よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった

ベルピー

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第5章 この物語の主役は勇者じゃなくて…

第89話 暴虐のバスターゴーン!!

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火の神殿の地下でレッドドラゴンを倒し、無事に魔法の絨毯を入手したユウキ達は火の神殿を昇り、最上階を目指していた。

最上階には魔王の幹部の暴虐のバスターゴーンがいる。
バスターゴーンは馬のような顔に二足で立ち、紫の肌、右手に大きな盾を持ち、左手に大剣を持つ魔族だ。

バスターゴーンの盾は全ての魔法を無効化し、大剣で攻撃をしてくる。バスターゴーン自体は魔法を使って来ないので打撃戦になる。

「そういえばユウキ様?レッドドラゴンは仲間にならなかったですね。」

「・・・・そうだね。ちょっと期待してたんだけどね。テイミングのスキルで仲間にできる魔物って女神様が選んでるのかな?それとも完全ランダムで仲間になるのかな?」

「それは女神様が選別してるんじゃない?雑魚敵とか仲間になったら困るじゃない。」

「たしかにそうだよな。それじゃニーチェも女神様が選んだのか?」

「アタシ?どうなんだろ?ユウキにやられた時はどうだったかな?この人について行くしかない!!って思った時はもう仲間にしてほしいって見つめてたかな。」

「なるほどな。まあニーチェは仲間になってくれて助かったからよかったよ。」

「マスター!!」

道中の敵が弱かったので、ユウキ達は雑談をしながら火の神殿を上がって行った。

火の神殿の頂上は10階だ。道中のアイテムに用が無いのでユウキ達は最短距離でドンドン階段を上がって行った。

10階に着くと、部屋の奧にはバスターゴーンが待っていた。

「バスターゴーン!!」

「ニーチェか・・・話には聞いていたが魔王様を裏切ったらしいな。」

「マスターの方が使えるべき主と思っただけだ。」

「ふん。裏切者には制裁が必要だな。」
そういって、バスターゴーンは剣と盾を構えた。

「俺の盾はどんな魔法も無効化する。お前達がどれほど強くても俺にはかなわない。向かってれば俺の大剣で一刀両断だ。」

「ジュリア、リーネ、ニーチェ作成通り行くぞ。」
ユウキが叫ぶと、ニーチェとリーネは補助魔法を全体に掛けた。補助魔法がかかったのを確認すると、ユウキとジュリアが剣を構えてバスターゴーンに向かって行く。

接近戦の為、多少は苦戦するかと思ったが、ジュリアの神剣スライムソードの一撃を受け止めたバスターゴーンの盾は真っ二つに割れたのだった。

そこからは一方的な展開になった。なんせ魔法を無効化する盾がなくなったのだ。
バスターゴーンは両手で大剣を握りしめていたが、魔法がきくとわかったユウキ達は距離を取り、遠距離から魔法を放って行く。

魔法を防ぐ術のないバスターゴーンに全ての魔法が直撃する。筋肉ダルマとニーチェに言われる程の肉体をしている通り、耐久力は高かったが、一方的に攻撃されれば長くは持たなかった。

バスターゴーンはユウキ達の集中魔法攻撃の前に倒れていった。
そして・・・そのまま消えて行った。

起き上がってきて、仲間にならなかった事にユウキは安堵したのだった。

「倒したわね。」

「ああ。ジュリアのおかげだ。ジュリアが初めにアイツの盾を破壊してくれたから戦闘がかなり楽になったよ。」

「私もあれには驚いたわ。まさか破壊できるとは思ってなかったから。まさに神剣のおかげね。」

(神剣は原作には出てこなかったからな。さすがにどんな魔法を無効化する盾でも神剣スライムソードには勝てなかったって事だな。)

火の神殿の最上階で、魔王の幹部のバスターゴーンを倒したユウキ達が火の神殿を後にしようとすると、バスターゴーンのいた所の空間が渦巻いた。

「なんだ!?」
ユウキは空間が渦巻いた事に気付いた。

「ユウキ!?あれは?」

「わからない。みんな気を抜くな!」
(なんだあれは?あんなのゲームになかったぞ。)

ユウキ達が渦巻いた空間を見つめていると、そこから現れたのは・・・

青い長い髪に青い目、スタイルが良くて顔は、ニーチェにそっくりな女性が現れた。

「ミネルバ姉様!!」
ニーチェはその女性を姉と呼んでいた。

「「「姉様!?」」」
「ええ。私の姉のミネルバ姉様よ。どうしてこんな所に・・・」

「ニーチェの姉って事は魔王の幹部なのか?」
(ミネルバなんてゲームには登場してこなかったぞ・・・)

「いえ。姉様は魔王とは関係ありません。ですが、魔王並みに強いと思います。私が何度か魔王の側近の話をしに行った事はありましたが断られましたので。」

「久しぶりねニーチェ。元気にしてた?魔王を裏切ったらしいわね。」

「姉様・・・どうしてここに?」

「バスターゴーンが死んだのを感知したから誰が倒したのか気になったから見に来たのよ。それにしてもニーチェが倒してたなんて意外ね。」

「ミネルバ?でいいんだよな。それでお前は俺達の敵なのか?」

「あなたがユウキね?主人公の職業についてるっていう」

「!?どうしてそれを!」

「せて・・・なぜでしょう??ふふふ。」

(どういう事だ。なぜ主人公の職業の事を知っている?女神様が絡んでいるのか?それとも・・・邪神が絡んでいるのか。)

「姉様はここに何しに来たの?敵対するなら容赦しないわよ。昔のアタシだと思ったら大間違いよ。」

「そうね。ニーチェもだいぶ強くなったみたいね。全知全能・・・良い職業ね。」

「なんでそれを!?」

(まさか!?鑑定系のスキルか!)

「今日はあなた達を見に来ただけだから何もしないわ。でもそうね・・・いつかは又会えるかもしれないわね。そうそう。あなた達の事だけ見たんじゃ不公平だから教えてあげるわ。私の今の職業は『魔神』、あなたたちと同じ神職よ。せいぜい次に会う時までに強くなっておくことね。」

そういって、ミネルバは消えて行くのだった。

「魔神・・・神職だと・・・どうなってるんだ?」
「ミネルバ姉様・・・」

新たな魔族、ミネルバと遭遇したユウキ達はミネルバが消えた後、しばらく立ち尽くしていたが、火の神殿を後にしフレイヤへと戻るのだった。
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