辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

文字の大きさ
上 下
61 / 248
第六章 聖国へ ~ 聖女を助けよ ~

第183話 聖国の後始末とユーナとの別れ⁉

しおりを挟む
「やっぱりあの男程度じゃ無理があったわね。」

王国の東側、海に面する街にマイと名乗る女性はいた。

「ふふふ。あの男が教皇になって、聖国をうまく支配できると思ってたけどまあいいわ。邪神様の復活は予定通り進んでるもの。次は・・・」

そう言って、マイと名乗る女性は部屋にある大量の邪神の種を持ち、家を出るのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

教皇が死に、後始末に右往左往してバタバタしていた聖国だが、ようやく落ち着きを取り戻し始めていた。

「クリフ様。おはようございます。」

クリフは最近、毎日大聖堂に足を運んで、ユーナを手伝っていた。

「ユーナおはよう。」

「クリフ君。おはよう。」

「イマデア教皇。おはようございます。」

あれからグローヌ派だった枢機卿達もグローヌ教皇との関係性を疑われ、求心力を失ってた。

そこで、民からの信頼の厚いイマデア枢機卿が次期教皇となっていた。

「あれから1カ月か。どうにかここも落ち着いてきたよ。」

グローヌが死んでから、1カ月クリフは聖国を建て直す手伝いをしていた。

もちろん転移の魔法が使えるクリフに取って聖国への移動は一瞬なので、セリーヌやジャンヌ、ソフィアは王国に戻っており、グランにスイム、クインも王国のクリフの屋敷にいる。

「そうですね。ユーナと街の人達に炊き出しとか怪我の治療とかをしてますけど街全体が明るくなりましたね。」

「グローヌの死もそうだが、その前にマリオ前教皇が亡くなった事も大きかったからな。でももう大丈夫そうだ。クリフ君ありがとう。」

「いえ。僕はユーナの為に色々しただけですから。」

「クリフ様・・・・ありがとうございます。」

「クリフ君はこれからどうするんだ?」

「そうですね。学校を卒業してからセリーヌ達と世界各国を回ろうって言ってたんです。その矢先にユーナのSOSをきて、聖国にきたんですよね。だから王国に戻って世界各国を回ってみようと思ってます。」

「そうか。いつでも聖国に来てくれ。私達はクリフ君を歓迎するよ。」

「ありがとうございます。」

「クリフ様・・・」

(テンプレならユーナも付いてくるって言う気がするけど、聖国が落ち着いたっていってもユーナの存在が聖国には必要だ。ユーナは責任感が強い子だからきっとここに残るんだろうな。)

「ユーナ。僕は転移が使えるからここにはいつでも来れる。何かあったらいつでも駆けつけるよ。」

「はい・・・。」

ユーナはとても寂しそうだった。

(これは・・・まいったな。別れづらいぞ。どうしよ・・・)

「ユーナ。よかったら今から街に行かないか?いつもは治療だったら炊き出しだったりしたけど、今日はよかったら買い物したり景色を見たり。」

「!?はい!!もちろんです。教皇様?いいですよね。」

「ああ。もちろんだよ。楽しんでおいで。クリフ君。ユーナを頼んだよ。」

「はい。」

そうして、クリフとユーナは聖都の街を2人でデートした。

2人で服を見たり、カフェでお茶したり、公園でゆっくりしたりと2人の時間を楽しんだ。

「クリフ様。最後に一緒に見たい所があるんですけどいいですか?」

「うん。いいよ。」

そう言って、2人でむかったのは、海の見える展望台だった。聖国は大陸の北側に位置し、北は海に面している。

2人で展望台から夕陽を眺めていると、

「クリフ様。私・・・。私もセリーヌ達と同じように、クリフ様と一緒に世界各国を回って見たいです。でも・・・マリオ教皇が亡くなって、すごいバタバタしてる中で私までいなくなったら・・・。」

「ユーナ。」

「ですけど・・・。この国が落ち着いたら・・・落ち着いたら私もクリフ様の旅に連れて行ってください。私・・・私、クリフ様が好きです」

「ユーナ・・・。ありがとう。僕もユーナの事好きだよ。いつでも言ってよ。一緒に世界各国を見よう。美味しいモノ食べて、今日みたいなすごい景色をみんなで見て。」

「はい!!!」

『ユーナちゃんおめでとう。』

すると・・・クリフとユーナの頭の中に声が聞こえた。

『『女神様⁉』』

声の主は豊穣神の女神アイリーンだった。

『ふふふ。ようやくクリフ君に告白して、OKもらったんだもの。お祝いで念話しちゃった。クリフ君も久しぶりね。でもクリフ君。女の子に先に言わせちゃダメよ。クリフ君もユーナの事好きだったんでしょ。』

『はい。すいません。』

『いいのよ。無事にくっついたんだから。聖国の事もありがとうね。それで、ユーナちゃんが聖国から動けないのはつらいと思ってね。離れていても話ができる魔道具があるから持ってきたの。これがあればクリフ君といつでも話ができるでしょ。』

『本当ですか女神様⁉』

『ええ。私からユーナちゃんへのお祝いよ。』

(便利な魔道具だな。さすがに念話じゃ王国と聖国の距離は繋げられなかったからな。)

すると、クリフの手にその魔道具が現れた。

『指輪・・・』

『ええ。ユーナちゃんとだけお揃いの指輪じゃ。クリフ君が困ると思ったから5つ用意したわよ。』

クリフの手には同じ指輪が5個収まっていた。

『その指輪の持ち主同士ならこの世界のどこにいても会話が可能よ。もちろんクリフ君の事だからこれからお嫁さんが増えるでしょう。安心して。その都度用意してあげるから。』

(はは。ハーレム要因が増えていくのは異世界テンプレの基本だからね。創造神様にも言ってるから女神様も良く知ってるって事か。)

クリフは受け取った指輪をユーナに付けてあげる。もちろん左手の薬指にだ。

「ありがとうございます。クリフ様」

『ありがとうございます。女神様』

そうしてクリフとユーナは綺麗な夕日をバックに口づけを交し、ユーナはしばらく聖国で、クリフは王国の自宅へと帰って行った。

第六章 完
しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。