないと離れていってしまいそうで怖いんです」
そっか。セリーヌは他の人の感情がわかるんだったな。僕を見てるのと同時に僕の周りの人のことも見てるって感じか。不安……なんだな。他の人と仲良くしてセリーヌを失うのは本末転倒だ。ここはちゃんとフォローしなくちゃ。
「セリーヌは綺麗だし、そんなこと心配しないで大丈夫だよ。クラスも一緒なわけだし、これから一緒に買い物に行ったり、一緒に授業を受けたり、色々できるじゃん。今もこうして一緒に食事をしてるわけだしさ。ってユウリとマーク遅いな~。混んでるのかな……」
「「お待たせ~」」
すると、タイミングを見計らったようにユウリとマークが四人分の昼食を持って戻ってきた。
いやいやタイミングバッチリかよ。もしかして遠目から僕たちのこと見てたんじゃ……あり得るな。セリーヌに頼まれて二人の時間を作ったって感じだろうか。セリーヌとの時間も作りつつ、他の人とも仲良くする。うまくやっていかないとな。
僕は「女性に優しく」作戦から「セリーヌと時間を作りつつ他の女性にも優しくする」作戦に切り替えたのだった。
セリーヌとユウリとマークと一緒に昼食を取った僕は、セリーヌたちに午後の予定を聞いた。
「セリーヌは今日の午後はどうするの??」
「本当は午後はクリフ様と一緒に研究会を見学しようと思ってましたの。でもクリフ様は校長先生に呼ばれてましたよね?」
「そうなんだよね。なんの用事かわからないけどね」
「だから午後は、ユウリとマークと研究会を見学して帰ろうかと思ってますわ」
「そっか~。僕も魔法研究会は興味があって見学したいから、校長の話が早く終わったら行ってみようかな?」
「魔法研究会ですか?」
「うん。フローラ先生が顧問をしてるらしいし、昨日三年生のルル先輩に誘われてね」
「ルル先輩? ってモーガン家のルルさんですか?」
「そうだよ。セリーヌは知ってるの?」
「はい。もちろんですわ」
「僕は魔法をもっともっとうまくなりたいんだ。だからどんなことをしてるのか興味があってね」
「さすがクリフ様ですね。私は魔法はあまり得意ではありませんので、同じ研究会に入れそうにないのは残念ですが、今度一緒に買い物に行こうって言ってくださいましたからそれを期待することにします」
えっ言ってないよ……たしかにそれっぽいことは言ったかもしれないけど、セリーヌの中では僕がセリーヌを誘ったってことになってるのか?? これは予定を立てておかないと……。
「セリーヌ様、早速クリフ様とデートの約束をしたんですね。さすがです」
「いつ行かれるんですか? 護衛としてついていかせていただきます」
「まだ、いつ行くかまでは決まってないんですのよ」
「そうだね。選択授業もあるし、予定が合いそうな日を見つけておくね」
「クリフ様、お願いいたしますわ」
☆
セリーヌたちと別れた僕は、校長室へ向かった。
「クリフ・ボールドです。校長に呼ばれましたので参りました」
「入るのじゃ」
校長室に入ると机に座った小さな幼女、校長ことミスティがいた。
「クリフくん、よく来たのじゃ。まあそこに座るのじゃ」
「はい。それよりも僕はなんで呼ばれたんですか??」
「今日呼んだのは、クリフくんも学校に入ったことじゃし、不安とか色々あるじゃろ。校長として生徒の悩みは聞いておかんといかんじゃろ。クリフくんは首席じゃしのう」
「そうなんですね。気にかけていただき、ありがとうございます。まだ二日目なのでなんとも言えませんが、友人もできましたので悩みなく過ごせてますよ」
「ならよかったのじゃ。でじゃ……クリフくんは学校ではどの程度まで力を出すつもりなのじゃ? マテウスからも聞いておるが、クリフくんが本気を出せばわしでも勝てないじゃろう」
えっ、陛下は校長に僕の能力しゃべったの?? でも、学校の校長なら僕の能力は知っておいた方がトラブルも少ないから当たり前か~。
「そうですね。面倒事は嫌いなので極力隠していきたいとは思ってます。ただ、友人が危ない目にあった時とかは気にせずに全力を出すつもりです」
「なるほどのお~。その方がいいじゃろ。『転移』なんか、人前で使ったら他国に攫われて一生使い潰されるからの~」
「そうなんですね。気をつけます。僕も面倒事は困るので」
「それでクリフくん。本題なんじゃが、もう単刀直入に言うのじゃ。わしに『転移』の魔法を教えてくれんか?? わしも大賢者と言われているが、まだまだ知らない魔法が多い。知らない魔法を使っている者を見るとついつい教えを乞いたくなるんじゃ」
「別に構いませんよ。その代わり、学校内でトラブルとかあったら助けてくださいよ」
教えるのは別に構わないよな。それに教えることで学校生活がうまくいく方がメリットが多いはず。
「おお~ありがとうなのじゃ。師匠~」
「師匠!?」
「そうじゃ。魔法を教わるんじゃ。クリフくんはわしの師匠じゃろ??」
いやいや校長の師匠が生徒っておかしいだろ……。
「さすがに校長に師匠と呼ばれるのはおかしいと思いますが……」
「安心せぇ。さすがに他の生徒がおる時には言わんよ。さあ早く『転移』を教えてくれ~」
さすが大賢者。ただの魔法好きの幼女だな。
「わかりました。僕も人に教えたことがないので、僕が覚えたやり方を説明しますね。まず、魔法はイメージでほとんどのことができると思ってます。身体に流れる魔力を放出する時に属性を加えることで『火魔法』や『水魔法』を出すことができます。この辺りは校長はご存じですか?」
「うむ。『無詠唱魔法』のことじゃな。わしも使えるが、そこまで考えたことはなかったのぉ」
「まあ、イメージが大事ということを理解してくだされば大丈夫です。で『転移』なんですが、今いる場所から違う場所へ移動する。このイメージが難しいですが、僕は別の空間を通って移動するイメージで『転移』を使ってます。『アイテムボックス』とか『マジックバッグ』とかって、見た目以上にモノが入りますよね。あれって別の空間があってそこにモノを入れていて、必要な時に取り出してると思うんです」
「なるほど、言われてみればそうじゃのう」
「それと同じで、自分が一度自分の空間に移動して、その後別の場所に出現する。そんなイメージです。僕も何度も練習して、初めは目の前への『転移』からできるようになりました。こんな風に」
僕は校長の前から後ろへ『転移』した。
「目の前の場所だから移動先をイメージしやすいと思いまして。で、何度も繰り返すうちに今は一度行った所なら『転移』可能になりました」
「おおっ! なるほどなるほど、師匠の説明でなんとなくわかったぞ。早速やってみるのじゃ」
その日、僕と校長は遅くなるまで『転移』の練習を繰り返した。校長室から僕たちの声がずっと聞こえていたことから何やらあやしい噂が流れていたみたいだが、この時の僕たちは知らなかった。
第32話 リースがホームシック⁉
高等学校に入学してから一カ月が経った。
入学してからというもの、毎日の授業やイベントの案内に、友人たちとの交流と毎日忙しくも楽しく過ごしていたが、寮の中では、あまりかまってもらえないフェネックのリースとスイムが日に日に僕に甘えるようになっていた。
最近では朝学校に行こうとすると、僕の身体にしがみついて、「行かないで……」と言わんばかりの目で見てくるので、学校に行くのも一苦労だった。
学校が忙しくてリースにもスイムにもかまってやれてないもんな。学校に連れていくわけにはいかないから、部屋に一日中いてもらってるけど、そりゃストレスも溜まるよな。次の休みはリースとスイムのために時間を取るか。ホームシックなんかもあるかもしれないし、一度ボールド領に戻るのもいいか。いや一カ月で実家に戻ったら僕がホームシックみたいに思われるか? それはそれで恥ずかしいな。それなら――――
次の日、学校に着いた僕は、朝のホームルーム前に校長室を訪れていた。
「どうしたのじゃ師匠? 朝早くから」
「やっぱりその師匠っていうのはやめてくれませんか? 普通にクリフって呼んでくれる方がありがたいんですが……」
「そうか? わしは気に入ってるんじゃが……」
「師匠と呼ぶなら今後魔法は教えませんからね」
「それは困る……わかったのじゃ。じゃから今後も教えてほしいのじゃ」
「わかりました。それでですね。一緒に来てるリースとスイムを最近かまってやれてないから、里帰りも兼ねて魔の森へ行こうと思ってるんです。ちょうど校長の『転移』の練習にもなるから一緒にどうかと思いまして」
「なるほど。あそこは魔力が溢れておるし、ここからも遠い。練習にはうってつけというわけじゃな」
☆
その週末、僕は校長とリースと、スイムの四人で魔の森へ来ていた。
移動はもちろん僕の『転移魔法』だ。
「クリフくんの『転移魔法』はやはりすごいのぉ。この距離でも一瞬とは……」
「まあ前も言ったようにイメージですね。校長には今日中にここから王都まで『転移』できるように練習してもらいます。リースは好きに遊んできな。スイムはリースを見てやってくれ。だけど、あまり遠くには行くなよ。スイムでも手に負えない魔物だっているだろうからね」
「キッキッ」
「ピキキー!」
スイムが身体をうまく動かして敬礼した。そしてそのままリースとともに森の中へと消えていった。
「従魔だけで行かせて大丈夫なのかのぉ」
「はい。スイムはBランクぐらいの実力はあるし、スイムとリースのことはここからならわかりますしね」
「ならいいんじゃが……」
その後、僕は校長につきっきりで『転移魔法』の指導をした。
「なかなかうまくいかないもんじゃな」
「『転移』自体はできてますし、あとは距離を伸ばすだけですよ。何度も練習すれば伸びると思います。ここなら他の人に見つかる危険性もないですからドンドンいきましょう」
「クリフくん……意外にスパルタじゃな」
そんな時、森に「ピッキー!!」という大きな声が響き渡った。
「これは!?」
「はい。スイムに何かあったみたいです。僕はスイムの元に行きますね。校長も来られるなら、スイムの魔力か僕の魔力を頼りに『転移魔法』で来てみてください」
僕はそう言うと、校長を放って一人『転移魔法』を使った。
スイムの元に『転移』した僕の目の前には、「キッキッ! キッキッ!」とこちらに背を向けているリースとスイムがいて、その先では緑色の大きなトカゲがこちらを睨んでいた。
「ドラゴン……なんでこんな所に。いや、そんなこと言ってる場合じゃない。リース! すぐにこっちに来い。スイム! 大丈夫か?」
僕の言葉に、リースはすぐに僕の元に駆け寄って肩の上に乗った。スイムも身体で大きく大丈夫というサインを出して、そのまま僕の頭の上に乗った。
「思ってたより大きくないから、まだ子どもなのかもしれないけど、ドラゴンか……今の僕なら大丈夫だと思うけど、森の中に他にもドラゴンがいたらちょっとやばいか」
僕は即座にドラゴンに魔法を放った。森を燃やしてしまう恐れがあるので、使用する魔法は『風魔法』だ。うすーくうすーく意識した『風魔法』は、ドラゴンが攻撃するよりも早く、ドラゴンを捉えた。
「よし!」
ドラゴンは魔法で胴体を真っ二つに切られてその場に倒れ込んだ。そこへ校長がやってきた。
「クリフくん。大丈夫か……ってこれは、ドラゴン!?」
「はい。そこまで強くなかったので助かりました」
「いや、ドラゴンはかなり強いと思うのじゃが……。魔の森とはいえ、こんなあまり深くない所にドラゴンが現れるとは……これはもしかして自然に発生したのではなく、『召喚魔法』で呼び出されたのかもしれぬな」
「『召喚魔法』!?」
「そうじゃ。魔族が魔物を呼ぶ時に使う魔法じゃ。クリフくんなら知っててもおかしくないと思うが?」
そういや~『召喚魔法』の魔法書買ってたな。ドラゴン召喚か~。異世界でしてみたいことの一つだし、いずれ挑戦だな。
ドラゴン出現というトラブルはあったが、久々に魔の森で自由に遊んだスイムとリースの機嫌はよくなり、校長も無事に『転移魔法』を習得することができたのだった。
まあ知り合いなんて昨日の今日だから十人もいないし、会わないのは当然だよな。でもSクラスのメンバーは昨日自己紹介したし、これから仲良くなりたいから挨拶は必須だよな。
「おはよう」
教室に入ると同時に既にいるメンバーに挨拶した。返事はなかったが、みんながこっちを見てるのでまずまずといった感じだろうか。
反応はないけど、継続していくぞ。挨拶は基本だからな。親しみやすさをアピールしなくちゃ。
僕は昨日の席に向かおうと思ったが、運よく? アリスとシェリーがこっちを見ていたので近づいていった。
「アリス、シェリー。おはよう」
大丈夫だよね? 誰? とかならないよな。
二人とは、入学試験の時にアリスが貴族に絡まれていたのを助けたことがきっかけで出会った。その時に少し話しただけなのであまり仲が良いとは言えず、僕は少し緊張していた。
「あっクリフくんおはよう」
「おはよう」
よかった。覚えていてくれた。自分から声をかけた僕を褒めよう。
「二人とも早いね。一緒に来てるの??」
「そうだよ~。どっちも学生寮だからね~」
「そうなんだ。僕も学生寮だけど、男子の寮の部屋は思ってたより広かったし、食事もおいしかったからよかったよ。狭かったり食事がおいしくなかったら四年間苦労するしね」
「それは言えてる。女子寮も同じ感じかな。快適だったよ~」
「二人は選択授業、何にしたの??」
「私たちは貴族科と内政科と家庭科と調理科と商業科だよ~。シェリーと一緒に決めたんだ~」
「ええ、アリスは貴族じゃないから貴族科とか内政科はいらないんじゃない? って言ったんだけどね」
「う~ん。そうなんだけど、平民でも貴族のことを知ってると将来役に立つしね。貴族に仕える人とか貴族に嫁ぐ人もいるから貴族科を取る人ってけっこう多いし、シェリーと一緒に授業受けたかったから」
「そうなんだ。僕も貴族科と内政科と調理科は取ろうかなって思ってるんだ~」
「クリフくん、調理科取るの??」
「そうだよ。僕って将来は冒険者になりたいんだよね。実家は兄が継ぐだろうから自由に過ごしたいんだよ。で、冒険者をするなら自分で料理できた方が得かなって思ってね」
「たしかに料理できた方が得だよね~。冒険者志望なんだ!!」
「そうだよ。……ってフローラ先生来ちゃったね。じゃあ」
アリスとシェリーと話しているとフローラ先生が入ってきたので、僕は自分の席に移動した。
よし。二人と話せたぞ。こうやって積極的に話しかけていこう。目指せハーレムだ。
先ほどの会話で仲の良さが深まったとは思えないが、僕は女性に自分から話しかけられたことに満足したのだった。
席に着くと横にいたセリーヌが目に入ったので挨拶した。
「セリーヌ、おはよう」
「クリフ様、おはようございます」
ん? なんかセリーヌの機嫌が悪いような……なんかあったのかな?
「みんなおはよう。今日は昨日言ってた選択授業の提出日よ。全員、まずは決めた選択授業を提出してくださいね。選択授業は明日から始まるから、今日はホームルームが終わったら午前中は基本科の授業を行います。基本科の授業はそれぞれのクラスの担任がすることになってるから、このクラスは私ね。それが終わったら午後は自由だから研究会を見学したり、興味ある研究会に加入してもいいわね」
選択授業を全員が提出し、基本科の授業が始まった。基本科とはそのまま、算数や国語などの基本から魔法の基本やこの世界の基本など、様々なことを習う授業だ。
「じゃあ、これで今日の基本科の授業を終わります。あっそうだ。クリフくん。校長が呼んでたから、午後一番で校長室に行ってちょうだい」
えっ、校長が呼んでる??? 何かあったか? いや何もしてないぞ。試験の時のことかな。警戒しないとな……。
「はい。わかりました」
授業が終わったので昼食をどうしようか考えていると、セリーヌが話しかけてきた。
「クリフ様、昨日は用事があってダメだったので、今日はご一緒させていただけませんか?」
「セリーヌ。いいよ、じゃあ一緒に食堂に行こうか」
「はい」
セリーヌとお付きのユウリとマークとともに食堂へ向かった。昨日と同じように食堂に入ると大勢の生徒がいた。僕たちは先に席を取ることにし、ユウリとマークが率先して周りに人がいなさそうな所を席取りした。
いやいや、なんでこんな端っこに席取りするんだよ。逆に目立つじゃん。
「セリーヌ様とクリフ様は席に座っていてください。私とマークがお二人の昼食を取ってまいります」
「ユウリさん。それは悪いよ。自分のは自分で取るから僕の分は持ってきてくれなくても大丈夫だよ」
「いえいえ、お気になさらず。セリーヌ様を一人にさせるわけにはいきませんので……。それと私のことはユウリとお呼びください。もちろんこちらにいるマークもマークと呼んでくださればと思います」
「わかったよ。ユウリ。じゃあユウリにお任せで頼むよ」
「わかりました。マーク、行くわよ」
「オッケー」
ユウリとマークは僕とセリーヌを残し、四人分の食事を取りに行った。残された僕はセリーヌに話しかけた。
「なんか、ユウリとマークってメイドと執事みたいだね」
「遠からずってところですね。二人は子どもの時から私のお世話をしてくれていたので。本当は友達のように接してほしいんですけど、あんな感じなんですの」
「王族もなかなか大変だね」
「本当にそうですわ」
周りをキョロキョロして人がいないのを確認すると、セリーヌが小声で話しかけてきた。
「それよりもクリフ様!! 周りには伝わっておりませんが、クリフ様は私の婚約者ですよね」
「そうだね」
「今日はアリスさんやシェリーさんとずいぶん親しく話していましたよね。それに昨日はフローラ先生のことをいやらしい目で見ていましたわ。クリフ様はわ・た・く・しの婚約者なのですから、あまり他の女性と親しくしてほしくありませんわ」
えっ、セリーヌって僕のことよく見てるんだな。嫉妬してるセリーヌもかわいいけど、他の女性としゃべらないっていうのは無理だからきちんと説明しておかないとな。
「セリーヌ、心配させたならごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。僕も学校では友達が少ない方だから、同じクラスの人とは仲良くなりたいんだよ。セリーヌとのことは大事に思ってるから安心して」
「それならいいんですが……クリフ様はわからないと思いますが、クリフ様への周りの好意はすごいんです。釘を刺しておかないと離れていってしまいそうで怖いんです」
そっか。セリーヌは他の人の感情がわかるんだったな。僕を見てるのと同時に僕の周りの人のことも見てるって感じか。不安……なんだな。他の人と仲良くしてセリーヌを失うのは本末転倒だ。ここはちゃんとフォローしなくちゃ。
「セリーヌは綺麗だし、そんなこと心配しないで大丈夫だよ。クラスも一緒なわけだし、これから一緒に買い物に行ったり、一緒に授業を受けたり、色々できるじゃん。今もこうして一緒に食事をしてるわけだしさ。ってユウリとマーク遅いな~。混んでるのかな……」
「「お待たせ~」」
すると、タイミングを見計らったようにユウリとマークが四人分の昼食を持って戻ってきた。
いやいやタイミングバッチリかよ。もしかして遠目から僕たちのこと見てたんじゃ……あり得るな。セリーヌに頼まれて二人の時間を作ったって感じだろうか。セリーヌとの時間も作りつつ、他の人とも仲良くする。うまくやっていかないとな。
僕は「女性に優しく」作戦から「セリーヌと時間を作りつつ他の女性にも優しくする」作戦に切り替えたのだった。
セリーヌとユウリとマークと一緒に昼食を取った僕は、セリーヌたちに午後の予定を聞いた。
「セリーヌは今日の午後はどうするの??」
「本当は午後はクリフ様と一緒に研究会を見学しようと思ってましたの。でもクリフ様は校長先生に呼ばれてましたよね?」
「そうなんだよね。なんの用事かわからないけどね」
「だから午後は、ユウリとマークと研究会を見学して帰ろうかと思ってますわ」
「そっか~。僕も魔法研究会は興味があって見学したいから、校長の話が早く終わったら行ってみようかな?」
「魔法研究会ですか?」
「うん。フローラ先生が顧問をしてるらしいし、昨日三年生のルル先輩に誘われてね」
「ルル先輩? ってモーガン家のルルさんですか?」
「そうだよ。セリーヌは知ってるの?」
「はい。もちろんですわ」
「僕は魔法をもっともっとうまくなりたいんだ。だからどんなことをしてるのか興味があってね」
「さすがクリフ様ですね。私は魔法はあまり得意ではありませんので、同じ研究会に入れそうにないのは残念ですが、今度一緒に買い物に行こうって言ってくださいましたからそれを期待することにします」
えっ言ってないよ……たしかにそれっぽいことは言ったかもしれないけど、セリーヌの中では僕がセリーヌを誘ったってことになってるのか?? これは予定を立てておかないと……。
「セリーヌ様、早速クリフ様とデートの約束をしたんですね。さすがです」
「いつ行かれるんですか? 護衛としてついていかせていただきます」
「まだ、いつ行くかまでは決まってないんですのよ」
「そうだね。選択授業もあるし、予定が合いそうな日を見つけておくね」
「クリフ様、お願いいたしますわ」
☆
セリーヌたちと別れた僕は、校長室へ向かった。
「クリフ・ボールドです。校長に呼ばれましたので参りました」
「入るのじゃ」
校長室に入ると机に座った小さな幼女、校長ことミスティがいた。
「クリフくん、よく来たのじゃ。まあそこに座るのじゃ」
「はい。それよりも僕はなんで呼ばれたんですか??」
「今日呼んだのは、クリフくんも学校に入ったことじゃし、不安とか色々あるじゃろ。校長として生徒の悩みは聞いておかんといかんじゃろ。クリフくんは首席じゃしのう」
「そうなんですね。気にかけていただき、ありがとうございます。まだ二日目なのでなんとも言えませんが、友人もできましたので悩みなく過ごせてますよ」
「ならよかったのじゃ。でじゃ……クリフくんは学校ではどの程度まで力を出すつもりなのじゃ? マテウスからも聞いておるが、クリフくんが本気を出せばわしでも勝てないじゃろう」
えっ、陛下は校長に僕の能力しゃべったの?? でも、学校の校長なら僕の能力は知っておいた方がトラブルも少ないから当たり前か~。
「そうですね。面倒事は嫌いなので極力隠していきたいとは思ってます。ただ、友人が危ない目にあった時とかは気にせずに全力を出すつもりです」
「なるほどのお~。その方がいいじゃろ。『転移』なんか、人前で使ったら他国に攫われて一生使い潰されるからの~」
「そうなんですね。気をつけます。僕も面倒事は困るので」
「それでクリフくん。本題なんじゃが、もう単刀直入に言うのじゃ。わしに『転移』の魔法を教えてくれんか?? わしも大賢者と言われているが、まだまだ知らない魔法が多い。知らない魔法を使っている者を見るとついつい教えを乞いたくなるんじゃ」
「別に構いませんよ。その代わり、学校内でトラブルとかあったら助けてくださいよ」
教えるのは別に構わないよな。それに教えることで学校生活がうまくいく方がメリットが多いはず。
「おお~ありがとうなのじゃ。師匠~」
「師匠!?」
「そうじゃ。魔法を教わるんじゃ。クリフくんはわしの師匠じゃろ??」
いやいや校長の師匠が生徒っておかしいだろ……。
「さすがに校長に師匠と呼ばれるのはおかしいと思いますが……」
「安心せぇ。さすがに他の生徒がおる時には言わんよ。さあ早く『転移』を教えてくれ~」
さすが大賢者。ただの魔法好きの幼女だな。
「わかりました。僕も人に教えたことがないので、僕が覚えたやり方を説明しますね。まず、魔法はイメージでほとんどのことができると思ってます。身体に流れる魔力を放出する時に属性を加えることで『火魔法』や『水魔法』を出すことができます。この辺りは校長はご存じですか?」
「うむ。『無詠唱魔法』のことじゃな。わしも使えるが、そこまで考えたことはなかったのぉ」
「まあ、イメージが大事ということを理解してくだされば大丈夫です。で『転移』なんですが、今いる場所から違う場所へ移動する。このイメージが難しいですが、僕は別の空間を通って移動するイメージで『転移』を使ってます。『アイテムボックス』とか『マジックバッグ』とかって、見た目以上にモノが入りますよね。あれって別の空間があってそこにモノを入れていて、必要な時に取り出してると思うんです」
「なるほど、言われてみればそうじゃのう」
「それと同じで、自分が一度自分の空間に移動して、その後別の場所に出現する。そんなイメージです。僕も何度も練習して、初めは目の前への『転移』からできるようになりました。こんな風に」
僕は校長の前から後ろへ『転移』した。
「目の前の場所だから移動先をイメージしやすいと思いまして。で、何度も繰り返すうちに今は一度行った所なら『転移』可能になりました」
「おおっ! なるほどなるほど、師匠の説明でなんとなくわかったぞ。早速やってみるのじゃ」
その日、僕と校長は遅くなるまで『転移』の練習を繰り返した。校長室から僕たちの声がずっと聞こえていたことから何やらあやしい噂が流れていたみたいだが、この時の僕たちは知らなかった。
第32話 リースがホームシック⁉
高等学校に入学してから一カ月が経った。
入学してからというもの、毎日の授業やイベントの案内に、友人たちとの交流と毎日忙しくも楽しく過ごしていたが、寮の中では、あまりかまってもらえないフェネックのリースとスイムが日に日に僕に甘えるようになっていた。
最近では朝学校に行こうとすると、僕の身体にしがみついて、「行かないで……」と言わんばかりの目で見てくるので、学校に行くのも一苦労だった。
学校が忙しくてリースにもスイムにもかまってやれてないもんな。学校に連れていくわけにはいかないから、部屋に一日中いてもらってるけど、そりゃストレスも溜まるよな。次の休みはリースとスイムのために時間を取るか。ホームシックなんかもあるかもしれないし、一度ボールド領に戻るのもいいか。いや一カ月で実家に戻ったら僕がホームシックみたいに思われるか? それはそれで恥ずかしいな。それなら――――
次の日、学校に着いた僕は、朝のホームルーム前に校長室を訪れていた。
「どうしたのじゃ師匠? 朝早くから」
「やっぱりその師匠っていうのはやめてくれませんか? 普通にクリフって呼んでくれる方がありがたいんですが……」
「そうか? わしは気に入ってるんじゃが……」
「師匠と呼ぶなら今後魔法は教えませんからね」
「それは困る……わかったのじゃ。じゃから今後も教えてほしいのじゃ」
「わかりました。それでですね。一緒に来てるリースとスイムを最近かまってやれてないから、里帰りも兼ねて魔の森へ行こうと思ってるんです。ちょうど校長の『転移』の練習にもなるから一緒にどうかと思いまして」
「なるほど。あそこは魔力が溢れておるし、ここからも遠い。練習にはうってつけというわけじゃな」
☆
その週末、僕は校長とリースと、スイムの四人で魔の森へ来ていた。
移動はもちろん僕の『転移魔法』だ。
「クリフくんの『転移魔法』はやはりすごいのぉ。この距離でも一瞬とは……」
「まあ前も言ったようにイメージですね。校長には今日中にここから王都まで『転移』できるように練習してもらいます。リースは好きに遊んできな。スイムはリースを見てやってくれ。だけど、あまり遠くには行くなよ。スイムでも手に負えない魔物だっているだろうからね」
「キッキッ」
「ピキキー!」
スイムが身体をうまく動かして敬礼した。そしてそのままリースとともに森の中へと消えていった。
「従魔だけで行かせて大丈夫なのかのぉ」
「はい。スイムはBランクぐらいの実力はあるし、スイムとリースのことはここからならわかりますしね」
「ならいいんじゃが……」
その後、僕は校長につきっきりで『転移魔法』の指導をした。
「なかなかうまくいかないもんじゃな」
「『転移』自体はできてますし、あとは距離を伸ばすだけですよ。何度も練習すれば伸びると思います。ここなら他の人に見つかる危険性もないですからドンドンいきましょう」
「クリフくん……意外にスパルタじゃな」
そんな時、森に「ピッキー!!」という大きな声が響き渡った。
「これは!?」
「はい。スイムに何かあったみたいです。僕はスイムの元に行きますね。校長も来られるなら、スイムの魔力か僕の魔力を頼りに『転移魔法』で来てみてください」
僕はそう言うと、校長を放って一人『転移魔法』を使った。
スイムの元に『転移』した僕の目の前には、「キッキッ! キッキッ!」とこちらに背を向けているリースとスイムがいて、その先では緑色の大きなトカゲがこちらを睨んでいた。
「ドラゴン……なんでこんな所に。いや、そんなこと言ってる場合じゃない。リース! すぐにこっちに来い。スイム! 大丈夫か?」
僕の言葉に、リースはすぐに僕の元に駆け寄って肩の上に乗った。スイムも身体で大きく大丈夫というサインを出して、そのまま僕の頭の上に乗った。
「思ってたより大きくないから、まだ子どもなのかもしれないけど、ドラゴンか……今の僕なら大丈夫だと思うけど、森の中に他にもドラゴンがいたらちょっとやばいか」
僕は即座にドラゴンに魔法を放った。森を燃やしてしまう恐れがあるので、使用する魔法は『風魔法』だ。うすーくうすーく意識した『風魔法』は、ドラゴンが攻撃するよりも早く、ドラゴンを捉えた。
「よし!」
ドラゴンは魔法で胴体を真っ二つに切られてその場に倒れ込んだ。そこへ校長がやってきた。
「クリフくん。大丈夫か……ってこれは、ドラゴン!?」
「はい。そこまで強くなかったので助かりました」
「いや、ドラゴンはかなり強いと思うのじゃが……。魔の森とはいえ、こんなあまり深くない所にドラゴンが現れるとは……これはもしかして自然に発生したのではなく、『召喚魔法』で呼び出されたのかもしれぬな」
「『召喚魔法』!?」
「そうじゃ。魔族が魔物を呼ぶ時に使う魔法じゃ。クリフくんなら知っててもおかしくないと思うが?」
そういや~『召喚魔法』の魔法書買ってたな。ドラゴン召喚か~。異世界でしてみたいことの一つだし、いずれ挑戦だな。
ドラゴン出現というトラブルはあったが、久々に魔の森で自由に遊んだスイムとリースの機嫌はよくなり、校長も無事に『転移魔法』を習得することができたのだった。
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