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第23話 再びファンドラへ
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新しく現れた魔王と勇者ボルテックスの情報、更に言えば、聖獣の情報を求めて、レイ達は東大陸から西大陸へと来ていた。
もちろんレイの転移魔法でだ。MPが上がった事によって直接転移できるようになっていた。この距離を転移できるようになればもはや世界中のほとんどの場所に転移できると考えていいだろう。
ただ、前回の教訓を全くいかせず、前回同様に転移によってほぼ全てのMPを消費したレイはファンドラにつくなり、マリーに支えられて宿屋に一直線だった。
「もう。こんなになるんだったら大聖堂を経由してもよかったのよ。大聖堂にも書物ぐらいあるんだから聖獣の情報だって調べる事ができるのよ。」
「ごめんごめん。前回の事すっかり忘れてよ。でも一晩寝て元気になったから。それに、ミュラとも早く会いたいし。」
「もう。」
ミュラと早く会いたいのは本当だけど、よくよく考えたらマリーと付き合っていないこの状況で、一緒に冒険して毎日一緒にいるのに、ミュラに会いたいってマリーに対して酷いこと言ってるな。俺からしたらマリーだって大事な人だ。言わなかったから離れてしまう事は今までもよくあった。これからはそんな事はしたくない。ミュラに会った後、時間を作ってマリーには気持ちを伝えないとな。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。」
「マリーがいるのに、早くミュラに会いたいなんぞ、レイは鬼畜だな。」
「げっ!?今一瞬俺も考えたけどミストに言われた!だよな。俺だってわかってるよ。ちゃんとマリーには気持ちを伝えるよ。」
「うむ。それがよいじゃろう。」
「そうだぜレイ。お嬢は気にしてないと思うけど、レイからの気持ちはずっと待ってると思うぞ。」
「ありがとうミスト、フェニク。俺がんばるよ。」
⭐︎⭐︎⭐︎
「本当に正面から言って大丈夫なのか?」
「ええ。ボルテックスはいないでしょ。なら私が大聖堂からこっちにきてミュラに会いに来たって不思議じゃないわ。ちょっと見た目変わってるけど。聖女の身分証はまだ持ってるしね。」
「俺はマリーの護衛って事か。」
「そうね。ボルテックスがいない今、王様にもレイの事を伝えた方がいいわ。王様もきっとわかってくれるし、その方が調べ物もスムーズに行くでしょ。」
「まあそりゃな~。でも俺、レイドールの身分証なんか持ってないぞ。ミュラ王女ならまだしも、王様は信じてくれるかな?偽物め!って捕まったりしない?」
「大丈夫よ。その時はフェニクを出せばいいわ。フェニクを見れば話が本当だってわかってくれるはずよ。」
マリーは堂々と正面から城に入って行く。門番に状況を伝えている時、レイは少しの不安を感じたが、レイの不安をよそにすんなりと城に入る事ができた。
前回のように、ミュラの部屋ではなく、客間に通されミュラがくるのを待っていると、ドアがノックされてミュラが入ってきた。
「どうしたのその髪!?」
ミュラは部屋に入るとすぐにマリーの髪に気づいた。そりゃそうだろう。今までは黒髪ロングだったのに、銀髪ショートになってるんだから。
「ふふふ。綺麗でしょ。レイと周りを気にせず冒険する為にイメチェンよ。」
「マリー・・・あなた・・・」
「ミュラ王女。久しぶりです。元気そうでよかった。色々進捗を教えてもらおうと思いまして。」
「ええ。わかったわ。時間もあるしゆっくり話しましょ。お茶を入れてくるから待ってて。」
用意してくれたお茶を飲みながら、俺はミュラにファンドラを離れてからの事を話した。と言ってもダンジョンに行って、神獣様と出会った。ぐらいしか伝える事はないのだが・・・
「なんかレイもマリーも楽しそうに冒険してるわね。こっちは魔王の事で大変だっていうのに。」
「羨ましいでしょ。でもちゃんとやるべき事はやってるわよ。それでそっちの方はどうなの?」
「魔王に関してはあれから何もないわ。街も勇者が中央大陸に向かった事をみんな知ってるから平穏よ。」
「ボルテックス達からは定期的に連絡があるのか?」
「ええ。無事に中央大陸にはついたらしいわ。レイとマリーのから言われたように、前に上陸した場所以外を調べる事になってるから中央大陸の中でも南の方を調べてるみたいね。2人仲間を加えて5人でパーティを組んでるみたいよ。」
「あら?やっぱり早速パーティを増やしたのね。」
「まあ3人じゃきびしいだろうからな。それに勇者パーティだったら応募もすごかったんじゃないか?」
「ええ。応募は殺到したらしいわ。私は知らないけど。」
「どれだけ応募してこようがアイツらが選ぶんだから予想がつくわ。女でしょ?」
「当たり。さすがマリーね。」
「え~・・・いやそれは能力で決めたんじゃないの?行くの中央大陸だよ?」
「大方ボルテックスは自分がいれば大丈夫だとでも思ってるんでしょ。好みで選んだのが普通に想像できるわ。」
「出発の時ちらっと見たけどボルテックスとガウラスがすごいニヤニヤしてて気持ち悪かったわ。今回は調査だけであと1カ月半ぐらいで戻ってくるとは思うけど、又ボルテックスと顔を合わせる事を考えると憂鬱でしかないわね。それでもレイとマリーはしばらくファンドラにいるんでしょ?」
「ああ。とりあえず今後の予定が決まるまではここにいる予定だ。」
「そうね。ミュラが王様に繋いでくれたら、多少は動きやすくなると思うしね。」
そうして、無事にミュラと再会したレイ達は、そのまま進捗状況を報告し合い王の元へと向かうのだった。
もちろんレイの転移魔法でだ。MPが上がった事によって直接転移できるようになっていた。この距離を転移できるようになればもはや世界中のほとんどの場所に転移できると考えていいだろう。
ただ、前回の教訓を全くいかせず、前回同様に転移によってほぼ全てのMPを消費したレイはファンドラにつくなり、マリーに支えられて宿屋に一直線だった。
「もう。こんなになるんだったら大聖堂を経由してもよかったのよ。大聖堂にも書物ぐらいあるんだから聖獣の情報だって調べる事ができるのよ。」
「ごめんごめん。前回の事すっかり忘れてよ。でも一晩寝て元気になったから。それに、ミュラとも早く会いたいし。」
「もう。」
ミュラと早く会いたいのは本当だけど、よくよく考えたらマリーと付き合っていないこの状況で、一緒に冒険して毎日一緒にいるのに、ミュラに会いたいってマリーに対して酷いこと言ってるな。俺からしたらマリーだって大事な人だ。言わなかったから離れてしまう事は今までもよくあった。これからはそんな事はしたくない。ミュラに会った後、時間を作ってマリーには気持ちを伝えないとな。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。」
「マリーがいるのに、早くミュラに会いたいなんぞ、レイは鬼畜だな。」
「げっ!?今一瞬俺も考えたけどミストに言われた!だよな。俺だってわかってるよ。ちゃんとマリーには気持ちを伝えるよ。」
「うむ。それがよいじゃろう。」
「そうだぜレイ。お嬢は気にしてないと思うけど、レイからの気持ちはずっと待ってると思うぞ。」
「ありがとうミスト、フェニク。俺がんばるよ。」
⭐︎⭐︎⭐︎
「本当に正面から言って大丈夫なのか?」
「ええ。ボルテックスはいないでしょ。なら私が大聖堂からこっちにきてミュラに会いに来たって不思議じゃないわ。ちょっと見た目変わってるけど。聖女の身分証はまだ持ってるしね。」
「俺はマリーの護衛って事か。」
「そうね。ボルテックスがいない今、王様にもレイの事を伝えた方がいいわ。王様もきっとわかってくれるし、その方が調べ物もスムーズに行くでしょ。」
「まあそりゃな~。でも俺、レイドールの身分証なんか持ってないぞ。ミュラ王女ならまだしも、王様は信じてくれるかな?偽物め!って捕まったりしない?」
「大丈夫よ。その時はフェニクを出せばいいわ。フェニクを見れば話が本当だってわかってくれるはずよ。」
マリーは堂々と正面から城に入って行く。門番に状況を伝えている時、レイは少しの不安を感じたが、レイの不安をよそにすんなりと城に入る事ができた。
前回のように、ミュラの部屋ではなく、客間に通されミュラがくるのを待っていると、ドアがノックされてミュラが入ってきた。
「どうしたのその髪!?」
ミュラは部屋に入るとすぐにマリーの髪に気づいた。そりゃそうだろう。今までは黒髪ロングだったのに、銀髪ショートになってるんだから。
「ふふふ。綺麗でしょ。レイと周りを気にせず冒険する為にイメチェンよ。」
「マリー・・・あなた・・・」
「ミュラ王女。久しぶりです。元気そうでよかった。色々進捗を教えてもらおうと思いまして。」
「ええ。わかったわ。時間もあるしゆっくり話しましょ。お茶を入れてくるから待ってて。」
用意してくれたお茶を飲みながら、俺はミュラにファンドラを離れてからの事を話した。と言ってもダンジョンに行って、神獣様と出会った。ぐらいしか伝える事はないのだが・・・
「なんかレイもマリーも楽しそうに冒険してるわね。こっちは魔王の事で大変だっていうのに。」
「羨ましいでしょ。でもちゃんとやるべき事はやってるわよ。それでそっちの方はどうなの?」
「魔王に関してはあれから何もないわ。街も勇者が中央大陸に向かった事をみんな知ってるから平穏よ。」
「ボルテックス達からは定期的に連絡があるのか?」
「ええ。無事に中央大陸にはついたらしいわ。レイとマリーのから言われたように、前に上陸した場所以外を調べる事になってるから中央大陸の中でも南の方を調べてるみたいね。2人仲間を加えて5人でパーティを組んでるみたいよ。」
「あら?やっぱり早速パーティを増やしたのね。」
「まあ3人じゃきびしいだろうからな。それに勇者パーティだったら応募もすごかったんじゃないか?」
「ええ。応募は殺到したらしいわ。私は知らないけど。」
「どれだけ応募してこようがアイツらが選ぶんだから予想がつくわ。女でしょ?」
「当たり。さすがマリーね。」
「え~・・・いやそれは能力で決めたんじゃないの?行くの中央大陸だよ?」
「大方ボルテックスは自分がいれば大丈夫だとでも思ってるんでしょ。好みで選んだのが普通に想像できるわ。」
「出発の時ちらっと見たけどボルテックスとガウラスがすごいニヤニヤしてて気持ち悪かったわ。今回は調査だけであと1カ月半ぐらいで戻ってくるとは思うけど、又ボルテックスと顔を合わせる事を考えると憂鬱でしかないわね。それでもレイとマリーはしばらくファンドラにいるんでしょ?」
「ああ。とりあえず今後の予定が決まるまではここにいる予定だ。」
「そうね。ミュラが王様に繋いでくれたら、多少は動きやすくなると思うしね。」
そうして、無事にミュラと再会したレイ達は、そのまま進捗状況を報告し合い王の元へと向かうのだった。
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