辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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第十章 家族の時間

第318話 グランとの時間 2

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「ここがグランの元々いた世界・・・」

「そうじゃマスターのいた世界とは全然違うじゃろ?」

「そうだな・・・でも同じような感じだな。」

クリフの目の前に広がる光景は、地上は草原が広がり森に荒地など、クリフが転生した異世界と同じような感じだった。違う点は、宙に浮かぶ島々だ。大きな岩というか島が空を飛んでいた。

「この空に飛ぶ島を色んな種族が支配しておる。大きな島もあれば小さな島もある。地上は人族が多いが空に浮かぶ島は魔物が多いな。我も一つの島を所有しておったのじゃ。まずはその島に行くのじゃ。」

(空に浮かぶ島か・・・どれだけあるんだ?目に付くだけでも10個以上あるぞ?)

「わかった。とりあえず案内してくれるのか?」

「うむ。では頼むぞ。」

そう言ってグランはクリフに向かって両手を広げた。

「ん?」

「何をしておるのじゃ。当然我を抱きかかえてくれるのじゃろ?セリーヌもユーナもナリアも移動は全てマスターが運んでくれると聞いておるぞ。」

(なるほどお前もかグラン。ていう事は何だ?別世界に来てもお姫様抱っこして移動して盗賊に遭遇するのか?いや盗賊なんているのか?っているよな。いない訳がないか。)

「あ、ああ。それとグランも聞いてるだろ?俺が御姫様抱っこして移動すると盗賊に出くわすって。」

「もちろんじゃ。セリーヌにユーナ、ナリアも言っておったからのぉ。じゃが安心せえ我の島には盗賊のような弱いヤツは辿り着く事もできんのじゃ。」

「そうか。ならまあ大丈夫か。どっちにいけばいいんだ?」

クリフはグランを抱きかかえて、グランの指さす方向へ飛んで行く。

「始めてしてもらったが、お姫様抱っこというのは気持ちの良いもんじゃな。」

「グランにするのは初めてだったか?」

「うむ。初めてじゃ。これは癖になるのぉ。セリーヌ達が自慢しておったのがよくわかるのぉ。おっあそこじゃ。あそこが我の島じゃ。」

「あそこだな。わかった。俺に召喚されてからこっちに来るのは初めてなんだろ?5、6年ぶりぐらいか?」

「そのぐらいになるのぉ。何も変わってなければよいのじゃが・・・」

そうして、島に入り島の中を移動していると・・・

「おいグラン?あそこにいるのってスライムだよな?襲われてんじゃないのか?」

「うむそのようじゃ。しかもあれはオークじゃな。我の島にはスライムしかおらぬはずなのじゃが、いつのまにか他の種族が住むようになったのじゃ?」

「いやいやもしかしてグランのいない間に他種族が侵略してきたんじゃないのか?」

「そうかもしれん。マスターよ。ちょっとあの者達を助けるのを手伝ってくれぬか?」

「もちろんさ。」

グランを抱きかかえたクリフは、襲われているスライムの元へと向かった。そしてそこでは、

「へっへっへっ大人しく掴まりな。もうこの島はオーキン様のモノなんだからよ。」

「何を言うこの島はグラン様のモノだ。」

「元だろ、元。今はいないヤツの事なんか言っても意味がないだろ。そんな事よりこっちにこいよ。俺が可愛がってやるぜ。」

(なんだこのオークとスライムの会話は?まるでオークが盗賊で、スライムがか弱い女性のようだぞ?ってやっぱり盗賊に遭遇するんじゃねぇか。それにオーキン?オークの王様・・・オークキングのオーキンかな?)

「お主、誰に許可を取って我の島にいるのだ?」

「貴様は!?」

「グラン様!?」

「おっお主ミミではないか。久しぶりじゃのぉ。それよりも大丈夫じゃったか?」

「はい!」

「でお主は誰の許可を得てこの島におるのじゃ?ここが我の島だと知っての行動か?」

「ま、まさか・・・グランがいるなんて・・・聞いてないぞ・・・」
「俺だって聞いてねぇぞ。グランがいないからこの島のスライムは捕まえ放題だって聞いたから来たのに・・・」

「お主達オーキンの手の者みたいじゃのぉ。詳しく話を聞かせてもらおうか。」

そういってグランは、魔法で縄を出してオーク3体を縛り気絶させた。

「グラン様!!グラン様!!ようやく見つけました。ミミはずっとグラン様を探してたんです。今までどちらに言ってたんですか!もう大変だったんですよ。」

「悪いミミ、色々とあってのぉ。とりあえずこの者達は城に運ぶとしてミミも城まで一緒に来てくれぬか?我がいなかった間何があったが教えてほしいのじゃ。」

「もちろんです。ミミはグラン様のお世話係ですから。」

「グラン?俺にも説明してほしいんだけど?」

「おおすまんかったすまんかった。いきなりミミに会えたものだからマスターの事を忘れておった。」

「グラン様?その人は誰ですか?人族ですよね?」

「うむ。その辺の説明も城についたら皆にしようと思う。一先ず城まで移動しようかのぉ。マスターよ。ミミも一緒に移動してもらって構わぬだろうか?」

「ああもちろん大丈夫だ。俺の頭の上にでも乗ってくれればいいよ。」

(スライムを頭に乗せるのも久しぶりだな。スイムをテイムした時はよく頭の上に乗せてたっけ?あれから人化を覚えて、今はもうほとんど人型でいるからな。なんか懐かしいな。)

オークを縛った縄を手に持ち、グランを抱きかかえ、ミミを頭の上に乗せたクリフは、グランが指さす方へと再び移動したのだった。
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