よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった

ベルピー

文字の大きさ
上 下
127 / 131
第6章 俺は勇者じゃなかった。だけど真の勇者になった

第127話 魔王城

しおりを挟む
「ここが魔王城・・・」

(ようやくきたか。冷静なって考えて見れば多分まだ魔王の所には行ってないだろう。さてカツヤ達は何階にいるだろうか・・・。ゲームじゃラスダンは何時間もレベル上げしないとなかなか進めなかったもんな・・・。1週間前なら15階ぐらいまでかな?)

「ユウキ。早く入りましょう。カツヤ達を探さないと。」

「ジュリア落ち着いて。俺も冷静になって考えてみたけど、多分カツヤ達はまだ魔王まで辿り着いていない。」

「どうしてそう言えるの?」

「理由は3つある。まず1つ目は、ここに出て来る魔物は強い。正直、天に一番高い塔と比べものにならないぐらいに。」

「でもマスター。魔物を避けながら進むかもしれないじゃんか。」

「それはない。雑魚に苦戦するようじゃ魔王なんて絶対倒せない。それもカツヤなら理解しているはずだ。」

「二つ目はマザードラゴンがいない事。」

「「「???」」」

「ニーチェは知ってるかもしれないけど、魔王はこの城の最上階30階にいる。カツヤ達が30階に着くとマザードラゴンが外から援護する事になってる。だけど今はどこにもマザードラゴンの姿が見えないから、まだ辿りついてないって訳だ。」

「なるほど・・・ってさっきサラッと流したけど魔王城って30階まであるの?城なのに?どう見たって5階ぐらいまでしかないじゃない?」

(たしかにそれは俺も思ったけど・・・なんでなのかは俺にもわからないし・・・)

「それは俺にもわからん。だけど魔王城が30階まであって最上階にいるのは事実だ。」

「そうだね。30階の最上階にいるのは間違いないよ。アタシは直接見てるからねぇ。」

「ニーチェが言うなら本当ね。でもマザードラゴンが援護してない可能性だってあるじゃない?」

「そこで理由の3つ目。あそこにある像の左目がまだ赤くなっていない。」

「あそこにある像って、あの気持ち悪い化け物の像よね?右目は青く光ってるわよ?」

「ああ。あれは魔王の像なんだ。それであの魔王像の両目が光らないと最上階の扉は開かないんだ。」

「そうなの?ならそれを早く言ってよ。急がなきゃって焦っちゃったじゃない。まあまだ魔王の所に着いてないのはわかったわ。だけど、モタモタしてると魔王の所に着いちゃうんじゃないの?」

「それはたしかにジュリアの言う通りだね。」

「なら早くいきましょ。」

「まあ待ってよ。」

(何も入口から追いかけなくても魔王城のギミックを俺は知ってるんだから使わなきゃ損じゃん。カツヤ達が右目を光らせて15階から進めれるんだしな。)

ゲームで何度も魔王城を攻略したユウキは魔王城の事をよくわかっていた。魔王城は入口からはいり、30階まで登っていくと、最上階には魔王がいて、魔王を倒すとゲームクリアとなる。

そして、魔王城はラストダンジョンの広さから、途中から再会できるように、15階への隠し通路が存在していた。そしてそのカギを握るのが、魔王の像の両目だ。30階の魔王の間に進む為には、魔王の像の両目を光らせなければならない。

そして、右目は15階にあるスイッチを押せば光り、左目は29階にある隠し部屋にあるスイッチを押せば光るようになる。15階にあるスイッチを押す事で、入り口から入らずに15階からスタートできるワープゾーンを使う事ができるようになるのだ。

ユウキは魔王城に来るまでその存在を忘れていたのだった。

「とりあえず俺についてきてくれ。」

そう言ってユウキは入口に入らずに魔王城の後ろに回り込んだ。そして、壁の一か所を入念に調べると・・・

「これこれ。これを押すとっと。」

ユウキは見つけた赤い丸いボタンを押す。すると、目の前の壁がゴゴゴと上に持ち上がった。

「何!?」

「ここから15階に行けるんだ。カツヤ達は15階を過ぎてるだろうから、これを使えば早めに合流できるだろ?ジュリアも言ってたようにカツヤ達は魔王城を進んでいっている。急いで合流しよう。」

「さすがユウキ様です。こんな隠し部屋があるなんて。」

「なんでユウキはこんな事知ってるんだ?アタシも知らないぞ。こんな仕掛け。」

(そりゃこのドラゴンファンタジー経験者ですからね。覚えてる限りは色々知ってるよ。あとはカツヤ達と合流して魔王を倒せばゲームクリアだな。まあ邪神がいるからゲームクリアにはならないだろうし、ゲームクリアした所でエンディングなんてないだろうけど・・・)

「まあまあ細かい事は気にせず行くよ。魔王城の魔物は強いって言ったけど、今の俺達だったら余裕で進めると思うから、道中の敵は魔法ぶっ放してカツヤ達を探そう。」

「わかったわ。」「わかりました。」「わかった。」

ユウキ達はワープゾーンを使い、魔王城の15階へ移動した。

(ゲームなら今がどの階にいるか右上に表示されてたけど、ここじゃそんなモノないから階数は覚えておかないといけないみたいだな。まあここが15階なのは間違いないし、魔王城は迷路みたいにはなってないから進んでいけばカツヤ達に会えるだろう。)

ユウキ達は15階から、急ぎながら上を目指した。16階、17階、18階、19階と昇っていくと、遠くで戦闘の音が聞こえてきた。

「あってで戦闘の音がするわ。きっとカツヤ達ね。急いでいきましょう。」

ユウキ達は音がする方へと進む。するとそこには、探していたカツヤ達が魔物と戦っている姿を見つけるのだった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...