よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった

ベルピー

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第4章 主人公として

第67話 一方その頃、勇者カツヤは・・・

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「そういえば、カツヤ達は勇者の剣を無事に入手できたのかしら?」
エリクシアでユウキ達が食事をしながらゆっくりしているとふとジュリアがそんな事を言い出した。

「たしか、勇者の剣は廃墟になった城にあるってユウキ様は言ってましたよね。なら入手するのは簡単なんじゃないんですか?」
「そうだね。カツヤが入れば入手は簡単だと思うよ。」

「カツヤが入れば?どういう事?」
「勇者の剣はデスターン城の玉座に刺さってるんだけど、勇者にしか抜けないんだ。だからカツヤ以外に行っても入手できないって訳さ。」
「そうなんですか?」

(まあもちろんゲームでの話だったから案外俺が行っても抜けるんじゃないかな?とは思ってたけどね。)

「うん。それにあそこはボスは出ないけど・・・」
「出ないけど?」
「いや。何でもないよ。まあカツヤの事だから無事に入手してると思うよ。」

(勇者の剣を抜こうとすると、イベントが起きるんだけど大丈夫だよね?)

ゲームでは勇者の剣を取るときにボスみたいな魔物は居ない。が、勇者の剣に近づくと、仮面をつけた騎士が横取りしようとしてくるのだ。そしてその仮面騎士との戦闘になるんだが、その仮面騎士戦は敗北イベントだった。どんな攻撃をしても仮面騎士にはダメージを与える事ができないのだ。

敗北後、勇者が玉座に走って勇者の剣を入手する。すると仮面騎士と再戦となる。勇者の剣を使うと、仮面騎士にダメージを与える事ができるようになり、戦闘に勝利すると仮面騎士が逃げて行く。という流れだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ユウキ達が勇者の兜を入手し、エリクシアで情報収集をしている頃、カツヤ達はベルから船で東に向かっていた。

カツヤ達は東の大陸にあるデスターンという国に向かっていた。デスターン城の玉座に勇者の剣が刺さっており、それを入手する為だ。

勇者カツヤを筆頭に、巫女のアイ、精霊士のリヨン、くノ一のアイカの4人でデスターンを目指していた。

「ようやく東の大陸に着いたな。ここからデスターンって所は近いのか?」
「わからないわ。そういうのはリヨンが詳しいんじゃない?」
「リヨン?わかるか?」

「ああ。ベルの街から真っすぐ東に進んで、大陸に着いたら、南に歩けばデスターン城があるらしい。」
「さすがリヨン!よしそれじゃあ船から降りてデスターン城を目指すぞ。」

カツヤ達は無事に東の大陸に着いていた。
船の旅はそれほど危なげなく進んでいた。

ゲームでは船で移動中に魔物とエンカウントして戦闘となっていたが、実際は船には魔物が嫌う性質の木材が使われているらしく魔物は近寄ってこなかった。

「船旅で身体がなまってるからな。魔物が居ればドンドン倒して行こうぜ。作戦はガンガン行こうぜ!!だな。」

ここにユウキが入れば突っ込みを入れたかもしれないが、ここにいるのはそんな事も知らないメンバーばかりだ。

「わかったわ。ガンガン行くわよ。」
「ああ。私も少し運動したいと思っていた所だ。」
「OK~。私が魔物を索敵するわ。」

船での移動中レベル上げができないのは致命傷だが、カツヤ達はプラネットの国でしっかりとレベルを上げていた。

プラネットに行く前はカツヤはレベル30、アイはレベル20、リヨンは18、アイカはレベル19だった。カツヤだけレベルが高いのは、勇者の職業のまま天職してないからだ。

今のレベルはカツヤレベル35、リヨンレベル33、アイレベル28、アイカレベル28となっている。

プラネットではリヨンが闘技場でかなり戦った為、大きくレベルを上げていた。

デスターン城へ向かいながら順調に魔物を倒して行くカツヤ達。でてくる魔物はデスグリズリー、死霊騎士、ロックドラゴン、キメラなど強敵が多かったが、前衛担当のカツヤとアイカ、回復のアイ、支援と後衛のリヨンのパーティはバランスが良いので魔物が来ても苦戦する事なく、進んでいた。

デスターン城に着いても出てくる魔物は変わらないので、カツヤ達は玉座に向かって進んで行く。

「カツヤ!地下とかあるけど行かなくていいの?」
「ああ。きっと他の場所は宝とかあってもすでに取られてるだろ?目的は勇者の剣だからそれ以外は無視でいいだろ。」
「そうですね。他の冒険者がすでに来ているでしょうから宝は期待できないでしょう。」

城に入って、真っすぐ進み、階段を昇れば王の玉座がある。カツヤ達は最短距離で玉座のある部屋に入った。

入って目につくのは、玉座にささる剣だった。
「あれが勇者の剣だな。さっそく抜いてみるか。」

カツヤが玉座に近づく。すると・・・

「まて!!!」
後方から声がかかり振り向くと、仮面をつけた騎士がいた。全身黒の鎧に仮面をつけた黒仮面騎士だ。

声は何かの効果で変えられているのか、男とも女ともわからない機械的な声だった。
「だれだ!?」

「そこにある剣は私が先に見つけた。だからお前達には遠慮してもらおう。」
仮面騎士は剣を構えてカツヤ達と対峙する。

「何言ってんだ!!これは勇者の剣だろ?なら俺にしか装備できないぞ。だから俺がわざわざ取りに来たんだ。」
「ならばお前達を倒して手に入れるまで。」

カツヤ達と黒仮面騎士との戦闘が始まった。
アイカとカツヤが攻撃を仕掛け、アイが支援魔法を掛ける。リヨンは弓で攻撃する。

だが、黒仮面騎士には効いていないのか、何度攻撃しても全く手ごたえがなかった。
「どういう事だ??効いてない・・・。なに者だ!?コイツは・・・」

「その程度か?ならこちらからも行くぞ。」
黒仮面騎士は剣を上から下に振り下ろす。すると、衝撃波がカツヤ達に襲いかかった。

「がはっ!!」
カツヤ達は黒仮面騎士の1回の攻撃でかなりのダメージを負ってしまった。

「その程度か??」
黒仮面騎士が再度剣を構えて振り下ろそうとする。

「カツヤ!玉座の勇者の剣だ。」
リヨンがカツヤの前に出て、精霊魔法を発動する。風のバリアで黒仮面騎士の衝撃波を防いだ。

「そうか!!わかった。」
カツヤは自分の後ろにある玉座に向かい勇者の剣を握る。そしてそのまま勇者の剣を引っこ抜くと、そのまま剣を構えて黒仮面騎士と対峙する。

「今度はこっちの番だぜ!!」
カツヤは勇者の剣を上から下に振り下ろした。すると、先ほどの黒仮面騎士と同じように衝撃波が黒仮面騎士を襲う。

「何!?」
衝撃波は黒仮面騎士に直撃した。

「くはっ!!」
黒仮面騎士は膝をつく。

「形勢逆転だな。」
カツヤが再度剣を構える。

「ちっ。今日の所はここまでだな。」
黒仮面騎士はそう言うとその場から消えていった。

「消えた!?」
辺りを見渡しても黒仮面騎士はいなくなっていた。

「どこ行った!?・・・逃げたか。まあ、これで勇者の剣を入手できたからミッション成功だな。」

無事に勇者の剣を入手したカツヤ達は、黒仮面騎士に警戒しながらデスターン城を出て、船に乗ってベルの街へと戻って行くのだった。
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