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第四章 宗教国家ローズベール

第171話 フラワーロード

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「ようやく着いたにゃ。もう長時間の馬車はいやにゃ。」

「確かに馬車は不便っす。動いてないのに疲れたっす。」

「・・・そうだな。座席は固いし揺れは酷い。なのにそれ程早くもない。だもんな。」

「カインがここで異世界パワーを発揮するにゃ。快適な馬車を作ればきっと売れるにゃ。」

「そうっす。そうっす。むしろ自動車を開発してほしいっす。僕オープンカーに乗ってみたいっす。」

「いやいや二人とも。それは無理だろ。内政チート内政チートとはよく言ってるけど、やり方が全くわからん。俺に出来るのはせいぜい魔物の毛を集めて、錬金術でクッションを作るぐらいだ。」

(馬車チートはラノベで見た事あるけど、サスペンションだったか、衝撃を吸収するんだよな?方法なんて全く覚えてないし、サスペンダーと似てるな。ぐらいしか覚えてない。車なんて完全に乗る側だったから再現なんて無理だろ。いや普通再現できないだろ。)

「クッションがあるだけでも大分違うにゃ。次に馬車に乗る時までに用意してくれるとうれしいにゃ。」

「わかったよ。首都ローズベールに行く時は又、馬車での移動になるだろうから用意しておく。」

「ここはローズベールじゃないんすか?」

「ああ。ローズベールの国に間違いはないんだが、王国に一番近いフラワーロードって町だ。」

「ここに赤亀ダンジョンがあるのかにゃ?」

「赤亀ダンジョンは多分首都の近くだと思う。竜の山もそうだが詳細まではわからないから、色々情報収集しないとな。まずはこの国の地理、勢力とかだな。」

カイン達はフラワーロードの散策を開始した。

「まずは宿だな。いっぱいで泊まれないのはまずい。三部屋空いてる所で風呂が付いてれば言う事なしだな。」

「それはダメにゃ。三部屋なんて勿体ないにゃ。一部屋で十分にゃ。」

「いやそうは言うけど・・・。」

「ここに来るまでテントではみんなで同じ所で寝てたにゃ。おかしくも何ともないにゃ。スズ、スズもアタシを援護するにゃ。」

「お姉ちゃんのラブの為、がんばるっす。僕もラックお姉ちゃんの言う通りだと思うっす。それに家族なら一緒に寝るのは変な事じゃないと思うっす。僕もお兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に寝たいっす。」

「ナイスにゃ。スズ。」

(いやいやラックさん。スズに援護してって普通に言ってるし。テントじゃ一緒に寝てたけど、それぞれ寝袋だったじゃん。それにスズさん。一緒に寝たいって貴方、いつも寝る時はスライム姿じゃないですか。まあ百歩譲って一緒の部屋だとしてもベッドは三台が普通だろ?同じ部屋イコール同じベッドだと思ってる節があるんだけど・・・)

「まあわかった。なら一部屋にしよう。でももちろんベッドは別々だぞ?」

「もちろんにゃ。だけど、ベッドが一つしかなかったらそれは仕方のない事だと思うにゃ。」

(まあ、費用の節約になるのは間違いないしいいか。それに・・・女性と一緒に寝たくないかと言えば俺だって男だし、そういうのに興味がない訳じゃない。普段は嫌がる振りはしてるけど、正直寝たい。ラックも出会った頃よりも大分女らしい体つきだし、胸だってけっこうある。スズがいる前でそういう事をするっていうのはさすがにないだろうけど、ラックの好意はわかってるし、その内、そんな関係にはなるんだろうとは思ってる。まあ思うだろ。普通。これで何も思わないヤツなんて男じゃないだろ。)

「うん。まあそれはしょうがないな。」

(やっぱり、俺もベッドが一つしかない事を期待してるんだろうな。実際の所は・・・)

「宿を取ったら教会だな。宗教国家っていうぐらいだから、どの町も教会がメインなんだと思うし。宿屋、教会、冒険者ギルドってとこだな。」

そんな感じで、一番初めに宿を探すカイン達だったが、ラノベの定番、串焼き屋台で宿屋の場所を聞くと一発でおススメの場所を教えてもらえた。もちろんこう言う事を聞くのはラックが得意なので、ラックが屋台の店主に聞いてくれた。

カインは遠目に聞いていたが、お風呂付きで~とか、大きなベッドがあって~とか、大きな声が外に漏れないような~とか聞いてはいけない事も聞こえてきたが、カインは聞こえないふりをした。

そして、目当ての宿はピンクラブという明らかにそれっぽい宿だった。いや宿という名前がこれほど似合わない所もないだろう。そうラブホテルだ。現代のようなピンクのイルミネーションという訳ではないが、建物が明らかにピンク色をしており、ハートもちりばめられている。

「本当にここにするのか?」

「問題ないにゃ。お風呂があって三人で寝る大きなベッドがあって料金も良心的な所で聞いたから間違いないにゃ。」

(いやまあ、その条件ならラブホはめっちゃ当てはまるけど・・・そもそもラブホテルの概念がこの世界にあるのか?)

周りの目を気にするカインを他所に、堂々と中に入ろうとするラック、カラフルな建物に目をキラキラさせているスズは、ピンクラブの宿へと入って行った。

結論から言おう。宿の中は至って普通だった。そりゃそうだろう。無人で空室を確認できるモニターがある訳ない。外観が異常なだけで店員もいたって普通だった。ドキドキして損したと思ったカインだったが、無事に大きなベッドのある部屋を借りる事に成功したのだった。
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